記帳業務は、企業にとって不可欠ながらも、経理担当者にとっては大きな負担となることがあります。
特に経理部門が小規模である企業では、多忙を極める業務の中で記帳作業が適切に行われていない状況は珍しくありません。
このような課題は、企業運営にとって大きな障害となり得ます。
そこで、このような悩みを抱える企業にとって救世主ともいえるのが「記帳代行」サービスです。
記帳代行を活用することで、経理業務の重圧から解放され、より重要な業務に集中できるようになります。
本記事では、記帳代行とはどんなサービスか説明するとともに、利用の前に知っておきたいメリット・デメリットについて説明します。
記帳代行は、帳簿作成業務を外部の専門家に委ねるサービスです。
事業を運営する中で、領収書の整理や会計ソフトへの入力などの経理作業が日常的に発生しますが、これらを社内で行うのが難しい場合、記帳代行の利用が考えられます。
記帳代行を提供するのは通常、税理士や会計事務所が多いですが、記帳代行を専門に行う会社も存在します。
利用の際は、料金やサービスの質を比較し、自社に最も適した依頼先を選ぶことが重要です。
記帳代行の主なメリットは、以下の通りです。
それぞれ説明します。
記帳業務を外部に依頼することで、日々の取引記録など記帳に関する手間を大幅に削減できます。
記帳業務は、細かい数字の転記や正確な勘定科目での仕訳など、緻密で時間を要する作業です。取引が多い企業では、これらの作業量はさらに増大し、経理担当者には大きな負担がかかります。
しかし、記帳代行サービスを利用することで、このような繁雑な記帳業務を専門家に委ねられます。
必要な書類を提供すれば、会計ソフトへの入力から帳簿の作成までを代行してもらえるため、これまで記帳作業に割いていた時間と労力を節約することが可能です。
その結果、経理担当者の負担軽減に繋がり、他の業務により多くのリソースを割くことができるようになるでしょう。
記帳代行の利用は、経費削減にも繋がります。
新たな経理担当者を雇用する場合、そのコストは単に給料に留まりません。社会保険料、福利厚生費、さらには新しい社員の教育やトレーニングに関連するコストも考慮する必要があります。
繁忙期には残業代が発生する可能性もあるでしょう。
一方で、記帳代行サービスでは、月額制の固定料金でサービスを受けることができます。企業は追加の人件費や関連経費を節約し、効率的なコスト管理ができるようになると考えられます。
特に中小企業やスタートアップの場合、このようなコスト削減は財務状況に大きな影響を与え、資金をより重要な業務や成長機会へ再投資する余地を生み出します。
より重要度のコア業務に専念できる余地を生み出せるのも、記帳代行のメリットです。
経理部門には、日々の記帳などのルーティン業務だけでなく、事業の利益を増やすための戦略に関わる業務が存在します。
戦略に関わる業務には、投資や買収の策定、予算の進捗分析、経営判断に必要な財務分析などが含まれます。
しかし、日常的な記帳業務に多くの時間とリソースが奪われてしまうと、これらのコア業務に十分な注意を払うことが難しくなる恐れがあります。
そこで、記帳業務を外部にアウトソーシングすることで、経理担当者は重要な戦略的業務に集中できるようになるのです。
記帳代行を利用すれば、正確で迅速な作業を期待できます。
記帳業務は専門的な簿記知識を要求されるため、これに精通していない担当者が行うと、作業に時間がかかったり、ミスが発生するリスクが高まります。
簿記は細かな数字の扱いが多く、小さなミスが大きな影響を及ぼす結果に繋がりかねません。
そこで、豊富な経験と専門知識を持った記帳代行会社や税理士などに依頼することで、業務の精度を高められます。
1つのミスが発生すると、それを修正するためには過去の記録にさかのぼる大規模な作業が必要となることがありますが、記帳のプロによる正確な処理によってそのようなリスクも減らせるでしょう。
記帳代行の利用により、不正の防止も期待できます。
1人の担当者が経理業務を全て行っている場合、その担当者が唯一の内部情報を把握する者となり、その結果、改ざんや横領といった不正行為が発生しやすい環境が生まれかねません。
しかし、記帳代行サービスを導入することで、第三者が経理業務に介入することになります。第三者の存在により経理のプロセスがより透明化され、不正行為の可能性を低減させることができます。
記帳代行業者は通常、会計規則や法律に基づいた業務を行うことに重点を置き、不正行為を未然に防ぐためのチェックポイントが多く設けられていることから、効果的に不正の防止ができるのです。
記帳代行の主なデメリットは、次の通りです。
これらについて説明します。
記帳代行を利用することで、経理業務は効率化され、正確性も担保されますが、その反面、社内での経理知識のストックが進まないという問題があります。
経理業務は企業運営において重要な要素であり、それを外部に完全に委託することで、社内のスタッフは経理業務に関する実務経験を積む機会を失います。
結果として、社員が経理に関連する知識を習得し、事業運営に活かすことが難しくなる可能性があるのです。
そのため、記帳業務を外部に委託する場合でも、社内のスタッフが財務データの分析スキルを身に着けられるよう一定の業務を割り振るなどの工夫が必要です。
こうすることで、記帳代行サービスの利点を享受しつつ、社内での財務知識とスキルの向上を図ることが可能になります。
記帳代行を利用する場合、企業は必要な書類を代行業者に提出し、その処理が完了するまで待つ必要があります。
そのため、企業の財務状況をリアルタイムで反映することが難しくなるのです。
このようなタイムラグは、迅速な意思決定が求められるビジネス環境においては、課題となる可能性があるでしょう。
このような問題の解決法として、例えば、クラウド会計ソフトの利用が挙げられます。クラウドシステムならオンラインでいつでも経理状況の把握が可能です。
業績をリアルタイムで確認できるようにしておきたい場合、クラウド会計ソフトを導入している記帳代行業者を選ぶとよいでしょう。
記帳代行を利用する際には、自社の財務データや取引先情報などの機密情報を、社外の第三者に提供することを意味します。
情報セキュリティが社外の依頼先に依存する形となるため、情報漏洩のリスクが発生します。
このようなリスクを最小限に抑えるためには、代行業者を選定する際にセキュリティ対策が徹底されているかどうかを慎重に評価することが重要です。
データ保護ポリシー、安全なデータ転送方法、適切な情報セキュリティ基準の遵守など、業者のセキュリティ体制を確認することが欠かせません。
加えて、社内での対策も必要です。
自社の担当者が情報の取り扱いに関して適切な教育を受け、データの安全な管理と転送方法に精通していることが求められます。
このように、外部業者との連携だけでなく、内部からも情報漏洩のリスクを管理することで、記帳代行の利用に伴うセキュリティ上の懸念を減らすことができるでしょう。
記帳代行のメリット・デメリットについて説明しました。デメリットよりメリットが大きくなるようなら、記帳代行の利用をおすすめできます。
記帳作業にリソースやコストがかかっている状況である場合、これをアウトソーシングすることで心置きなくコア業務に集中し、重要であるものの手を付けられなかったタスクにも取り組めるでしょう。
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