経費はどこまでOK?個人事業主が迷いやすいケース15選と税務調査で否認されない方法
「このカフェ代、経費にしていいのかな...」
「スマホ代は全額?それとも一部?」
個人事業主やフリーランスなら、こんな疑問を日常的に抱えているのではないでしょうか。経費の判断を間違えると、税務調査で否認されたり、逆に認められる経費を見逃して税金を多く払ってしまったりするリスクがあります。
この記事では、経費として認められる基準から、迷いやすい15の具体例、記録の残し方、管理方法まで、実務に即した情報をまとめました。経費の不安を解消し、自信を持って確定申告に臨めるようになりましょう。
記事の後半では、記帳業務を丸投げできる記帳代行サービスも紹介しています。
経費として認められる3つの大原則とは
個人事業主やフリーランスにとって、経費の線引きは悩みの種になりがちです。ここでは、迷ったときに立ち返るべき、原則について説明します。
事業に直接関連している
経費として認められる第一の条件は、その支出が事業に直接関連していることです。事業と無関係なプライベートな支出や、単なる趣味のために使った費用は、当然ながら経費として計上することはできません。
国税庁の公式見解では「収入を得るために直接要した費用」や「販売費、一般管理費その他業務上の費用」と定義されています。つまり、この支払いがなければ売上が立たなかった、あるいは業務を円滑に進めるために不可欠だったと客観的に説明できるかどうかが、経費化の必須要件となるのです。
社会通念上、妥当な金額である
事業に関連する支払いであっても、その金額が不当に高額であれば経費として認められない可能性があります。例えば、一般的な打ち合わせのために数十万円もする高級料理店を利用した場合、それは事業遂行上本当に必要だったのか厳しく問われることになるでしょう。
経費の妥当性は、売上の規模や事業の内容と照らし合わせて、釣り合いが取れているかも判断材料となります。
証拠書類が残っている
税法上、経費として認められるためには、事業のために支出した事実があることが必要です。領収書やレシートはその事実を証明する協力な証拠として機能します。万が一の税務調査で指摘を受けた際、こうした書類が手元になければ、経費の取り消しを求められるリスクが高まるでしょう。
また、単に書類があれば良いわけではなく、一定期間の保存義務も法律で定められています。「いつ、誰に、何のために支払ったか」が明確に分かる状態で保管しておくことが大切です。
迷いやすい経費15選!具体例で判断基準を解説
「実際、カフェ代は経費になる?」「自宅の家賃はいくらまで入れていい?」など、日常の支出を経費計上して良いかどうかのラインは、なかなか分かりにくいものです。
ここでは、個人事業主やフリーランスが特に迷いやすい15の費用について解説していきます。
① 飲食費・接待交際費の境界線
ひとりランチは経費になるのかという疑問は、多くの個人事業主が抱えているのではないでしょうか。結論からいえば、単なる食事代は原則として経費にできません。事業をしていても食事は生活の一部であり、事業との直接的な関連性を証明しづらいためです。
一方で、クライアントや取引先との打ち合わせを伴う飲食は経費として認められます。カフェでの商談、契約に関わる会食などは「接待交際費」として計上できます。ただし、領収書には「誰と」「何の目的で」会ったかをメモしておきましょう。
参考:国税庁|No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
② 通信費(スマホ・インターネット)
個人のスマホや自宅のネット回線を仕事でも使っているなら、家事按分(かじあんぶん)を行い、事業で使用している割合だけを経費にします。全額を経費にするのは、事業専用契約でない限り難しいでしょう。
「週5日仕事で使うので7割」など、使用日数や時間に基づいた合理的なルールを設定してください。第三者に聞かれた際に、なぜその割合なのかを論理的に説明できるようにしておきます。
③ 自宅家賃・光熱費の按分方法
自宅をオフィスにしている場合、仕事部屋の床面積や使用時間に応じた割合で、家賃の一部を経費計上できます。例えば「自宅の20%を事務所として占有しているなら、家賃の20%を経費にする」といった計算です。
電気代も同様に按分可能ですが、ガス代や水道代は事業との関連性が薄いため、料理教室などの特定業種を除き、経費として認められるハードルは高いと認識しておきましょう。
④ 交通費・ガソリン代・駐車場代
電車やバスの運賃は、日時・訪問先・金額を記録した「旅費精算書」やICカードの履歴があれば経費になります。自家用車を業務で使う場合のガソリン代やコインパーキング代は、走行距離や使用日数に基づいて家事按分を行います。
ただし、業務中の移動であっても、駐車違反などの「反則金・罰金」は経費として認められません。これは法律違反に対するペナルティであり、税金計算上のコストにはできないため注意が必要です。
⑤ 書籍・セミナー代・オンライン教材
業務に関する知識を得るための専門書、業界紙、セミナー参加費などは、「新聞図書費」や「研修費」として全額経費にできます。現在の事業の売上やスキル向上に直結するものであれば、オンラインサロンの会費や有料メルマガ代も対象です。
一方で、事業との関連性が薄い自己啓発書や、単なる趣味のためのカルチャースクール代などは経費になりません。あくまで事業遂行に必要かが判断の基準となります。
⑥ パソコン・スマホなどの購入費
パソコンやタブレットは、購入金額が10万円未満であれば「消耗品費」としてその年の経費に全額計上できます。10万円以上の場合は原則として「固定資産」扱いとなり、数年にわけて減価償却しなければなりません。
ただし、青色申告を行っている場合は特例(少額減価償却資産の特例)が適用され、30万円未満のものであれば一括で経費にすることができます。大きな節税効果が見込めるため、高額な備品を買う際は申告方法も考慮しましょう。
⑦ 服飾費・美容費
スーツや洋服代は原則として経費にできません。税務上、衣服は「誰でも着る生活必需品」と見なされるためです。ただし、業種によっては例外があります。例えば、舞台衣装や特殊な制服、警備員のユニフォームなど、明らかに業務専用で日常生活では着られない服は経費として認められます。
美容費も同様で、一般的な美容院代やネイル代は経費にできません。ただし、モデルや芸能関係、接客業など、見た目が売上に直結する職業では経費として認められる可能性があります。その場合でも、業務上必要であることを明確に説明できる根拠を残しておくことが求められます。
⑧ 家族への給料(専従者給与)
家族に仕事を手伝ってもらい給料を支払う場合、青色事業専従者給与として経費にできます。ただし、事前に税務署へ届出が必要で、「専ら従事している(他に仕事をしていない)」「実際に業務を行っている」などの条件を満たす必要があります。
給与額は仕事内容に見合った妥当な金額でなければなりません。たとえば、月に数時間の事務作業に月30万円を支払うと、税務調査で否認される可能性があります。業務日報や作業内容の記録を残し、実際に働いていることを証明できる体制を整えておきましょう。白色申告の場合は、配偶者86万円、その他の親族は50万円が上限となります。
参考:国税庁|No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
⑨ 自宅を事務所にする場合の火災保険・固定資産税
持ち家を事務所として使用している場合、賃貸の家賃と同様に、固定資産税や火災保険料、地震保険料の一部を経費にできます。これも家事按分の考え方に基づき、事業で使用している床面積の割合などで計算します。
また、住宅ローンの返済がある場合、元本は経費になりませんが、利息部分は経費計上が可能です。見落としがちな項目ですので、ローンの返済予定表を確認し、事業割合分を忘れずに計算しましょう。
⑩ クレジットカードの年会費
事業決済専用の法人カード(ビジネスカード)であれば、その年会費は全額「諸会費」や「支払手数料」として経費になります。一方、プライベートと兼用の個人カードの場合、年会費を経費にするのは事業使用割合の算出が難しいため、認められないケースが多いです。
経理処理をスムーズにし、税務署からの指摘を避けるためにも、事業用の支払いはビジネスカード、私的な買い物は個人カードと、明確に使い分けることを強くおすすめします。カードを分けるだけで、経費管理の手間は劇的に減ります。
⑪ 冠婚葬祭費
取引先の結婚式のご祝儀や、葬儀の香典などは、「接待交際費」として経費計上できます。事業関係者との円滑な関係維持に必要とみなされるためです。ただし、親族や友人の冠婚葬祭はプライベートな支出となるため、経費にはなりません。
ご祝儀や香典は領収書が出ないことが一般的です。その場合は、招待状や会葬礼状を保管し、出金伝票やメモに日付・相手・金額を記録しておきましょう。これらが揃っていれば、領収書がなくても正当な経費として認められます。
⑫ 健康診断・人間ドック費用
個人事業主の健康診断や人間ドック費用は、原則として経費にできません。事業主自身の健康管理費用は生活費と見なされるためです。会社員であれば会社負担となる健康診断も、個人事業主の場合は経費として認められないのが基本です。
ただし、従業員を雇用している場合は話が別です。従業員の健康診断費用は「福利厚生費」として経費計上できます。また、事業主自身の健康診断費用も確定申告時に医療費控除の対象になる可能性があります(治療目的の場合)。経費にはできなくても、領収書は保管しておき、医療費控除の対象になるか確認しましょう。
参考:国税庁|No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
⑬ 税金・罰金
税金の中でも、事業に関連する税金は経費として認められます。個人事業税、消費税(税込経理の場合)、固定資産税(事業用資産)、自動車税(事業用車両)、印紙税などは経費として計上できます。勘定科目は「租税公課」を使用します。
一方、所得税や住民税は経費にできません。これらは利益に対してかかる税金であり、経費として差し引く前の所得から支払うものだからです。また、延滞税や加算税、交通違反の罰金なども経費として認められません。罰則的な性格を持つ支払いは、税務上経費にできないルールになっています。
⑭ 保険料(生命保険・損害保険)
事業用資産に対する損害保険料は経費になります。例えば、事務所の火災保険や、営業車の自動車保険などが該当します。自宅兼事務所の場合は、使用割合に応じて家事按分します。
一方、事業主本人の生命保険料や医療保険料は、事業の経費にはなりません。これらは個人の保障とみなされるためです。ただし、確定申告書には「生命保険料控除」という欄があり、所得から一定額を差し引くことができます。経費とは別の枠組みで節税効果があるため、控除証明書は保管しておきましょう。
⑮ 家族旅行を経費にする方法
単なる家族旅行を経費にすることはできませんが、仕事の出張に家族が同行したという形であれば、事業主本人の旅費のみ経費にできる可能性があります。遠方の取引先への訪問や、現地視察などの明確な業務目的があるようなケースです。
このとき、経費になるのは事業主の往復交通費や、ビジネスを行う日の宿泊費に限られます。家族分の交通費や食事代、観光にかかった費用は全額プライベートな支出(家事費)です。税務調査で疑われやすい項目ですので、業務内容の日報や訪問先の記録など、客観的な証拠をしっかり残すことが求められます。
税務調査で否認されないための記録・保管
経費として正しく計上していても、それを証明する「証拠」が不十分であれば、税務調査で否認されてしまいます。ここでは、領収書の保存方法や記録の残し方、電子帳簿保存法への対応など管理ルールを解説します。
領収書・レシートの保存ルール
領収書やレシートは、もっとも基本的な経費の証拠書類です。税務調査では支払った事実を証明するために必ず提示を求められます。原則として、紙の領収書をそのまま保管しておくのが確実です。感熱紙のレシートは時間とともに文字が消える可能性があるため、コピーを取るかスキャンしておくと安心できます。
領収書に記載すべきなのは、日付・金額・支払先・但し書き(内容)といった情報です。「お品代」や「飲食代」だけでは不十分な場合もあるため、レシートの裏面や余白に誰と・何の目的で使ったかをメモしておくことをおすすめします。クレジットカード払いの際は、利用明細と領収書を照合できるようにしておきましょう。
領収書とレシートの違いについては下記の記事で詳しく解説しています。
合わせて読みたい:領収書とレシートの違いが3分で分かる!確定申告で失敗しないためのポイント
経費の証拠を残す方法
領収書がもらえないときでも、経費として計上する方法があります。それが出金伝票です。冠婚葬祭の祝儀・香典、自動販売機での購入、割り勘での支払いなど、領収書が発行されないケースで活用できます。
出金伝票には、日付・支払先・金額・支払内容・支払方法を記載してください。可能であれば、招待状や案内メール、写真など補足資料も一緒に保管しておくと信憑性が高まります。また、銀行振込やクレジットカード払いの場合は、明細書が証拠書類になります。ネットバンクの場合は、取引履歴を定期的にダウンロードして保存しておきましょう。
電子帳簿保存法への対応
2024年1月より、電子取引データの電子保存が完全義務化されました。Amazonや楽天などのネット通販、メールで受け取ったPDFの請求書などは、紙に印刷して保存するだけでは不十分(原則NG)」となります。
これらは電子データのまま、検索できる状態(日付・金額・取引先で探せる状態)で保存しなければなりません。専用の会計ソフトを利用するか、ファイル名に規則性を持たせて専用フォルダに保存するなど、法要件を満たす運用フローを確立しましょう。
保存期間は?
帳簿書類の保存期間は、青色申告の場合は原則7年間です。ただし、欠損金(赤字)が出た年度の帳簿は10年間の保存が必要になります。
白色申告の場合は、帳簿は7年、領収書などは5年の保存期間です。
参考:国税庁|No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度
保存対象となるのは、領収書・請求書だけでなく、帳簿(総勘定元帳、仕訳帳など)、決算書類、取引に関する書類全般です。確定申告が終わったから捨てていいと勘違いしないよう注意しましょう。
保存期間は、確定申告の期限日(翌年3月15日)の翌日から数えます。例えば、2024年分の確定申告なら2025年3月16日から7年間、つまり2032年3月15日まで保存が必要です。
合わせて読みたい:確定申告に必要な帳簿書類の保存期間は?法人・個人事業主向けの基礎知識
経費管理を効率化する方法
「毎月の領収書整理が面倒でたまらない」という方も多いのではないでしょうか。しかし、ツールや仕組みを少し変えるだけで、経理作業を大幅に短縮できます。
本業の時間を確保するために、今すぐ取り組める効率化のコツを解説します。
会計ソフト・アプリの活用
クラウド会計ソフトを導入すれば、経理作業が劇的に効率化します。freee、マネーフォワード クラウド、弥生会計オンラインなどが代表的なサービスです。銀行口座やクレジットカードと連携すれば、取引データが自動で取り込まれ、AIが勘定科目を推測して仕訳を提案してくれます。
スマホアプリでレシートを撮影するだけで、日付や金額を自動読み取りして記帳できる機能も便利です。確定申告書の作成機能も搭載されているため、日々の記帳さえしておけば、確定申告時の作業負担が大幅に軽減されます。月額1,000円前後から利用できるため、費用対効果は高いでしょう。
事業専用の銀行口座・クレジットカードを作る
開業したての個人事業主にありがちなのが、プライベートと事業の支払いが混ざっているパターンです。これを回避するには、事業専用の銀行口座とクレジットカードを作りましょう。入出金がすべて事業用に限定されるため、仕訳作業が非常にシンプルになります。
専用口座・カードがあれば、前述の会計ソフトとの連携効果も最大化されます。どっちの支払いだったかと記憶を辿る時間がなくなり、通帳や明細自体がそのまま家計簿代わり証拠資料として機能するようになるでしょう。
記帳代行サービスの活用
「ソフトを入れても入力作業自体が苦痛」「簿記の知識がなく不安」という方には、記帳代行サービスへのアウトソーシングが最も確実な解決策です。領収書や通帳のコピーを丸投げするだけで、プロが正確な帳簿を作成してくれます。
コストはかかりますが、面倒な作業時間と税務リスクへの不安を同時になくせるのがメリットです。空いた時間を本業の売上アップに使えば、代行費用以上のリターンを得ることも十分に可能です。経理に追われる現状を変えたいなら、一度検討してみる価値は大いにあります。
合わせて読みたい:記帳代行の相場はいくら?料金体系や選び方を依頼前に押さえよう
まとめ
経費として認められるかどうかは、事業との関連性・金額の妥当性・証拠書類の3つで判断されます。迷いやすい支出も、適切な記録を残せば安心して計上できますね。ただ、日々の経理作業に追われて本業がおろそかになっては本末転倒です。
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