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確定申告で領収書がないとどうなる?経費計上の可否と代わりになる書類を解説

作成者: vws_ad0523|May 11, 2026 12:00:00 AM

申告期が近づき、デスクや財布から領収書を引っ張り出して整理を始めたら、ある支払いのレシートだけが見当たらず焦ってしまう。個人事業主やフリーランスがこの時期によく直面するシーンです。手元に領収書がないからといって、その支払いがすぐ経費から外れるわけではないものの、放置すれば否認や追徴課税につながるリスクもあります。

 

この記事では、確定申告で領収書がないとどうなるのか、経費として認められる条件や代わりになる書類、紛失した場合に取るべき手順、そして来期以降に同じ不安を繰り返さないための保管・管理のコツまでを整理して解説していきましょう。

 

記事の後半では、領収書整理や記帳作業をまるごと任せられる記帳代行サービスも紹介します。

 

この記事の目次
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確定申告で領収書がないとどうなる?

 

結論から言えば、領収書がなくても支払いの事実を客観的に証明できれば経費として計上できる余地があります。所得税法や法人税法は、経費計上の絶対的な要件として領収書の保存を求めているわけではなく、事業に関連する支出が実際にあったかどうかを客観的に示せるかが本質だからです。

 

裏を返せば、何の裏付けもない支出は経費として認められず、所得が増える方向に修正される可能性があります。修正の度合いによっては加算税や延滞税といったペナルティの対象にもなりかねません。

 

つまり、領収書がないからといってすぐ経費から外れるわけではないものの、代わりになる書類を集める努力は欠かせないのが基本の考え方です。次の章から、想定されるリスク、代替できる書類、紛失時の手順の順に整理していきます。

領収書がないと想定される3つのリスク

 

領収書がそろわない状態のまま確定申告に臨むと、想定しておきたいリスクは大きく次の3つです。

 

  • 経費として否認されるおそれ
  • 加算税・延滞税などのペナルティ
  • 推計課税で所得を見積もられる可能性

 

上から順に連鎖しやすいため、ひとつずつ仕組みを見ていきます。

経費として否認されるおそれ

支払いの事実を客観的に証明できないと、その支出は経費から外れる可能性があります。否認は申告時よりも数年後の税務調査でまとめて指摘されることが多く、過去数年分まで遡って同じ判断を受けるケースもあるため、当年の少額のミスが想定以上の追加納税へ膨らみがちです。

 

特に、領収書もカード明細も通帳記録もそろわない単発の現金払いは、後から事実関係を立証しにくく、否認される確率が上がります。経費の判断基準そのものを整理した「経費はどこまでOK?個人事業主が迷いやすいケース15選と税務調査で否認されない方法」も合わせて参考にしてみてください。

加算税・延滞税などのペナルティ

経費否認によって所得が増えると、追加で納める税額が確定します。税務調査などをきっかけに期限内申告より税額が増えれば過少申告加算税、そもそも申告していなければ無申告加算税が課され、加えて法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて延滞税が上乗せされます。

 

意図的に売上を隠したり、事実と異なる経費を計上していたと判断されると、より重い重加算税の対象にも発展しかねません。領収書が偶発的になくなっただけでも、説明できる材料を残しておかなければ悪質と受け取られかねないため、放置は禁物です。

 

参考:国税庁|加算税とは

推計課税で所得を見積もられる可能性

帳簿や領収書がほとんど残っていない状態で税務調査を受けると、税務署が同業他社の利益率や水道光熱費の使用量などを参考に所得を推計し、税額を決める推計課税が行われることがあります。所得税法156条で定められた制度で、白色申告者や、青色申告が取り消された事業者が主な対象です。

 

推計の根拠は税務署側が選ぶため、自分にとって不利な金額に振れやすい一方、合理性に疑問があれば実額反証で争う余地も残されています。「税務調査はどこまで調べる?見られる範囲と備えておきたい対策とは」で調査の射程を押さえつつ、最低限の帳簿と書類だけは残しておきましょう。

 

参考:国税庁|推計課税に関する一考察(税務大学校論叢108号)

領収書がないときに代わりになる書類

 

領収書を再発行できなくても、別の書類を組み合わせれば支払いの事実を示せます。

 

  • レシート
  • クレジットカード明細・銀行振込明細
  • ネット通販の購入確認メール・請求書
  • 出金伝票

 

第三者が発行した記録ほど信頼度が高く、自分で起票する出金伝票は最終手段として残しておく順番で見ていきます。

レシート

レシートは、日付・店名・金額・品目が印字されていれば、領収書の代用として実務でも認められやすい書類です。お品代とだけ書かれた手書きの領収書よりも、買った品目が明細で残るぶん、事業との関連性を説明しやすい面があります。

 

特に少額の取引であれば、レシートだけでも経費の根拠として通用しやすく、カード明細などと組み合わせれば説得力がさらに増します。レシートと領収書のどちらをもらうべきか迷うときは、「領収書とレシートの違いが3分で分かる!確定申告で失敗しないためのポイント」も合わせて参考にしてください。

クレジットカード明細・銀行振込明細

カード会社や金融機関が発行する明細は、第三者が記録した客観的な証拠として、領収書の代替になりやすい書類です。利用日・支払先・金額が一覧で残るため、紛失した1件の領収書でも、明細を見れば支払い事実を後から追えます。

 

ネットバンキングや家計簿アプリで自動的に蓄積される取引履歴も同じ扱いで、複数月にまたがる継続的な支払いほど明細との突合がしやすくなります。事業用カードを分ける運用にしておくと、後から経費部分だけ切り出す手間も減るでしょう。

ネット通販の購入確認メール・請求書

AmazonやAppleなどのネット通販で受け取る注文確認メールや、ダウンロードできる領収書PDFも、紙の領収書と同じ位置付けで使えます。メール本文に日付・金額・品目・販売者がそろっているため、印刷せずに保管しておくだけでも経費の根拠になります。

 

実務では、取引ごとにメールフォルダで分類しておくと申告時に1件ずつ探し回らずに済むはずです。経費というラベルや年度別のフォルダで自動仕訳しておけば、紛失リスクを大きく減らせます。

出金伝票

出金伝票は、文房具店などで売られている市販のフォーマットに、日付・支払先・金額・摘要(用途)の4項目を自分で書き入れる書類です。レシートも明細も再発行も叶わないときの最終手段として位置づけられます。

 

ただし証拠力は他の代替書類より低く、件数が増えるほど税務調査で疑われやすくなります。あくまで例外的な対応と割り切り、件数を絞って使いましょう。

領収書をなくしたときに取るべき手順

 

領収書の紛失に気づいたら、いきなり出金伝票を切るのではなく、次の順番で試すと否認リスクを下げやすくなります。

 

  • 取引先に再発行を依頼する
  • 代替書類を集めて整理する
  • 出金伝票を作成する

 

上に置いたものほど証拠力が高いため、できれば前のステップで完結させましょう。

取引先に再発行を依頼する

最初の手段は、購入先や取引先に再発行を依頼することです。法律上の再発行義務はないものの、依頼すれば応じてくれる店舗や企業もあるため、まずはダメ元で問い合わせると良いでしょう。

 

ただし、飲食店や交通機関など、その場で完結する取引では再発行を断られるパターンも多くあります。再発行してもらえた領収書には、二重計上を疑われないよう、(再発行)と明記してもらうとトラブル回避につながります。

代替書類を集めて整理する

再発行が叶わないときは、その支払いを裏付けられる書類を複数集めるのが次のステップです。クレジットカード明細、通帳の入出金記録、ネット通販の注文確認メール、当日のスケジュール帳やメモなど、入手できるものをかき集めて1件分の証拠ファイルにまとめます。

 

1つずつではどれも完璧ではない書類でも、3つ4つ組み合わせれば支払い事実の説得力は大きく上がります。同じ封筒やフォルダに該当の取引メモを添えて保管しておくと、税務調査の際にもすぐ取り出せる状態になるでしょう。

出金伝票を作成する

ここまでで何の手がかりも残せなかったときの最終手段が、出金伝票の作成です。市販のフォーマットに、日付・支払先・金額・摘要(取引の用途)の4項目を埋めれば1件分の伝票になります。

 

摘要欄には、打ち合わせ用の手土産や現場移動の駐車場代のように、事業との関連性が後から読み取れる具体的な内容を書きます。さらに同席者や訪問先の名前まで付け加えておくと、税務調査で説明を求められたときの裏付けになるでしょう。

領収書なしで経費を計上するときの注意点

 

代替書類で経費に計上するときも、出し方次第で印象は大きく変わります。税務調査で不利にならないよう、次の3点を押さえておきましょう。

 

  • 出金伝票の多用は税務調査で疑われやすい
  • 高額な支出ほど客観的な裏付けを残す
  • 取引時のメモで事業関連性を補強する

 

特に高額な支出と出金伝票の運用は、調査官のチェックが入りやすい領域です。

出金伝票の多用は税務調査で疑われやすい

出金伝票は本来、領収書がもらえない交通費や慶弔費など、例外的な支払いを埋めるための書類です。1年間の経費に占める出金伝票の割合が大きいと、実際には支払っていない経費を計上しているのではないかと、税務調査で疑念を持たれやすくなります。

 

特に同じ取引先・同じ金額の出金伝票が複数枚並んでいるケースや、月の途中から急に枚数が増えるケースは、不自然な動きとして指摘の対象になりがちです。出金伝票はあくまで救済手段と位置づけ、件数を抑えて運用すれば余計な疑いを避けられます。

高額な支出ほど客観的な裏付けを残す

数千円のコンビニ支払いと数十万円の機材購入では、税務調査で問われる確認の深さがまったく違います。金額が大きい支出ほど事業との関連性や支払いの事実を細かく問われるため、領収書1枚では足りない場面も出てくるでしょう。

 

そもそも高額な支払いは振込やカード決済で行う運用に切り替えれば、明細という第三者発行の証拠が自動で残ります。やむを得ず現金で支払うときも、見積書・契約書・納品書など関連書類をセットで保管しておけば、後から経緯を説明しやすくなります。

取引時のメモで事業関連性を補強する

経費の根拠を強くする最後のひと押しは、その場で残す業務メモです。会食なら同席者と打ち合わせ内容、移動費なら訪問先と用件、消耗品なら使用目的を、領収書の余白や手帳・スマホアプリに書き残しておきます。

 

このひと手間があると、税務調査で事業のために必要な支出だったことを後から説明しやすくなります。記憶が新しいうちに残すのが鉄則で、月次の整理時にまとめてメモしようとすると、肝心の文脈が思い出せず曖昧な記載になりがちです。

電子帳簿保存法と領収書

 

領収書をめぐる運用は、電子帳簿保存法の改正で大きく変わってきました。2024年1月の完全義務化以降は、紙の領収書とメールで届く領収書PDFを別ルールで扱う必要があります。

電子取引データは電子のまま保存する

メールで受け取った領収書PDFやAmazonの注文確認メールなど、最初から電子データで届いた領収書は、紙に印刷した保存だけでは認められません。2024年1月以降は、電子取引データは電子データのまま、要件に沿った形で保管する必要があります。

 

具体的には、検索性(取引日・金額・取引先で検索できる状態)と、改ざん防止(タイムスタンプ付与、または訂正・削除の履歴が残るシステムの利用など)の2つを満たす運用が求められます。要件を満たさないまま放置すると、青色申告の取消や加算税の対象になる場面もあるため、罰則の射程は「電子帳簿保存法に対応しないとどうなる?罰則リスクと今すぐできる対策を解説」で確認しておきましょう。

紙の領収書はスキャナ保存で電子化できる

紙で受け取った領収書も、スキャナ保存制度の要件を満たして電子データ化すれば、原本を破棄して電子データだけで保存できます。スマホで撮影してクラウドにアップする運用も、画質などの要件を満たせばこの制度に該当します。

 

2023年度税制改正により、2024年1月以降は解像度・大きさ等の保存要件が緩和され、運用のハードルは下がりました。合わせて、領収書を含む帳簿書類の保存期間は法人で7年、青色申告の個人事業主で原則7年(前々年所得300万円以下なら5年)と長いため、保存期間ごとの整理は「確定申告に必要な帳簿書類の保存期間は?法人・個人事業主向けの基礎知識」を参考にしてください。

 

参考:国税庁|電子帳簿等保存制度特設サイト

領収書をなくさないための保管・管理のコツ

 

来期以降に同じ不安を繰り返さないためには、領収書をもらってから整理・保管するまでの流れをルーティン化しておくのが手っ取り早い方法です。

 

  • 受け取ったその日に整理する
  • 月別・科目別にファイリングする
  • 会計ソフト・経費精算ツールを活用する
  • 記帳代行サービスの活用

 

紙ベース・デジタルツール・外注を組み合わせて自分の運用に落とし込みましょう。

受け取ったその日に整理する

財布やカバンに溜め込んでおくと、レシートが折れて読めなくなったり、別の紙に紛れて行方不明になったりします。受け取った当日に専用のフォルダや封筒へ移すだけで、紛失リスクの大半はなくなります。

 

帰宅後でも翌朝の出勤前でも、自分が必ず通るタイミングを1つ決めておくのがコツです。レシートは感熱紙の印字が消えやすいため、当日にスマホで撮影してクラウドへ送っておく運用も有効です。

月別・科目別にファイリングする

整理は月単位+科目別の2軸で進めると、申告期に1から並べ直す手間がなくなります。封筒やクリアファイルに「2026年1月/旅費交通費」のようにラベルを書き、その月・その科目のレシートをまとめて入れていく方法が定番です。

 

科目を細かく分けすぎると逆に運用が止まりやすいため、最初は売上関係・経費関係・税金関係といった大ぐくりから始めて、徐々に細分化していくと運用が安定します。

会計ソフト・経費精算ツールを活用する

最近の会計ソフトや経費精算ツールでは、スマホで撮影したレシートを自動で読み取り仕訳まで提案する機能がもはや標準的です。撮影直後に処理してしまえば、紙の整理に気を配る必要がほとんどなくなります。

 

freeeやマネーフォワードクラウド、弥生会計オンラインなど、個人事業主から小規模法人まで使えるサービスがそろっています。月額数百円から始められるプランも多いため、申告期だけまとめて頑張る運用から、日々の入力で完結する運用へ切り替えやすい時代です。

記帳代行サービスの活用

会計ソフトを入れても入力作業そのものが苦痛、簿記の知識がなくて自信が持てない、というかたには、記帳代行サービス へまるごと任せてしまう選択肢もあります。月ごとに領収書や通帳のコピーを送るだけで、仕訳・帳簿作成までプロが代行してくれるサービスです。

 

記帳代行ドットコムのようなサービスを使えば、領収書管理に振り回される時間そのものを丸ごと外せるため、本業に集中しやすくなります。依頼の流れや費用相場を把握しておきたいかたは、「記帳代行の流れを5ステップで解説!依頼から契約、納品までの手順」と「記帳代行の相場はいくら?料金体系や選び方を依頼前に押さえよう」も合わせて参考にしてください。

まとめ

領収書がない=即アウトではないものの、放置すれば経費否認・加算税・推計課税といった連鎖が現実味を帯びます。レシートやカード明細、通販メールなど代わりになる書類を組み合わせ、それでも揃わないときに出金伝票へ進む順番を意識すると、手元に何もない状況でも経費計上の余地は残せます。

 

来期以降に同じ不安を繰り返さないためには、もらった当日に整理する習慣と、会計ソフトや経費精算ツールでのルーティン化、必要に応じた記帳代行の活用を組み合わせるのが近道です。領収書をなくさない動線を一度設計してしまえば、確定申告の負担はぐっと軽くなるはずです。