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ワクチン休暇とは?考え方の概要や事例を解説

作成者: vws_ad0523|Jul 25, 2021 11:30:01 PM

「ワクチン休暇」についてご存じでしょうか?

新型コロナウイルスのワクチンが開発され接種が進んでいる中で、国内外では接種のための時間の確保や副反応についての課題が取りざたされています。

したがって、勤務時間中であってもワクチン接種を受けられ、さらに副反応症状を見越してゆっくりと休めるようにするために、ワクチン休暇が考えられました。

 

この記事ではワクチン休暇の概要と、アメリカでの事例をご紹介します。

従業員の健康を守り、モチベーション管理をおこなう上でも重要な考え方なので企業の経営者や人事・労務の責任者の方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次
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ワクチン休暇とは?

ワクチン休暇という用語をはじめて目にした方もおおいのではないかと思います。 まずはワクチン休暇の全体像についてチェックしておきましょう。

1-1.概要

ワクチン休暇とは、新型コロナウイルスの予防接種を受ける際に取得できる休暇制度のことです。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるためには、予防接種を急ピッチで展開する必要があります。
多くの会社員が定休日をとっている土日に接種が集中してしまうと、供給側の体制が追い付きません。
そこで日本政府は、企業に対してワクチン接種のための有給休暇の付与を呼び掛けています。
法律などで定義されているわけではないため、実際に休日が付与されるか否かは各企業の判断にゆだねられることになっています。

1-2.背景

政府が企業に対してワクチン休暇を呼び掛けているのは、以下の3つの背景があります。

・休日(土日)にワクチン接種が集中するのを防ぐため
・副反応による体調不良の懸念や業務への悪影響の防止
・ワクチン接種率を速やかに向上させる
そして、これらの根底にあるのが新型コロナウイルスによる社会やビジネスの停滞を防ぐために、より多くの人々が一日でも早くワクチンを接種すべきであるという考え方です。

アメリカでのワクチン休暇の取り組み

「ワクチン休暇」の考え方について、具体的なイメージがしづらいという方もいらっしゃるかもしれません。

あるいは、会社側がそこまでの対応をすべきなのか、と疑問に感じている方もいるでしょう。
この章では、より具体的な事例から学んでいただくために、日本よりも先駆けてワクチンの接種が進んでいるアメリカでの状況をご紹介します。

2-1.大統領が声明を発表

2021年1月にバイデン大統領は、従業員数500名未満の中小企業や非営利団体に対して、ワクチン休暇制度を設けるように強く要請しました。

企業が従業員に対してワクチン休暇の制度を確保した場合、政府は特別な税制控除を認め、従業員1人あたり最大511ドル(10日間)分の有給休暇をカバーしています。
この際バイデン大統領は、以下の趣旨のコメントを発表しています。 「全社員は有給休暇を取得して予防接種を受けるべきである。
企業は社員に有給休暇を与えても損失を被らないことから予防接種を受けられない状況はなくなる」

2-2.アメリカでのワクチンの接種状況

ワクチンの供給体制の違いもあるため単純比較はできませんが、アメリカでは過半数の国民(16歳以上)が1回以上のワクチン接種を完了しています(2021年5月時点)。

また、2回目のワクチン接種が完了している大人も33%となっており、年内に全国民の75%が完全にワクチン接種を済ませるとの見込みが発表されています。
一方、日本は2021年5月時点での接種率は、1%程度(約100万人)です。
医療従事者や高齢者から順に、ワクチンの供給がはじまったばかりという状況です。

2-3.企業での取り組み

アメリカの一部の企業では、国からの要請以上にスタッフに対して厚いフォローをおこなっています(国からの有給休暇支援の対象となっていない大手企業に関しては、独自の施策を打ち出しています)。

主な事例を見てみましょう。
・食料品スーパー(Aldi)
経営者がパートタイマーに対して、ワクチン接種の費用を補償しました。
さらにワクチン接種の際に宿泊施設が必要な場合、会社側で従業員に宿泊施設を提供しています。
・鉄道会社(Amtrak)
全社員20,000名の予防接種を実現するという目標を発表し、ワクチン接種に対して会社がイニシアチブを発揮しました。
そのための制度として、予防接種時に2時間・予防接種後48時間の有給休暇を取得できる制度を設けています。
・食肉加工(JBS USA and Pilgrim's)
全社員66,000名のうち、コロナウイルスのワクチンを接種した社員に対して100ドルのインセンティブを支給する施策を打ち出しています。
・食品流通(Kroger) 50万名以上のスタッフをもつKrogerでは、ワクチン接種を受けた社員に対して100ドルのインセンティブを支給しています。
さらに、医療や宗教上の理由からワクチン接種できない社員に対しては、研修コースを完了することによりインセンティブを受け取れる制度を整えています。
企業によって取り組みの内容は異なるものの、こうした各企業の取り組みもあってスムーズにワクチン接種が進んでいる状況を作っているといえるでしょう。

企業がワクチン休暇に取り組む意義

日本においては、ワクチン休暇は各企業の努力義務とされています。

新型コロナウイルスの事業への影響や近年の景況感から、ワクチンのフォローにはとても手が回らないという考え方もあるかもしれません。
しかし、企業がワクチン休暇をはじめとした感染症対策に取り組む姿勢をとることで、
社員に対して安全な労働環境提供に向けて努力をしていることを示せるのは間違いありません。
こうした考え方は、近年のHRにおいてよくトピックとして取り上げられている「健康経営」の考え方にも通じます。
社員に対して安心して働ける環境を提供し、制度や設備を整えることにより会社と社員とのエンゲージメントが高まり、生産性向上にも効果が期待されるという考え方です。
とても社会的な関心が高いトピックでもあるため、社員を大切にしているという姿勢をアピールする点でも、企業がワクチン休暇に取り組む意義は大きいのではないでしょうか。

まとめ

ワクチン休暇は、社員が勤務時間や副反応を気にせずに新型コロナウイルスの予防接種を受けられるようにするための制度です。

日本では法制化されているわけではなく、取り組みは企業の自主性にゆだねられています。
ワクチン休暇の内容についても明確な基準はありませんが、多くの企業が従業員の予防接種のスケジュールを確保して副反応が生じうる期間の休暇という観点では、
数時間~半日+1~2日間程度の休暇付与が望ましいのではないでしょうか。
実際に、アメリカのワクチン休暇の事例においても、上記のような事例が多くみられます。
「健康経営」の一環として、ワクチン休暇制度導入の是非をご検討されてみてはいかがでしょうか?