感情のコントロール手法として、アンガーマネージメントへの注目が高まっています。
アンガーマネージメントを一言でいえば、怒りをコントロールするための手法のことです。
アンガーマネージメントは、1970年にアメリカでスタートしたのが最初と言われていますが、なぜ今アンガーマネージメントという手法が注目されているのでしょうか?
この記事では、怒りの感情が生まれやすい要因を踏まえて、アンガーマネージメントの効果や取り組み方などを解説します。
この記事の目次
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アンガーマネージメントとは?
アンガーマネージメントとは、怒りの感情を予防したりコントロールしたりするためのプログラムのことです。
アンガーマネージメントの考え方が生まれた当初は、精神療法を受けている方に対して用いられていましたが、
近年ではビジネス・スポーツ・医療・カウンセリングなど幅広い分野で用いられています。 アンガーマネージメントは、認知行動療法という心理療法がベースになっています。
アンガーマネージメントの基本は、怒りの感情を呼び起こすストレスの種類や特徴を知り、対処法を学ぶことです。 その結果、日常のさまざまな問題を解決し、日々快適に過ごすことが可能です。
アンガーマネージメントの効果
怒りの感情をコントロールできたら、なんらかのメリットがありそうだと感じる方は多いと思います。
しかし、実際にアンガーマネージメントを実践した方でなければ、どのようなメリット・効果が得られるのかを把握するのは難しいでしょう。
そこで、この章ではアンガーマネージメントの効果を3点ご紹介します。 企業研修の一環としてアンガーマネージメントに取り組む際にも、効果を把握してから取り組むと効果的です。
2-1.周囲の環境を良くできる
アンガーマネージメントを実践すると、周囲と良好な関係を築きやすくなります。
怒りの感情が抑えられず表情や態度に表れていると、周囲に気を遣わせたり委縮させてしまったりして、関係がぎくしゃくしてしまいます。
その結果、会話が少なくなってしまったり、周囲の不評を買ってしまったりすることもあるでしょう。
ビジネスにおいては、アンガーマネージメントによって環境が良化し、チームのモチベーションがアップして業績向上につながるケースも見られます。
2-2.コミュニケーションスキルが高まる
アンガーマネージメントを学ぶと、さまざまな感情の根拠が理解できるようになります。
したがって、物事を伝える際に伝え方とその効果の関連性を予想しやすくなって、物事をうまく伝えられるようになったり、
逆に相手の考え方についての理解度が高まったりします。 結果として得られるのは、以下の効果です。
・食い違いや伝達不足の解消によるコミュニケーションの質の改善
・コミュニケーション時のストレスの軽減
・チームワークの向上
2-3.精神状態の改善
アンガーマネージメントを習得した場合、怒りを我慢するのではなく、うまくコントロールできるようになります。
怒り続けることは、ネガティブな思いを感じ続けることになるため、精神的にも健康的な面でも大きなデメリットを生じさせます。
怒り続けている人は、寿命が7年縮まるというデータもあるほどです。 日常的に落ち着いた心理状態で過ごすことは、仕事で高いパフォーマンスを発揮するためにも効果的です。
アンガーマネージメントの取り組み方
アンガーマネージメントは、手法が体系的に研究されています。 書店でアンガーマネージメントに関連する書籍が多数販売されていることからもわかるとおり、
アンガーマネージメントを実践するためには、継続的かつ体系的な学びが必要です。 この章では、アンガーマネージメントの具体的な取り組み方について解説します。
3-1.社内研修にて推奨する
社内研修にて、対象者に対してアンガーマネージメントのエッセンスをレクチャーします。
学習の質を高めるためには、外部の専門家を講師として招待するとよいでしょう。 代表的なアンガーマネージメントの手法である以下の手法についての研修に取り組むことで、
アンガーマネージメントの概念や全体像が理解しやすくなります。
・6秒ルール
・AB分析
・ABCモデル
・アサーティブコミュニケーション
ただし、社内研修のアンガーマネージメントのみで、幅の広いアンガーマネージメントの全範囲をカバーするのは困難です。
社内研修で核となる部分を伝えたら、スタッフの自己学習やオンライン研修などを促すことで、学習したことを効果的に活用できます。
3-2.外部研修の受講
アンガーマネージメントは、外部研修も多数開講されています。 1日、あるいは半日間での短期開催のものと、数か月単位以上の長期間研修との2種類があります。
短期開催のものは、社内研修と同様にアンガーマネージメントを学ぶきっかけとして活用可能です。 長期の研修は、アンガーマネージメントの考え方を体系的に学べる反面、費用と時間の確保がポイントになるでしょう。
少人数のスタッフが長期的な研修でアンガーマネージメントを体得したあとに、社内の残りのスタッフに研修を実施するという方法もあります。
アンガーマネージメント対象者の選定方法
アンガーマネージメント研修の対象者選定は、大きく分けて2通りあります。 一つ目は、中間管理職を対象とする方法です。
中間管理職者は、ストレスを感じやすいポジションであり、どうしてもメンタル不調を招きやすいポジションです。
また、中間管理職者がアンガーマネージメントを体得した場合、社内に考え方やノウハウを広めやすいという点でも、中間管理職者にアンガーマネージメント研修を施す意義は大きいといえるでしょう。
なかでも、ストレス負荷が強くかかっている社員や普段から「怒り」の感情が強く表れている社員に実施すると効果的です。 二つ目は全社員一斉に研修を実施する方法です。
全員を対象とする考え方の背景には、ストレスは全社員が感じているものという考えがあります。
また、全員でアンガーマネージメントを実施することにより、相互で怒りの感情に注意をしたり、職場環境をよくしようという意識が生まれやすかったりする傾向がみられます。 繁閑の状況や予算などを踏まえて、対象者を選定するとよいでしょう。
まとめ
アンガーマネージメントは、怒りの感情をコントロールするための手法です。
健康面や精神衛生面での効果だけではなく、周囲の関係性の改善やモチベーション向上といった観点で、ビジネスを含めたさまざまな場面でアンガーマネージメントが注目されています。
アンガーマネージメントへの取り組み方はさまざまですが、体系的に知識・技術を体得するには継続的な学習が必要です。
自社の状況や予算と照らし合わせて、効果的な研修方法を検討してください。