採用にかけた時間と費用、そして何より、新しい仲間が来てくれると期待した気持ち。
それなのに、アルバイトが数週間や数か月で辞めてしまうと、がっかりしてしまいますよね。
「求人の出し方が悪かったのか」「それとも職場に問題があるのか」と、原因が分からないまま、また募集をかける状況が続いている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、アルバイトがすぐ辞めてしまう原因を「採用段階」と「職場の受け入れ段階」に切り分けて見極める方法と、定着率を上げるための具体的な対策を、公的な統計や各種調査をもとに整理します。
読み終えるころには、自社の場合はどちらに課題がありそうかを判断し、明日から何を変えればよいかが分かるはずです。
【この記事の結論:一番にお伝えしたいこと】
アルバイトがすぐ辞める原因は、採用と職場のどちらか一方ではなく、両方が絡み合っていることが多いです。求人や面接で聞いていた話と実際の仕事が違うという「採用段階のギャップ」と、職場の雰囲気や人間関係、入社直後の受け入れ態勢といった「職場の問題」の両面から確認するのが近道です。マイナビの調査では、早期離職の理由の上位に、職場の雰囲気や人間関係が挙がっています。まずは辞めた人の時期と理由を整理して、どちらの傾向が強いかを切り分けてください。そのうえで、仕事の大変な面も含めて正直に伝える採用と、初日から1か月の関わり方を整える受け入れの両方を進めれば、定着率は改善しやすくなります。
アルバイトがすぐ辞めてしまうと、「採用した人がたまたま合わなかった」と考えたくなるものです。
しかし、辞める人が続く場合は、個人の問題ではなく、仕組みに原因があることがほとんどです。
原因は大きく2つに分けられます。
1つ目は、求人情報や面接での説明と、実際の仕事のあいだにずれがある「採用段階」の問題です。
2つ目は、職場の雰囲気や人間関係、入社直後の教え方といった「職場の受け入れ段階」の問題です。
2つは別々に見えて、実際には重なって起こります。
たとえば、仕事内容を正確に伝えていなくても、入社後に丁寧に教えてもらえれば納得して続けられる人もいます。
反対に、条件を正しく伝えていても、職場の雰囲気になじめなければ辞めてしまう人もいます。
だからこそ、どちらか一方だけを直そうとせず、両方を順番に点検することが大切です。
まず、全体の状況を確認しておきましょう。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査」によると、パートタイム労働者の離職率は23.1%で、前年の21.3%から上昇しました。
フルタイム労働者の離職率は11.9%で、パートタイム労働者はその約2倍にあたります。
この調査は、アルバイトを含む短時間で働く人たちの傾向を知る参考になります。
産業別に見ると、離職率がもっとも高いのは宿泊業・飲食サービス業の26.8%でした。
次いで、サービス業(他に分類されないもの)が19.4%となっています。
これらの数字は、アルバイトが多い業種ほど、人が入れ替わりやすい傾向があることを示しています。
つまり、アルバイトが辞めやすいのは、決して自社だけの問題ではありません。
ただし、同じ業種でも定着している店舗は存在するため、自社でできる対策を探す価値は十分にあります。
原因を見分ける第一歩は、これまでに辞めた人の情報を一覧にすることです。
表計算ソフトなどに、入社日、退職日、働いた期間、本人が伝えた理由、担当した上司、働いていた時間帯を書き出してみましょう。
数人分でも並べると、「同じ時期に辞めている」「同じ上司の下で辞めている」といった傾向が見えてきます。
| 見るポイント | 採用段階の問題が疑われるサイン | 職場の問題が疑われるサイン |
|---|---|---|
| 辞めた時期 | 働き始めて間もなく「聞いていた話と違う」と辞める | 仕事に慣れてきた頃に、雰囲気や人間関係を理由に辞める |
| 退職理由 | 仕事内容、シフト、時給などの条件のずれ | 職場の雰囲気、特定の人との関係、指導の仕方 |
| 辞めた人の共通点 | 同じ求人や同じ採用ルートから入った人が多い | 同じ時間帯や、同じ上司の下で辞めている人が多い |
| 在籍者の声 | 「思っていた仕事と違う」と話す人が多い | 「質問しづらい」「居場所がない」と話す人が多い |
上の表はあくまで一般的な見方です。
実際には両方のサインが同時に出ることもあるため、「どちらか」ではなく「どちらの傾向が強いか」を見る目安として使ってください。
一覧で傾向をつかんだら、辞めた人や今働いている人の声も聞いてみましょう。
ただし、退職時に聞いた理由が、本当の理由とは限らない点に注意が必要です。
ビズヒッツがアルバイトを辞めた経験者500人に行った調査(マイナビニュースが紹介)では、辞めた理由を職場に本当に伝えたのは約6割でした。
残りの約4割は、実際とは違う理由を伝えていました。
同じ調査では、職場に伝えた理由として「学業に専念するため」が最も多かった一方で、本音は人間関係や条件への不満だったという例が紹介されています。
さらに、辞めた理由の1位は人間関係でした。
つまり、退職時に聞く理由だけを見て「学業が忙しくなったなら仕方がない」と判断すると、本当の原因を見逃してしまうおそれがあります。
本音を引き出すには、辞める本人よりも、今働いているスタッフに聞くほうが話しやすい場合があります。
「働いていて困っていることは何か」「入社したときに戸惑ったことは何か」といった、答えやすい質問から始めてみてください。
評価や指導のための面談とは切り離し、「職場をよくするために聞いている」と伝えることも大切です。
採用段階の問題として、まず多いのが、仕事内容が思っていたものと違うというギャップです。
dip(バイトル)のコラムでは、求人情報や面接時の説明と実際の業務内容にギャップがあると、不満が生じやすいと解説されています。
求める能力と本人のスキルが合っていない場合や、新人に不相応に重い責任を課した場合も、離職のリスクが高まるとされています。
マイナビキャリアリサーチLabの「アルバイト就業者調査(2024年)」でも、想定していた仕事内容ではなかったという理由は、30代から60代で高い傾向がありました。
また、想定よりも仕事がきつかったという理由は、早期離職の要因の32.5%を占めています。
求人票に書かれていない大変な部分があると、入社後に「聞いていない」と感じて辞めてしまう人が出やすくなるのです。
仕事内容に加えて、シフトや時給といった条件の食い違いも、早期離職の原因になります。
ビズヒッツの調査では、辞めた理由として、シフトに入れてもらえない、希望の休みが取れない、時給と仕事内容のバランスが悪いといった声が紹介されています。
dipのコラムも、条件が割に合わないという不満や、融通の利かないシフトが離職につながると指摘しています。
特に学生の場合は、注意が必要です。
マイナビの調査では、高校生や大学生は、シフトや休みが希望どおりにならないことや、学生生活との両立への理解がなかったことを理由に挙げる割合が高い傾向にありました。
面接の段階で、希望するシフトの入り方、試験期間の休み、残業の有無などを具体的にすり合わせておくと、入社後の食い違いを減らせます。
採用段階の説明が正確でも、入社後の受け入れが不十分だと、早期離職につながります。
マイナビの調査では、早期離職の要因として最も多かったのは、職場の雰囲気が良くなかった、または自分に合わなかったという理由で、39.4%でした。
同じ調査では、働き始めたばかりの際の受け入れサポートが不十分だったという理由が、10代から20代で高い傾向にあったとされています。
初日は誰でも緊張しており、周囲の様子を敏感に感じ取っています。
誰が何を教えてくれるのか、どこで休憩するのか、困ったときに誰に聞けばよいのかが分からないままだと、「自分の居場所がない」と感じてしまいがちです。
こうした小さな不安の積み重ねが、数日から数週間での退職につながることがあります。
職場の人間関係も、定着に大きく影響します。
マイナビの調査では、上司や同僚など職場の人間関係が合わなかったという理由が31.4%、上司や先輩から理不尽な指摘や指導があったという理由が29.1%でした。
ビズヒッツの調査でも、辞めた理由の1位は人間関係でした。
では、アルバイトは上司にどんな姿勢を求めているのでしょうか。
マイナビの調査で理想の上司像の上位に挙がったのは、いつでも相談できる雰囲気がある、または親しみやすいこと(59.9%)、指示が的確であること(57.2%)、感情的にならず穏やかであること(56.9%)でした。
また、えこひいきをしないことも、過去3年で重視される傾向が強まっています。
つまり、特別なことをするよりも、相談しやすく、指示が分かりやすく、公平であることが、定着の土台になるといえます。
3つ目の要因は、働き方の条件です。
仕事量に対して時給が見合っていない、シフトの融通が利かない、といった不満は、人間関係の問題と並んで離職の理由になります。
特に、人手が足りない職場では、一人ひとりの負担が増え、シフト変更も認められにくくなります。
その結果、さらに人が辞めて人手不足が深刻になるという悪循環に陥りがちです。
この悪循環を断つには、「辞めさせない」ことよりも、「無理なく続けられる条件」を整えることが大切です。
たとえば、新人に最初から多くの業務を任せすぎない、希望休を申請しやすい仕組みをつくる、といった工夫が考えられます。
人手不足の中で完璧を目指す必要はありません。
まずは、辞めた人から多く聞かれた不満を一つ選び、そこから手をつけてみてください。
採用段階の対策は、良い面だけでなく、仕事の大変な面も含めて正直に伝えることです。
dipのコラムでも、業務内容は選考段階でなるべく具体的に伝えることが大切で、曖昧な伝え方をすると求職者が自分の都合で解釈し、入社後にミスマッチが生じやすいと説明されています。
求めるスキルや人物像まで伝えられると、さらに望ましいとされています。
具体的には、次のような点を求人票や面接で伝えておくと、入社後のギャップを減らせます。
求職者に「大変そう」と思われないか、と心配になるかもしれません。
しかし、あらかじめ納得したうえで入社した人のほうが、入社後に辞めにくいと考えられます。
入社後の対策で特に重要なのが、最初の1か月の関わり方です。
ツナグ働き方研究所は、アルバイト・パートの入社時のコミュニケーションを調べた調査(2015年に実施、2017年に公表)で、現場に出る前の座学、マニュアルの整備、教育担当の配置を挙げ、「ぶっつけ本番」のOJTを避けるよう提言しています。
同じ調査では、14の項目について上司からの働きかけの過不足を分析し、どの項目でも「やりすぎ」は見られなかったと報告されています。
つまり、新人への働きかけは、多すぎるくらいでちょうどよいということです。
あわせて、職場全体で居場所をつくることも提案されています。
具体的には、全体ミーティングを活用する、職場全員の名前が分かる仕組みをつくる、といった方法です。
同研究所は、新人が少なくとも勤務1週間ほど安定して働いてはじめて、採用が成功したと考えるくらいの意識が必要だと述べています。
こうした取り組みは、費用をほとんどかけずに、今日から始められます。
関わり方は、相手の世代や立場によって少しずつ変えると、より効果的です。
マイナビキャリアリサーチLabの調査では、理想の上司像の上位項目は年代や属性を問わず共通していました。
その一方で、高校生や大学生は、仕事への誇りを持っていることや人脈の広さも上司に求める傾向がありました。
また、60代から70代では、指示が的確であることを最も重視する傾向が見られました。
このことから、年代によって次のような関わり方が考えられます。
10代から20代の若い人には、受け入れのサポートを手厚くし、仕事の意義や成長できる点を伝えます。
主婦(主夫)やシニア世代の方には、指示を具体的に出し、家庭の事情に配慮したシフトを組みます。
これらは調査結果をもとにした一般的な考え方です。
目の前の一人ひとりの事情に合わせて、柔軟に調整してください。
実際に「辞めたい」と言われたときは、すぐに引き止めるのではなく、まず理由を丁寧に聞くことが大切です。
ビズヒッツの調査では、辞めるときに責任者や上司に直接伝えた人が8割を超えていました。
多くの人が、礼儀として直接伝えようとしていることが分かります。
だからこそ、伝えられたときに感情的に反応せず、落ち着いて受け止める姿勢が求められます。
引き止めを強くしすぎると、かえって本音を話してもらえなくなります。
前述のとおり、本当の理由を伝えない人も約4割いるためです。
「教えてもらえると、今後の職場づくりの参考になる」と伝えて、無理のない範囲で聞いてみてください。
得られた内容は、次の採用の求人票や、受け入れの方法を見直す貴重な材料になります。
辞める人からの学びを活かせる職場は、少しずつ辞める人が減っていきます。
アルバイトがすぐ辞める原因は、採用段階のギャップと、職場の受け入れ段階の問題の両面にあります。
まずは辞めた人の時期と理由を一覧にし、どちらの傾向が強いかを切り分けてみてください。
退職時に伝えられる理由が本音とは限らないため、今働いているスタッフの声も参考にすることが大切です。
対策は、採用段階と受け入れ段階に分けて進めます。
採用段階では、仕事の大変な面も含めて、求人票や面接で具体的に伝えます。
受け入れ段階では、初日から最初の1か月の関わり方を整え、「ここに自分の居場所がある」と感じてもらうことを最優先にします。
パートタイム労働者の離職率がフルタイムの約2倍という状況は、自社だけの問題ではありません。
できることから一つずつ見直し、長く働きたいと思ってもらえる職場づくりを進めていきましょう。
Q. アルバイトがすぐ辞めるのは、採用のミスでしょうか?それとも職場のせいでしょうか?
A. どちらか一方とは限らず、両方が関係していることが多いです。求人や面接での説明と実際の仕事が違う「採用段階のギャップ」と、職場の雰囲気や入社直後の受け入れ態勢という「職場の問題」の両面から確認してください。辞めた人の時期や理由を一覧にすると、どちらの傾向が強いかが見えてきます。
Q. アルバイトが辞める理由として、特に多いものは何ですか?
A. マイナビの「アルバイト就業者調査(2024年)」では、早期離職の要因として、職場の雰囲気が良くなかった・自分に合わなかった(39.4%)、想定よりも仕事がきつかった(32.5%)、職場の人間関係が合わなかった(31.4%)などが上位でした。人間関係や雰囲気に関する理由が多い点が特徴です。
Q. 新しく入ったアルバイトに長く働いてもらうには、まず何をすればよいですか?
A. 最初の1か月の受け入れを丁寧にすることから始めましょう。教育担当を決める、現場に出る前に仕事の基本を教える、職場全員の名前が分かる仕組みをつくるなど、居場所を感じてもらう工夫が効果的です。あわせて、求人や面接では仕事の大変な面も含めて正直に伝えると、入社後のギャップを減らせます。
【採用や働き方のお悩みは、VWSにもお気軽にご相談ください】
アルバイトの定着は、採用の工夫から入社後の関わり方まで、見直すべき点が多く、悩みを抱える店舗や事業所の担当者さまも少なくありません。VWSでは、「すべての企業へ、もっと働きやすい環境を」という考えのもと、勤怠管理や人事管理をはじめとする、業務の効率化と働きやすい職場づくりを支える情報とサービスをご提供しています。採用・労務・組織づくりについて整理したいことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。皆さまの状況に寄り添いながら、課題解決のお手伝いをいたします。