短時間正社員制度とは?導入のメリット・効果・方法

働き方改革
勤怠管理

短時間正社員制度を導入する企業が、少しずつ増えています。

短時間正社員制度とは、社員の事情に合わせて他のフルタイム勤務者よりも短時間の労働契約のことです。

働き方改革関連法案の施行開始をはじめ、企業と労働者との関係が見直されるなかで、今後も短時間正社員制度がますます注目を集めることは間違いありません。

この記事は、短時間正社員制度の概要・メリット・注意点などを解説します。

この記事の目次

短時間正社員制度とは?

短時間正社員制度は、フルタイムではなく拘束時間が短い雇用形態を認める制度のことを指します。

短時間雇用とはいえ、パート・アルバイトではなく正社員として雇用契約を締結します。

短時間雇用制度の主な特徴は、3点あります。

・社会保険や雇用保険の適用対象となる
・契約期間の定めがない(アルバイト・パート契約は、通常契約期間の定めがある)
・正社員と同様の計算基準によって給与・賞与・退職金が支払われる

短時間雇用制度に似た名前の制度として、短時間勤務制度があります。
短時間勤務制度は、3歳以下の子どもをもつ親が利用できるなどの一定の条件を満たさなければ申請できませんが、短時間雇用制度は特に法律上の適用条件は定められていません。

短時間正社員制度の3つの用途

短時間正社員制度は、主に3つの場面での利用が想定されます。
一つひとつ具体的にチェックしましょう。

2-1.家庭の事情と仕事の両立

育児や介護と仕事を両立したい方にとっては、学校・施設の送り迎え・日常のケア・体力的な負担などの理由から、フルタイムでの勤務が困難になる状況が考えられます。

短時間正社員制度を利用することで、正社員としての立場を維持したまま、仕事と家庭の事情を両立させられます。

2-2.仕事の負荷の軽減

メンタル不調者や体調不良者は、仕事における体力面・精神面の負担を軽減するために、短時間正社員制度を利用されるかもしれません。

特にメンタル不調者に関しては、精神的なストレスが重いにもかかわらず収入が途絶えてしまうことへの不安から休職・退職を躊躇するケースがあります。

2-3.パート・アルバイトからの昇格

パート・アルバイトスタッフの雇用契約の場合、雇用契約に有効期限が生じます。
契約を更新することで、結果的に長期の勤続を実現することは可能ですが、双方にとって心もとない契約になります。

パート・アルバイトとしての勤務時間などを維持したまま、無期限の雇用契約を結ぶには短時間正社員制度の活用がオススメです。

短時間正社員制度を導入するメリット

短時間正社員制度を導入すると、会社側にも明確なメリットがあります。
この章では、短時間正社員制度の会社側のメリットを3点ご紹介します。

3-1.人材の確保

会社側にとっての最大のメリットは、人材を確保できる点です。

ご家庭や社員本人の事情によってフルタイムでの勤務が難しい社員に対しても、雇用関係を継続することで、確実に人材を確保できます。

また、社員の定着率向上による働きやすい環境の創出・ムダな人材削減・コスト削減などの二次的なメリットも期待できます。

3-2.エンゲージメントの向上

正社員としての雇用により、社員は会社に対して強いエンゲージメント(愛着・結びつき)を感じるようになります。

結果として、以下の効果が期待できます。

・責任感の向上
・仕事の生産性アップ
・離職率の低下

3-3.仕事の棚卸ができる

既存のフルタイム社員に対して短時間正社員制度を適用する場合、業務の再配分をおこなわなくてはなりません。
短くなった労働時間をチーム全体でカバーしなくてはならないためです。

このとき、チーム全員の抱えている仕事を確認して再配分することで、業務の「見える化」「標準化」を実現できます。

標準化・・・業務の属人化を防ぎ、誰が作業をしても同じように対応できるよう、手順をマニュアル化すること。

短時間正社員制度の注意点

短時間正社員制度を導入するためには、あらかじめ注意点を押さえておくことも重要です。
特に意識しておきたいポイントを3点ご紹介します。

4-1.最適な仕事の配分が必要

フルタイム勤務者に対して短時間正社員制度を適用する場合、業務の再配分が必須です。

この時、配分のバランスが悪くなってしまうと、特定の社員に負荷が重くかかり、チーム全体の生産性が大きく低減してしまいます。

メリットの部分でもご紹介したように、うまく配分をすれば生産性向上につながるため、短時間正社員制度を導入する際には必ず全体最適化を意識して仕事の再配分をおこないましょう。

4-2.スタッフの雇用が必要なケースがある

フルタイム勤務者が短時間正社員制度を利用する場合、チーム全体での労働時間が減少してしまうため、不足分を補う人材が必要になるケースがあります。

逆に、人材の補充・業務効率化をしないまま制度を導入すると、数名の社員に大きな負荷がかかります。

採用した人材が戦力として力を発揮するようになるまでには一定の期間を要することや、採用・研修にあたっても負荷がかかることをふまえて、事前に必要な人数を割り出して戦力化するようにしましょう。

4-3.社内のコミュニケーションが重要

短時間正社員制度を導入する際には、チーム内のコミュニケーションを強く意識する必要があります。
その理由は、以下の3点です。

・制度の利用の有無により、社員間で不公平感が生まれることがある
・時短により社員同士の接触機会が減少し、コミュニケーションが不足することがある
具体的な対策としては、以下の方法があります。

・制度に関して、全社員に対してていねいに説明をおこなう
・コミュニケーションツールの利用などにより、コミュニケーション不足が生じにくい環境を整える

短時間正社員制度の導入方法

短時間正社員制度は、以下の手順にて導入します。

①自社の短時間正社員制度の概要を決定する(適用条件・勤務時間・賃金など)
②社内で短時間正社員制度についての概要を説明して、希望者の有無を確認する
③チーム内で、制度を導入した場合の仕事の配分を決定。この時、人員の補充の必要性についての検討をおこなう
④希望者に申請書を提出してもらい、各チームで仕事のフローを決定する
⑤導入後に、問題点の有無を確認。必要に応じて業務改善をおこなう

上記の流れで、短時間正社員制度を導入できます。

前提条件として、短時間正社員制度を就業規則に記載していない企業の場合は、就業規則の変更が必要です。

就業規則変更のマニュアル・ひな形をチェックしたい場合には、厚生労働省の「『短時間正社員制度』導入支援マニュアル 」を参考にしていただくとスムーズです。

まとめ

短時間正社員制度は、正社員の立場を維持したまま労働時間を短縮できる制度です。
労働時間が短縮になる以外は、正社員としての立場を基本的に継続できる制度であるため、家庭の事情などと仕事を両立したい社員の方にとって、とてもメリットのある制度です。

また、会社側にとっても業務全体を「見える化」するきっかけになったり、スタッフのエンゲージメント向上につながったりするため、とても意義のある制度です。

短時間正社員制度を検討中の方は、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。

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