確定申告に必要な帳簿書類の保存期間は?法人・個人事業主向けの基礎知識
確定申告における帳簿書類の管理、皆さまはどのように行っていますか? 法人税法や所得税法で定められた保存期間を守り、正しく管理することは、事業経営において不可欠な作業です。
しかし、帳簿の種類によって保存期間が異なったり、電子データと紙媒体で求められる要件が違ったりと、その管理には専門的な知識や細かな注意が必要となります。
今回は、確定申告に必要な帳簿書類の種類や保存期間、適切な管理方法から処分方法まで、詳しく解説していきます。
また、こうした煩雑な帳簿管理の負担を軽減する方法として、記帳代行サービスの活用についてもご紹介いたします。企業経営者の方々の業務効率化に、ぜひお役立てください。
確定申告に必要な帳簿書類の種類・保存期間
確定申告に関係する帳簿書類は、4種類あります。
- 帳簿(会計帳簿)
- 決算関係書類
- 現金預金取引等関係書類
- その他の書類
帳簿以外が「書類」に分類されます。これらの詳細と保存期間を解説します。
帳簿には、まず主要簿としての仕訳帳と総勘定元帳勘定があります。また、補助簿として現金出納帳や現金出納帳、売掛帳、買掛帳などがあり、これらはいずれも7年間の保存が必要です。
帳簿(会計帳簿) |
保存期間 |
・仕訳帳 ・総勘定元帳 ・現金出納帳 ・売掛帳 ・買掛帳 ・経費帳 ・固定資産台帳 など |
7年 |
次に、確定申告における「書類」には、決算関係書類として損益計算書や貸借対照表などが、また現金預金取引等関係書類として領収証や小切手控、預金通帳などがあります。これらの書類は、7年間の保存が求められます。
決算関係書類 |
保存期間 |
・損益計算書 ・貸借対照表 ・棚卸表 など |
7年 |
現金預金取引等関係書類 |
保存期間 |
・領収証 ・小切手控 ・預金通帳 ・借用証 など |
7年 |
ただし、現金預金取引等関係書類は、前々年分の事業所得及び不動産所得の金額が300万円以下の方は、5年となります。
また、その他の書類に分類されるものとして請求書、見積書、契約書などがあり、5年間の保存が必要です。
その他の書類 |
保存期間 |
・請求書 ・見積書 ・契約書 ・納品書 ・送り状 など |
5年 |
法人・個人事業主の確定申告における帳簿書類の保存期間
帳簿書類は原則、法人で7年間、個人事業主で5年間か7年間の保存が必要です。それぞれ法人税法、所得税法により保存が求められます。
法人は原則7年間
法人の場合、法人税法により、帳簿書類は原則として7年間の保存が義務付けられています。領収書などは、これを受け取った日(発行日)ではなく、確定申告書の提出期限の翌日から7年間であることに注意が必要です。
帳簿書類には、前述した会計帳簿や決算書類、取引に関する証憑書類などが含まれます。
個人事業主は原則5年間ないし7年間
個人事業主の帳簿書類の保存期間は、青色申告と白色申告で異なります。青色申告の場合、法定帳簿、決算関係書類、現金預金取引等関係書類は原則7年間保存する必要があります。ただし、前々年分の事業所得および不動産所得の金額が300万円以下の場合は5年間となることに注意してください。
一方、白色申告の場合、法定帳簿は7年間、それ以外の帳簿や書類は5年間の保存が求められます。
欠損金の繰越控除では確定申告後10年間の保存期間が必要
通常の法人の帳簿保存期間は7年間ですが、欠損金の繰越控除を適用する場合は、確定申告書の提出期限から10年間の保存が必要となります。
欠損金の繰越とは、ある事業年度において生じた損失(欠損金)を、その後の事業年度の利益から差し引くことができる制度です。法人が事業年度において赤字を計上した場合、その赤字額を最長10年間にわたって、将来の黒字から控除することができます。
例えば、ある会社が2024年度に500万円の赤字を計上し、2025年度に800万円の黒字が出た場合、前年の赤字と今年の利益を相殺して、800-500 = 300万円を所得だと見なせるのです。
仕入税額控除を受けているケース
消費税における仕入税額控除は、事業者が商品やサービスを仕入れる際に支払った消費税額を、納付する消費税額から差し引くことができる制度です。仕入税額控除を受けている場合、仕入れ時の領収書や請求書を7年間保管する必要があります。
個人事業主が白色申告を選択している場合、所得税法上の帳簿書類の保存期間は基本的に5年間と定められていますが、仕入税額控除を受けている場合は例外となります。仕入税額控除の適用を受けている場合は、所得税の申告が白色申告であっても、消費税法の規定により仕入れに関する帳簿や請求書、領収書などの証憑書類を7年間保存する必要があります。
確定申告における帳簿書類等の保存方法
帳簿書類等の保存には、紙媒体と電子データの形式があります。
紙媒体による保存
紙媒体による保存方法では、実際の帳簿や領収書、請求書などの原本を物理的に保管します。保管する際は、年度ごとにファイリングし、取引内容が容易に確認できるように整理するのがポイントです。
特に領収書や請求書などは、経年劣化で印字が消えてしまうことがあるため、コピーを取って保管することも推奨されます。また、水濡れや日光による劣化を防ぐため、適切な保管場所を選ぶ必要があります。
電子データによる保存
電子データによる保存は、電子帳簿保存法に基づいて行います。この方法には、主に以下の3つの区分があります。まず、会計ソフトなどで作成した帳簿を電子的に保存する「電子帳簿」、次に紙の請求書や領収書をスキャンして保存する「スキャナ保存」、そして電子的に受け取った請求書等をデータのまま保存する「電子取引データ」の保存です。
電子データでの保存には、検索機能や保管スペースの節約といったメリットがありますが、一定の要件を満たす必要があります。改ざん防止措置が施されていることや、取引年月日・金額・取引先での検索が可能であることなどが求められます。また、バックアップの作成も大切で、データの消失に備えることも必要です。
保存期間が終了した帳簿書類等の処分
帳簿書類等の保存期間が終了すると処分をしてもかまいませんが、安全に完全な削除ができるようしかるべき注意を払いましょう。特に電子データにおいては、デジタルデータの性質を理解した適切な処理が必要です。
紙媒体の処分
紙媒体の帳簿書類の処分では、個人情報や機密情報の漏洩を防ぐための処理が必要です。シュレッダーでの裁断が最も一般的な方法でしょう。
取引先の情報や金額データが含まれるような書類は、クロスカットシュレッダーを使用して細かく裁断することがおすすめです。クロスカットシュレッダーは、紙を縦方向だけでなく横方向にも細断できるため、細断くずが細かく、通常の裁断より文書情報が読み取りにくいのがメリットです。
大量の書類を処分する際は、専門の廃棄業者に依頼することも検討すると良いでしょう。この場合、機密保持契約を結び、適切な処分証明書を受け取ることが望ましいです。
電子データの処分
電子データの処分については、より慎重な対応が必要です。単にファイルを削除しただけでは、データが完全に消去されているとは限りません。会計システムやソフトウェアには通常、データの完全削除機能が用意されていますので、そのシステムの指定する手順に従って確実に削除する必要があります。また、バックアップデータが残っている場合は、そちらも忘れずに削除しましょう。
また、保存期間が異なる書類が混在している場合、注意が必要です。例えば、通常の帳簿書類は7年間の保存期間でも、欠損金の繰越に関する書類は10年間の保存が必要です。このようなケースでは、書類の内容と保存期間を十分に確認し、誤って必要な書類を処分してしまうことがないよう注意してください。
確定申告における記帳の手間を減らす方法
確定申告には、正確な帳簿作成から法定保存期間に応じた管理、そして適切な処分まで、多岐にわたる作業と専門知識が必要となります。
法人と個人事業主で異なる保存期間への対応や、欠損金繰越、仕入税額控除などの特別な要件がある場合の管理、さらには紙媒体と電子データそれぞれに求められる保存要件への対応など、細かな注意点が数多くあります。
このような煩雑な作業を軽減する解決策として注目されるのが、記帳代行サービスです。記帳代行サービスは、日々の取引記録や帳簿作成を専門家に委託することで、経理業務の効率化と負担軽減を実現します。
専門家による記帳代行には、経理担当者の業務負担を大幅に削減できるのが大きなメリットです。複雑な仕訳入力や帳簿作成を外部の専門家に任せることで、企業は本来注力すべきコア業務に集中できるようになります。
さらに、高い専門知識を持つスタッフが業務を行うため、記帳ミスのリスクを低減し、正確な経理処理が期待できるのです。
まとめ
確定申告における帳簿書類の管理は、法人・個人事業主にとって複雑で負担の大きい作業です。保存期間、保存方法、処分方法など、幅広い専門的な知識が求められます。
このような複雑な帳簿管理の負担を軽減する方法として、記帳代行サービスがおすすめです。「記帳代行ドットコム」では、確定申告・決算申告に必要な仕訳・記帳業務をすべて代行します。価格も1仕訳が最安39円とコストパフォーマンスも高くなっているのが特徴です。
確定申告における帳簿管理の負担を軽減し、本業により集中したい方は、ぜひ記帳代行ドットコムのサービスをご検討ください。