今、オフィスの縮小が注目されているのをご存じでしょうか?
かつては、オフィスは大きければ大きいほど「成長」企業であると考えられましたが、
2020年現在は必ずしもそうとは言い切れません。
いったい、なぜオフィスを縮小しようとする動きが注目されているのでしょうか?
また、オフィスを縮小することでどのような効果が期待できるのでしょうか?
この記事は、オフィス縮小について生産性向上との観点から、詳しく解説します。
テレワークや在宅勤務制度を効果的に導入したい企業の担当者様は、ぜひ参考にしてください。
新型コロナウイルス対策により不要不急の外出を避ける動きにより、
テレワークや在宅勤務制度の導入が進んでいます。
その結果、企業においてもスタッフの新たな働き方をサポートする動きを見せています。
・リモートワークの支援策の実例
富士通・・・在宅勤務者のために、在宅勤務の環境整備のための準備金として月5,500円(税込み)を支給。
同時に、本社をすべてフリーアドレス化し、
オフィスの規模を2022年までに現在の50%程度に縮小する予定。
GMOパペボ・・・リモートワークの支援策として、
通信費や光熱費を補助するリモートワーク支援を実施。
さらに、オフィスのデスクやチェアなどの無償貸与を実施。
上記のように、テレワークの実施に伴うオフィスの最適化が注目をされていますが、
具体的にオフィスの最適化・縮小とはどのようなことを指すのでしょうか?
この章では、オフィス縮小の概要や背景について解説します。
オフィスの縮小とは、現状よりも小さな規模のオフィスに移転をすることです。
従来は、より都心に近い場所の、より大規模なオフィステナントに移転をすることが
「成長」であると考えられていましたが、今回の新型コロナウイルス禍や新たな働き方の導入などにより、
そのような考え方にも変化が生まれるようになりました。
オフィス縮小は「コストの削減」という目的を実現する手段としても、
さまざまな背景となる要因からも、検討する企業が増えていくことが予想されます。
オフィスの縮小が注目されている背景は、単にコスト削減の目的だけではありません。
その背景としては、以下の事情が挙げられます。
・テレワークやリモートワークを導入する企業が増えていること
→もともとテレワークは働き方改革を実現するための一つの手法として注目されていましたが、
今回の新型コロナウイルス対策として導入率が急上昇し、
東京商工リサーチの調べでは、2020年6月時点で全体の6割以上の企業がテレワークを導入しています。
参考:2020年6月17日付日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL17HLI_X10C20A6000000/
・ITツールの普及
→テレワークを実現するためのオンラインツール
(Web会議・オンライン商談・ビジネスチャット・勤怠管理など)
の普及により、出社をしなくても、従来通りの成果が得られる業務が増えています。
・シェアオフィス・コワーキングスペースなどの充実
シェアオフィスやコワーキングスペースなど、オフィス以外の仕事ができる環境が増えています。
家庭の事情などにより自宅が仕事場として使用できない社員であっても、
仕事をするための場所を確保しやすくなりました。
・リスクの分散
→一拠点に大きな事務所を構えるよりも、オフィスを分散した方が災害などの
トラブルに対するケアに繋がるという考え方により、
企業側の考え方としてオフィスをスリム化させる向きもあります。
これらの背景が組み合わさったところに、
今回の新型コロナウイルスの騒動があり、
オフィスの縮小が一気に注目されるようになったという経緯です。
オフィス縮小によって、最初に期待できるメリットはコストの削減です。
テナント賃料は「坪単価×面積」の計算式で計算されるため、
一般的には面積が小さくなればなるほど毎月の賃料が安くなります。
ただし、オフィス縮小のためにかかるコストについても検討しなくてはならないため、
費用対効果については慎重にシミュレーションする必要があります。
(オフィス縮小によって費用削減できる項目)
・賃料
・月々の光熱費など(利用ボリュームが減る分、コストが減少する)
・スタッフの通勤手当や交通費(本社勤務のスタッフを在宅に切り替えた場合)
(オフィス縮小のためにかかるコスト)
・オフィス移転のための転居費用
・原状復帰費用
・ネットワーク回線や電気工事
・OA機器の設定などの各種工事費用
・旧事務所で契約していたリース契約などの解約費用
・テレワーク勤務手当や新たな雇用形態を活かした新規雇用者の給与など、新たに発生する賃金コスト
※オフィス移転の際には、オーナーや管理会社との契約により
これらの他にも費用が発生する場合があるため、退去を決定する前に詳細を確認しましょう。
オフィス縮小は、単に本社に出勤する人数を減らして、
その人数分のデスクを減少するだけでは効果が限定的になってしまいます。
理想的なオフィス縮小は、フリーアドレス制やABW(Activity-based working)、
テレワークなどを効果的に活用して、必要最小限のスペースで
最大限の成果が得らえるためのワークスペースを構築することです。
ABWは、フリーアドレス制に非常に似た考え方で、
固定席を設けずにプロジェクト単位で仕事を進める働き方のことを指します。
フリーアドレスとの最大の違いは、フリーアドレスが社内の座席を
固定しないという考え方であるのに対して、ABWは社内に限らず
テレワークやコワーキングスペースも含め、プロジェクトの内容に応じて働く場所や時間、
進め方を自由に決定できるということです。
どのような働き方を導入するにせよ、うまく導入できれば、
生産性の向上やコミュニケーションの活性化、イノベーションの創出など、
会社の利益につながる成果が期待できます。
3つ目のメリットは、2020年におけるホットな話題ともいえるものですが、
感染症対策になるというものです。
従来型のオフィスでは、会議・研修・セミナーなどあらゆる面で、
スタッフ同士が同じ場所に集合して、
意思決定したり報告・連絡・相談をしたりするケースが一般的でした。
いわゆる「3密」のリスクが常に付きまとう状態です。
また、接触感染という観点から、多くのスタッフが手に触れるドアノブやデスク、
資料など・手に取るものの多くが細菌の感染リスクをはらんでいました。
オフィスの縮小により、オフィスに集まるスタッフの人数が少なくなると、
人数が減少した分だけ感染リスクは下がります。
また、万が一感染が広がってしまったとしても、
被害の拡大を小規模に抑えることができます。
オフィス縮小にはメリットもありますがデメリットも存在します。
あらかじめ、デメリットを把握してデメリットを回避することが
オフィス縮小を成功させるポイントになります。
オフィス縮小を成功させるために必ず把握しておきたいデメリット・課題を、
ここでは3点紹介します。
オフィス縮小のためにテレワークや在宅勤務制度を積極的に取り入れた際に陥りがちなリスクとしては、
無駄な会議や仕事に直接的に関係のない雑談が
従って、テレワークや在宅勤務を積極的に活用していく企業では、
意識的にコミュニケーションを増やす方法・対策を検討する必要があります。
会議や研修・説明会のやり方についても検討する必要があります。
従来、自社の大会議室を使って集合研修や全社会議・新卒の会社説明会などを開催していた企業は、
オフィスが縮小してしまうとこれらを自社で開催できなくなってしまう可能性があるためです。
対策として考えられる方法は、2点あります。
①ITツールを用いて、Web会議やリモートでの研修体制・オンライン説明会を開催する
②外部会場をレンタルして、自社以外の会場で会社説明会を実施する
新型コロナウイルス対策により、ZOOMを用いたオンライン飲み会が話題にもなりましたが、
傾向としては会議や説明会・営業の商談などできる部分はオンラインで実施する企業が増えています。
縮小後のオフィスレイアウトや、機器の設置場所などについて、
綿密に計画をしなければ業務効率が低下してしまう可能性があります。
現場のスタッフの意見を取り入れながら、
規模縮小によるデメリットが生じないように計画を立てましょう。
むしろ、オフィスの縮小やテレワークの導入により
業務効率が高まるように対策を講じていく必要があります。
オフィス縮小により生産性の向上や業務効率化・
最後に、オフィス縮小を成功させるためのコツを3点紹介します。
まずは、オフィス縮小の目的を明確にし、全てのスタッフに周知することが大切です。
売上の拡大、スタッフの感染症対策、業務効率の向上など、
目的は一つに絞れないかもしれませんが、
目的があいまいなままオフィス縮小を実行しようとしても、
スタッフが意図を分かっていなければ効果は期待できません。
またテレワークの導入など、新たな働き方を導入することにより、
対象者と非対象者で不公平感が生じてしまう場合があります。
この不公平感が不満や信頼関係の低下につながってしまわないようにするためにも、
オフィス縮小の目的を明確化する必要があります。
小さなオフィスで従来以上の成果を発揮するためには、さまざまなツールを活用することも大切です。
例えば、社員間のコミュニケーションを活性化するツールや、
勤怠管理をするためのツール・在宅スタッフとの資料共有を可能にするためのツールなどです。
私たちが提供している「VWSシリーズ」では、
勤怠管理ツールやビジネスSNSツール、
営業支援ツールなどウィズコロナ時代の「働き方改革」に対応するためのツールをご提供しております。
それぞれ安価に導入できるのが強みの一つでもあり、
スモールスタートとして部署単位・チーム単位で始めてみるという場合にもおすすめです。
▼勤怠管理ツール https://vws-biz.com/kintai/
▼ビジネスSNSツール https://vws-biz.com/jandi/
▼営業支援ツール(SFA) https://vws-biz.com/next-sfa/
オフィス移転に踏み切る際には、
先にテレワークや在宅勤務制度などを導入することで、
少なくとも仕事の効率が落ちないことをチェックしてから実施することが必要です。
この確認をせずに、トップダウンでオフィスの縮小化を決定してしまうと、
オフィスを移転したあとに問題が見つかったときに後戻りをすることが困難になってしまいます。
必要であれば、先にツールを導入してテスト的にテレワークを導入し、
社員に対して改善点や要望をアンケートするなどの対策が必要です。
新型コロナウイルス禍を一つのきっかけとして、オフィスの縮小が注目されています。
その核となるのは、テレワークの導入や新しい働き方の導入など、
近年のビジネスで非常に注目されてきた考え方です。
ただし、オフィス縮小を成功させるためには、
縮小しても業務効率が下がらない仕事の進め方を検討する必要があります。
まず、オフィス縮小の目的を定め、利用する効果的なツールを選定し、
本格導入の前にチェックを行ったうえで、
導入準備を進めるといった流れでオフィスの最小化を実践していただけたら幸いです。