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記帳代行は税理士法違反?「知らない」では済まされない境界線を詳しく解説

作成者: vws_ad0523|Sep 1, 2025 12:00:00 AM

「日々の経理業務に追われ、本業に集中できない…」

 

そんな悩みを解決する選択肢として、記帳代行サービスを検討している方も多いのではないでしょうか。

 

しかし一方で、「安い業者を見つけたけれど、これって税理士法違反にならない?」「どこまでの業務を頼んでいいの?」といった不安や疑問もつきまといます。

 

安易にサービスを選んでしまうと、知らないうちに法律に触れるリスクもゼロではありません。

 

そこで本記事では、記帳代行が税理士法違反となるケースから罰則、そしてサービスの選び方までを分かりやすく解説します。

 

リスクを避けつつ、安心して記帳代行を活用するために、正しい知識を持っておきましょう。

 

この記事の目次
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記帳代行そのものは税理士法違反ではない

記帳代行とは、領収書や通帳の内容などをもとに帳簿を作成する業務のことで、税理士法に違反しないか不安に思われるかもしれません。結論として、記帳代行そのものは法律に触れる行為ではありません。

 

では、具体的にどこからが税理士の専門領域になるのでしょうか。これから詳しく説明しますが、その境界線を定めるのが、法律で決められた独占業務というものです。

 

この独占業務の内容を正しく理解することが、意図せず法律に触れるトラブルを避け、安心してサービスを選ぶための第一歩となります。次のセクションで、そのポイントを見ていきましょう。

 

また、そもそも記帳代行サービスについておさらいしたい方は、下記の記事もと覧ください。

 

合わせて読みたい記帳代行とは?メリット・デメリットがよく分かる

税理士法違反となる3つの独占業務とは

税理士法では、無資格者が行ってはいけない税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つを独占業務と定めています。それぞれの内容を知って、記帳代行との違いを明確にしておきましょう。

 

参考:e-Gov法令検索「税理士法第2条第1項」

税務代理

税務代理とは、納税者の代理人として税務署と公式なやりとりを行うことです。専門家が本人の代わりに窓口に立ち、法的な手続きを進める役割と考えると分かりやすいでしょう。

 

具体的には、確定申告の代理提出や、税務調査での立会い・交渉などが挙げられます。普及している電子申告(e-Tax)もこれに該当します。

 

こうした代理行為は、税金に関する正式な手続きを他人に代わって行うものであり、専門知識と責任が求められる業務です。そのため、税理士法では税理士資格を持つ人だけに認められています。

税務書類の作成

税務書類の作成とは、確定申告書や消費税の申告書、青色申告承認申請書など、税務署に提出する正式な書類を作成する行為を指します。日々の取引を記録する記帳とは明確に区別される、専門的な行為です。

 

こうした書類の作成は、税法に基づいた正確な処理が求められるため、税理士の専門的な知見が必要とされます。そのため、税理士資格を持たない者が作成することは、法律で禁止されています。

 

たとえ会計ソフトが自動で書類を作成しても、その内容を確認し提出用に完成させる行為は税理士の専門領域です。ここには明確な一線があると理解してください。

税務相談

税務相談とは、依頼者に対して税金に関するアドバイスを行う行為のことです。「この経費は落とせますか?」「節税のためにどうすればいいですか?」といった質問に答えるのは、まさに税務相談にあたります。

 

一見すると親切な対応に思えますが、具体的な税務判断を伴う助言は、税理士だけが行える業務に該当します。一般論としての説明であれば問題ありませんが、個別のケースに踏み込むと法的リスクが生じるのです。

 

記帳代行サービスの中には、依頼者との会話の中で無意識に税務相談に踏み込んでしまうケースもあるため注意してください。対応する範囲を明確にし、必要に応じて税理士と連携する体制が望まれます。

記帳代行で税理士法違反となる具体例・適法な業務範囲

税理士の独占業務について理解したところで、実際の記帳代行サービスにおいて、どのようなケースが法律に触れ、どこまでが安全な業務範囲なのかを具体的に見ていきましょう。サービスの広告や契約内容を確認する際に、ぜひ役立ててください。

これはアウト!違法となるケース

税理士の資格を持たない事業者が、先に説明した税務代理や税務書類の作成にあたるサービスを提供することは、法律違反となります。

 

例えば、ウェブサイトなどで「格安で確定申告まで代行します」といった宣伝文句を掲げている場合、注意してください。「申告まで行う」という約束は、まさに税務代理と税務書類の作成そのものを指すためです。

 

また、期末の在庫計上や減価償却費の計算といった専門的な決算整理仕訳を行い、最終的な確定申告書まで作成する行為も、税理士でなければ許されません。

 

さらに、「万が一の税務調査の際も、私たちが立ち会います」といった約束をするケースも、納税者の代理人として交渉を行う税務代理に該当するため違法です。

 

これらのサービスを見かけた際は、記帳代行サービスの提供元に「税理士資格があるか」を必ず確認しましょう。税理士資格が必要な業務は税理士に依頼しているというケースであれば、税理士法上、問題ありません。

これはセーフ!適法な業務範囲

一方で、税理士資格がなくても行うことのできる適法な業務は、あくまで税務判断を含まない事実の記録と会計資料の作成に限定されます。

 

利用者から預かった領収書やレシート、通帳のコピーなどを基に、会計ソフトへ正確にデータを入力する作業は、記帳代行の最も基本的な業務です。

 

また、その入力結果から、日々の取引が記録された仕訳帳や総勘定元帳といった会計帳簿を作成することも、法律上問題はありません。会計帳簿や試算表そのものは、税務署に提出する財務書類(申告書や届出書など)に該当しないため、税理士の独占業務には該当しません。

 

もし税理士法違反が発覚したら?

では、もし資格のない業者に違法な業務を依頼してしまい、その事実が発覚した場合、どのような事態が待っているのでしょうか。税理士法違反は、サービスを提供する側はもちろん、それを利用する依頼者側にもリスクをもたらします。それぞれの立場から、具体的な影響を見ていきましょう。

提供者側の罰則

税理士の資格を持たずに独占業務を行った事業者には、厳しい刑事罰が科せられます。これは、無自覚で知らなかったでは済まされない、明確な法律違反です。

 

税理士法第59条では、違反者に対して「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科すことを定めています。この罰則は、無資格で業務を行った本人だけでなく、安易に名義を貸した税理士なども対象となります。

 

提供者側にとっては、事業の継続が困難になるだけでなく、前科が付く可能性もある非常に重いペナルティです。

依頼者側のリスク

依頼者側には、提供者のように直接的な刑事罰が科されるわけではありません。とはいえ、罰則がないから大丈夫と安心するのは危うい考えです。実際には、金銭面・時間面の大きな負担を背負うリスクがあります。

 

特に注意すべきは、誤った申告による追徴課税です。税務の知識を持たない無資格者によって作成された書類には、不備や誤りが含まれていることも少なくありません。その内容が税務調査などで指摘されれば、納めるべきだった税金に加えて、過少申告加算税や延滞税などのペナルティが発生します。そして、その責任はすべて事業主本人が負うことになります。

 

確定申告を間違った際のペナルティは、下記の記事の中でも説明しているので参考にしてください。

 

合わせて読みたい確定申告で間違いがあっても指摘されない?修正方法を解説



それに、調査の場で無資格者が立ち会うことはできません。納税者の代理としての交渉権限がないため、結局は事業主自身が一人で対応せざるを得なくなります。

 

その場しのぎで安く済ませたつもりが、最終的には多額の税金と多大な労力を支払うことになりかねません。

安全な記帳代行サービスの選び方

税理士法違反のリスクを避け、自社にとって最適なパートナーを見つけるためには、どのような点に注意してサービスを選ぶべきでしょうか。契約を結ぶ前に、確認しておきたい4つの項目を紹介します。

業務範囲の明確さ

まず確認したいのが、どこまでの業務を、どのような形で代行してくれるのかが明確に示されているかどうかです。記帳代行にとどまるのか、それとも税務に関わる領域まで踏み込んでいるのかをはっきりさせておきましょう。

 

とりわけ、「経理業務を丸ごとサポート」「申告までお任せください」といった曖昧な表現で、税理士資格の有無を明らかにしていないケースは注意が必要です。

 

初めて利用する場合は、業務内容をあらかじめ書面で確認し、不明点はしっかり質問しておきましょう。

税理士の関与の有無

記帳だけでなく、最終的な税務申告まで一貫して依頼したいと考えるのであれば、そのサービスに税理士がどのように関与しているかを確認することが不可欠です。

 

運営元が税理士事務所であるか、あるいは社内に税理士が在籍している場合は、記帳から申告までスムーズに連携して対応してもらえます。また、記帳代行会社が特定の税理士事務所と提携しているケースもあります。その場合は、提携先の税理士が誰で、どのような形で業務を引き継いでくれるのかを確認しておきましょう。

 

長期的に見て信頼できるパートナーを選ぶには、専門家との連携体制にも注目することが大切です。

料金体系の明瞭さ

料金設定が分かりやすく公開されているかどうかも、サービスを選ぶ上で欠かせない項目です。記帳代行では仕訳数や業務範囲の広さ、オプションサービスの有無によって料金が変動します。

 

記帳代行の料金相場や料金の決まり方については、下記記事も参考になります。

 

合わせて読みたい記帳代行の相場はいくら?料金体系や選び方を依頼前に押さえよう

 

基本料金に何が含まれているのか、追加料金が発生するタイミングや条件は何かなどを確認しましょう。特に月額制の場合、契約期間や最低利用期間の有無についてもチェックしておくと安心です。

セキュリティ対策

記帳代行サービスには、自社の売上や経費、取引先の情報といった、非常に機密性の高い経営データを預けることになります。そのため、事業者がどのようなセキュリティ対策を講じているかを確認することは、リスク管理の観点から極めて重要です。

 

データの送受信方法が暗号化されているか、預かった書類やデータの保管・管理体制はどうなっているか、情報漏洩を防ぐためのプライバシーポリシーや秘密保持契約(NDA)が整備されているか、といった点を確認しましょう。

 

信頼できる事業者であれば、これらのセキュリティ対策について明確に説明してくれるはずです。

まとめ

本記事では、記帳代行と税理士法違反の境界線について解説しました。記帳代行そのものは法律に触れませんが、税理士の独占業務に踏み込むと違法となります。

 

トラブルを避けるには、業務範囲や税理士の関与を契約前にしっかり確認するようにしてください。

 

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