医療DXが進まない理由とは?知っておきたいメリットや事例も詳しく解説
少子高齢化や医師・医療従事者の不足など医療現場をめぐる課題は数多くあります。
これらの解決手段として注目されるのが、医療DXによる業務効率化ですが、実際には遅々として進まないのが現実です。
本記事では、医療DXが進まない理由について解説するとともに、メリットについても紹介しています。
また、ビジネスチャットに代表されるグループウェアなど導入しやすい医療DX事例についても紹介しているので、病院・クリニックの業務効率に課題を持っている医療従事者のかたは、参考にしてください。
医療DXとは
医療DXとは、医療業界におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)という意味で、デジタル化を通じた変革のことを指します。
情報通信技術(ICT)やAI(人工知能)などデジタル技術を導入し、医療サービスの品質向上や医療従事者の業務効率化、患者の利便性向上などを実現するのが医療DXの目的です。
身近な例では、電子カルテの導入やオンライン診療、グループウェアなどが挙げられます。
少子高齢化が進む日本では、2025年にはいわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となり、ますます効率的な医療提供体制としての医療DXが求められているのです。
医療DXが進まない理由
医療の現場では人材不足などさまざまな課題が山積し、DXの推進を妨げています。
ここでは、医療DXが進まない理由として、以下の4つについて解説します。
- 人材不足
- ITリテラシーの不足
- 予算不足
- 電子カルテ化の遅れ
日本の医療を改革していくためには、これらの課題を一つ一つ解決していくことが求められます。
人材不足
そもそも、日本の医療業界は慢性的な人材不足に悩まされています。少子高齢化も相まって、医療を必要とする患者数は増加するのに対して、医療を提供する医師や看護師、その他の医療従事者は不足しているのが現状です。
そのような背景もあり、医療ITに専門的に携われる人材を確保するのは容易ではありません。医師や看護師の採用もままならない中で、医療IT担当者を配置するのは現実的ではないでしょう。
このようにDXを推進する立場の人材不足が、医療DXが進まない理由のひとつとして挙げられます。
ITリテラシーの不足
医療現場では、スタッフのITリテラシー不足という問題が指摘されてきました。
従来、医事課など事務部門を除き、医師や看護師たちは業務でパソコンを操作する機会が少なく、基本的な操作にも不慣れであるケースが珍しくありません。
業務を効率化するためのシステムであるはずなのに、それを使いこなすことができず、逆に生産性を落としかねない事例すら見られます。
このような現場スタッフのITリテラシー不足は、医療DXを進める上で大きな課題であるといえるでしょう。
予算不足
DXを推進するためにはITシステム導入など多大なコストを要する場合があるため、予算不足によりデジタル化を進められないことが考えられます。
例えば、電子カルテシステムを導入する際、電子カルテ化に伴う他の部門のシステム導入・入れ替えも必要となることが多いです。病院には検査や画像診断、医事、健診などさまざまな部門があり、電子カルテシステムを核に各部門のシステムとの連携が必要となります。
そのため予算は大きくなりがちで、そう簡単にはDXを進められない壁にぶつかるのです。
医療DXを進めるメリット
医療DXによる主なメリットは、医療サービスの品質向上と業務効率化、患者の満足度向上の3つに分けられます。
これらは相互に関連しています。
DXにより業務効率化をするからこそ医療サービスの品質が向上し、その結果として、患者の満足度が向上するという関係です。
医療サービスの品質向上
医療DXにより診断の正確性を高めるなど正確な医療の提供ができれば、医療サービスの品質向上に役立ちます。
診断の正確性を高めるDXの一例として、電子カルテシステムを挙げることができるでしょう。
電子カルテシステムにより患者の検査情報やカルテ情報が自動的に連携すれば、正確なデータの閲覧が可能となり、紙カルテで起こりがちな転記ミスなどを減らせます。
また、電子化されたデータであれば、アプリなどを通じて患者に共有することもできるでしょう。
このようにDXを進めることにより、医療サービスの品質向上を実現できます。
業務効率化
働き方改革により医師の長時間労働が問題視される中で、業務効率化による労働時間短縮は喫緊の課題です。
医師は医療の提供だけではなく、診断書の作成など事務作業も多いものです。そのような作業をITツールやシステムに負わせることにより、医師の負担を軽減させることができます。
また、システムにより医師や看護師などの配置を管理し、偏った人材配置を是正することも可能です。これが結果として、病院全体の業務効率化にも繋がります。
このようにDXは、ITツールやシステムを通じて業務効率化に役立てることができます。
患者の満足度向上
DXは患者の満足度向上においても、新しい価値を見出しつつあります。
患者が病院を受診する際に悩みの種のひとつとなりやすいのが診察までの待ち時間ですが、これをITツールで改善することが可能です。
最近は予約や問診票の記入をアプリで済ませられるようなシステムが登場しており、外来診察における待ち時間の短縮に繋がっています。
また、電子カルテシステムで各部門が連携していることにより、診療情報が滞りなく医事システムに流れ、会計までの待ち時間も減らせるでしょう。
このようなITシステムにより患者の満足度は向上し、ストレスなく受診することができます。
医療DXの事例
身近な医療DXの事例として、以下の3つを紹介します。
- オンライン診療
- Web問診システム
- グループウェア
導入しやすいものから対応していけば、少しずつでも着実にデジタル化を通したDXを推進できるので、参考にしてください。
オンライン診療
オンライン診療とは、ビデオ通話システムなどを用いて行う診療を指します。
日本ではオンライン診療の導入がなかなか進みませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に解禁されていきました。
オンライン診療が利用できれば、患者は自宅にいながら診療を受けられるため感染予防や待ち時間短縮が期待できます。スマホひとつあれば受診が可能で、患者にとっては利便性が高いものといえます。
Web問診システム
Web問診システムとは、患者がオンラインで入力する問診票です。
従来は病院に足を運んでから受付時に紙の問診票を書いていましたが、Web問診票があれば受診前に自宅で記入を済ませられ、スムーズに受診ができます。
また、紙の問診票は医療従事者がカルテに転記したり、ファイリングする手間が発生しますが、Web問診票なら患者が入力した情報をそのまま電子カルテシステムに移行させることもできます。
このようにWeb問診票は、患者にも医療従事者にもメリットがあるシステムです。
グループウェア
グループウェアとは、組織のスケジュールや業務管理などの情報共有やコミュニケーションを円滑にするためのツールです。
グループウェアの一種といえるビジネスチャットでは、メールよりもリアルタイム性に優れ、関係者全員が迅速に情報共有できます。
また、1対1が基本であるメールに対して、複数人でやりとりすることが目的であるビジネスチャットならグループコミュニケーションの不足も解消できます。
医療の現場では状況の変化が激しく、スピーディーな情報共有が求められますが、その際にグループウェアとしてのグループチャットは重要な役割を果たしてくれるでしょう。
まとめ
医療DXが進まない理由やメリット、事例について解説しました。
導入しやすい医療DXの事例として、グループウェアがあります。
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