近年、長時間労働の常態化や悪質な労働環境による過労死、
過労自殺などが大きな社会問題として取り上げられています。
その結果、労働環境の大幅な見直しが求められるようになってきました。
しかし、今までは当たり前とされてきたやり方を、
すぐに変えるという事は容易なことではありません。
そこで今注目されているのが、労働環境の是正に取り組む中小企業に対しての助成金です。
この記事では、これからの日本社会で求められている労働環境の改善を行うための1つの助けとなる、助成金についてご紹介していきます。
現在、過労による病気や自殺が問題視される中で、
セットで議論されるものは時間外労働です。
そんな時間外労働が起こる要因としては、
効率の悪い業務や勤務体系の管理不足といったことが挙げられています。
そこで、労働環境の改善を行う中小企業に対して、
時間外労働等改善助成金が創立されました。
以下では、その時間外労働等改善助成金についてご紹介します。
2020年4月1日から、中小企業に対して時間外労働の上限規制が導入されます。
それに伴い、多くの企業が長時間労働の見直しを急いで進めています。
その労働環境の改善のために費用の一部を支援する、
「時間外労働等改善助成金」という制度があります。
対象となるのは、何カ月も時間外労働や休日労働を行った社員がいる中小企業となります。
ちなみに、この中小企業の範囲は以下の通りとなります。
業種 | 資本または出資額 | 常時使用する労働者 |
小売業 (飲食店を含む) |
5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
申請には、この条件に当てはまる中小企業が対象であり、
かつ8つの取り組みを実施し、3つの成果目標達成を掲げた上で、労働基準監督署へ届出を行うことが必要です。
定められた8つの取り組みと3つの成果目標は、
細かく条件設定を行われているため、厚生労働省のホームページの要綱を確認して行う必要があります。
これらの取り組みを行うことによって、
労働環境改善のために発生した費用の一部が支給されます。
時間外労働等改善助成金の支給を受けるためには様々な条件があり、
この条件を満たした場合、申請をする必要があります。
時間外労働等改善助成金の申請をするためにはまず、
厚生労働省のホームページ
から交付申請書をダウンロードし、必要箇所を記載します。
その後、締め切りまでに最寄りの労働局雇用環境・均等部に提出をすれば、申請完了となります。
ここでご紹介をさせて頂く業務改善助成金は、
生産性向上を支援し事業場内最低賃金の引上げを図るためのものです。
生産性向上のために行う設備投資などにかかった費用の一部を支援するものが、
業務改善助成金となります。
ここでは、その業務改善助成金の対象や助成額、
申請方法と流れについてご紹介をしていきます。
支給の要件は、事業場内最低賃金が850円未満であること、
事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること、
事業場規模が100人以下であること、
という条件の他にもいくつかクリアする条件があります。
これらの条件を満たしていた場合、3つのコースを選択し、さらに賃金を引き上げる労働者の数によって助成金額が変わってきます。
コース区分 |
引き上げる労働者数 |
助成上限額 |
助成率 |
25万円コース |
1人 |
25万円 |
4/5 生産性要件を満たした場合は 9/10 |
2人~3人 |
40万円 |
||
4人~6人 |
60万円 |
||
7人以上 |
80万円 |
||
60万円コース |
1人 |
60万円 |
|
2人~3人 |
90万円 |
||
4人~6人 |
150万円 |
||
7人以上 |
230万円 |
||
90万円コース | 1人 |
90万円 |
|
2人~3人 |
150万円 |
||
4人~6人 |
270万円 |
||
7人以上 |
450万円 |
この生産性要件に関しては、支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性を比較し、
労働者1人当たりの付加価値の伸び率が、
一定水準を超えている場合等に、
加算して支給される仕組みになります。
詳しい内容に関しては厚生労働省のホームページに記載されております。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html)
中小企業の生産性を向上させて賃金を上げる支援となる業務改善助成金ですが、
条件を満たすのに加えて申請書の提出も必要になります。
まず、厚生労働省のホームページにある、
助成金交付申請書・業務改善計画(設備投資などの実施計画)と賃金引上計画(事業場内最低賃金の引上計画)を作成し、都道府県労働局に提出。
その後、交付申請書の審査を行い、助成金の交付決定通知が行われます。
そして、提出した業務改善計画と賃金引上計画に沿って、
設備投資を行っていきます。
それから、事業実績報告書を作成し都道府県労働局に提出することになります。
事業実績報告書に基づき、都道府県労働局審査を行い、
内容が適正と認められれば助成金額を確定します。
最後に、助成金額の確定通知を受けた事業主は、
支払請求書を提出するという流れになります。
時間外労働と最低賃金などのように、私たちの労働環境にはまだまだ改善の余地があります。
これらの労働環境の問題に加えて、
迅速に対策を考えなければいけない問題が、
正社員と非正規雇用労働者との待遇格差です。
この待遇格差によって非正規雇用労働者の賃金が、
正社員のものと比べて低く設定されており、
労働意欲を損なう原因となります。
キャリアアップ助成金は、
非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、
正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度です。
キャリアアップ助成金は、
非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために、
正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対する制度のことです。
正社員化や処遇改善を行うことにより、
労働者の意欲や能力を向上、
優秀な人材の確保といった効果が見込めるでしょう。
このキャリアアップ助成金を受給するためにも条件が設定されており、
それに加えてコース毎に条件が設けてあります。
キャリアアップ助成金の給付を受けるためには、
これらの条件を満たしている必要があります。
それらの細かい条件は、
厚生労働省のホームページの要綱に記載されているので、併せてご確認ください。
キャリアアップ助成金には7つのコースが設定されており、
そのコースによって助成額や内容が変わります。
以下にその内容をまとめさせて頂きました。
表の中には2種類の金額が設定されていますが、
<>は生産性の向上が認められる場合の金額となっています。
①正社員化コース
区分 |
1人当たりの助成額 |
有期→正規 |
1人当たり57万円<72万円> |
有期→無期 |
1人当たり28万5,000円<36万円> |
無期→正規 |
1人当たり28万5,000円<36万円> |
②賃金規程等改正コース
区分 |
対象労働者数 |
1事業所当たりの助成額 |
すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
|
1人~3人 |
9万5,000円<12万円> |
4人~6人 |
19万円<24万円> |
|
7人~10人 |
28万5,000円<36万円> |
|
11人~100人 |
2万8,500円<3万6,000円> |
|
一部の賃金規定等を2%以上増額改定した場合 |
1人~3人 |
4万7,500円<6万円> |
4人~6人 |
9万5,000円<12万円> |
|
7人~10人 |
14万2,500円<18万円> |
|
11人~100人 |
1万4,250円<1万8,000円> |
③健康診断制度コース
1事業所当たりの助成額 |
38万円<48万円>(1事業所当たり1回のみ) |
④賃金規定等共通化コース
1事業所当たりの助成額 |
57万円<72万円>(1事業所当たり1回のみ) (※共通化した対象労働者(2人目以降)については助成額を加算。 1人当たり20,000円<24,000円>(上限20人まで) |
⑤諸手当制度共通化コース
1事業所当たりの助成額 |
38万円<48万円>(1事業所当たり1回のみ) (※共通化した対象労働者(2人目以降)については助成額を加算。 1人当たり15,000円<18,000円>(上限20人まで)
同時に共通化した諸手当(2つ目以降)について、助成額を加算。 諸手当の数1つ当たり16万円<19万2,000円>(上限10手当まで) |
⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース
基本給の増額割合 |
1人当たりの助成額 |
3%以上5%未満 |
29,000円<36,000円> |
5%以上7%未満 |
47,000円<60,000円> |
7%以上10%未満 |
66,000円<83,000円> |
10%以上14%未満 |
94,000円<11万9,000円> |
14%以上 |
13万2,000円<16万6,000円> |
⑦短時間労働者労働時間延長コース
区分 |
週所定労働時間 |
1人当たりの助成額 |
短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合 |
―
|
22万5,000円<28万4,000円> |
労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を延長し、 |
1時間以上2時間未満 |
4万5,000円<57,000円> |
2時間以上3時間未満 |
9万円<11万4,000円> |
|
3時間以上4時間未満 |
13万5,000円<17万円> |
|
4時間以上5時間未満 |
18万円<22万7,000円> |
3-2 キャリアアップ助成金の申請方法
キャリアアップ助成金の申請方法は下記になります。
①キャリアアップ計画書に必要事項を記載し、都道府県労働局へ提出
②各コースに沿った改善策を実施
③給付申請を行う
また、各コースで行う改善策に関しましては、厚生労働省のホームページを参考に行う必要があります。
働く環境によって自ら命を絶つ悲劇が多く報道されており、
近年では、労働環境の改善を望む声が上がっています。
そして、なかなか環境の変化に踏み切りにくい中小企業に対しても、
政府は様々な支援を発表しています。
今回ご紹介させて頂いた3つの助成金の制度もその一環です。
そんな労働環境の改革で最も大切なことは勤怠の管理です。社員一人ひとりの勤務時間を正確に把握し、それに対してどう是正していくかという事が大きなポイントになります。
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