エンゲージメント向上に不可欠なオンボーディングとは?
近年、新規採用者の早期離職が社会問題として騒がれており、社員の定着に力を入れる企業が増えています。その方法のひとつとして今注目されているのが「オンボーディング」です。
オンボーディングとは、例えば下記のようなHR(人事)に関する悩みを解決する施策の一つとして定着しつつある考え方になります。
「社員がなかなか定着しない」
「即戦力だと見越して採用した社員が、期待どおりに活躍してくれない」
「社内のチームワークがよくない」
人事や教育においてオンボーディングの考え方を採用することで、社員のエンゲージメントを高めることも可能です。
この記事では、人事や経営者の方に向けて、オンボーディングの基本的な考え方や実践方法を解説します。
オンボーディングとは?
オンボーディングとは、新卒や中途で新しく入社した社員がうまくなじめるようにするための、制度や仕組みの総称を指します。
オンボーディングは、船や飛行機に乗っているという意味の「on-board」から発生した、人事関連の用語です。
オンボーディングにおいて重要なことは、採用した社員本人だけに「慣れてもらう」ことではありません。
職場全体で新規採用者を受け入れてさまざまなアプローチをおこない、既存メンバーと新メンバーを短期間で融合させていくためのプログラムを作成します。
オンボーディングを効果的に実践すれば、さまざまなメリットがあるため、近年の人事において注目を集めているワードです。
オンボーディングを実施するメリットとは?
人事でオンボーディンが注目されているのは、さまざまなメリットがあるためです。
この章では、オンボーディングで特に注目される4つのメリットについて解説します。
2-1.採用社員の離職防止
オンボーディングが機能すると、採用した社員が仕事に溶け込めるようになり、離職率の低下につながります。
会社に入って間もない社員の場合には、誰しもが多かれ少なかれ不安を感じるものです。
交流を深めたりメンターが指導をしてくれたりすることで、入社した社員は自分の居場所を感じられます。
また、会社からの期待を実感しモチベーションアップにつながります。
さらには、スムーズに会社に溶け込めるとおのずとエンゲージメントも高まるでしょう。 結果的に、採用社員の定着率が高まります。
2-2.新入社員・中途社員の早期戦力化
新入社員や中途社員のオンボーディングは、業務面でのサポートも含んでいます。
メンタル面でのサポートだけでは、入社する社員の心理的な不安はぬぐいされないためです。
オンボーディングでは、新入社員がいかにスムーズに実力を発揮できるかという点を意識して、業務のサポートをおこないます。
結果的に、中途で入社した社員は業務に溶け込めるようになります。
2-3.コストの削減
オンボーディングによって社員の定着率が高まると、採用コストの削減にもつながります。
さらに、離職率の高い企業では、毎回社員が新たに入社するたびに研修を実施しなくてはならず、研修費用もかかります。
オンボーディングが機能して、新しく入った社員が早期に成果を上げられる可能性が高い点を加味すると、その費用対効果は非常に大きいです。
2-4.チームワークの向上
オンボーディングは、既存の社員と新たに入社した社員との間でコミュニケーションや情報共有が活発になります。
その結果生まれるのが、社員同士の仲間意識や互いに助け合う風土です。 こうして、チームワークが向上し、強い組織が形成されます。
具体的なオンボーディングの実施方法とは?
オンボーディングを実践するには、中途で入社するスタッフの入社前・入社中・入社後ごとに、
それぞれ実践方法を押さえることが大切です。
それぞれのポイントに分けて解説します。
3-1.入社時の準備の徹底
新たに入社する社員が会社になじめるか否かは、事前の準備にかかっているといっても過言ではありません。
・デスクや備品をあらかじめ準備しておく
・名刺や社員証を作成しておき、入社日に渡す
・教育担当者やメンターを決定しておく(新入社員の場合、ブラザーシスター制度を活用できるようにしておくことも効果的)
上記のように、入社した社員が全く戸惑うことなくスムーズに業務や研修に取り掛かれるようにしておくことがポイントです。
3-2.歓迎会や食事会の実施
入社日の当日や入社直後には、歓迎会や食事会などの実施が効果的です。
歓迎会や食事会が効果的なのは、人間関係の面での不安を拭い去るのに大きなポイントになるためです。
これらのレクレーションや関係構築の場のセッティングは、会社組織として人間関係をバックアップする姿勢として捉えられます。
3-3.定期的なミーティングの実施
オンボーディングは、単発の取り組みでなく継続的な取り組みが大切です。
せっかく新入社員にとって居心地のよい場所を作っても、それが一時的なものであっては意味がありません。
直属の上司が1か月に1回、あるいは2か月に1回など、期間を決めてミーティングの場を作りましょう。
必要に応じて、メンタルヘルスや社内の人脈形成の観点から、他部署のマネージャーがミーティングの場を設けることも重要です。
オンボーディングを成功させるための対策・コツとは?
オンボーディングは、さまざまな施策の総称であるため、具体的に取るべき施策は企業ごとに異なります。
そのため、実施する担当者にとっては解釈が難しい面がありますが、重要なコツを知ることでオンボーディングに成功する確率は大きく高まります。
そのコツとは、新入・中途入社社員のストレスに徹底的に寄り添うことです。
オンボーディングで新入社員のためにさまざまな準備をしたり、仕事の進め方についてケアをしたりするのは、
結局のところ社員のストレスを最小限に抑えるためです。
従って、オンボーディング施策を具体的に検討する際には、迎え入れるメンバーの心理的ストレスをいかに軽減できるかという観点から考えましょう。
逆にいえば、飲み会やレクレーションが新入社員にとって心理的な負担になることもあります。
その場合には、オンボーディングが逆効果になりかねません。
そのような意図のミスマッチを防ぐためにも、メンター制度や定期的なミーティングを通じて、新入社員の本音を確認できる体制にしておきましょう。
まとめ
オンボーディングとは、新たに入社する社員がスムーズに会社組織になじめるようにするための施策のことです。
オンボーディングは、社員エンゲージメント向上・定着率アップ・採用コスト削減などの点から、人事で非常に注目されている考え方です。
さまざまな取り組み方があるので、入社した社員のストレス低減を目標として、自社にあった対策を実施していきましょう。
人材の定着や戦力化について課題を感じている企業は、ぜひオンボーディングの考え方を取り入れてください。