産業廃棄物の処理には、廃棄物の処理を委託したい「排出業者」・廃棄物を運搬する「収集運搬業者」・廃棄物を処理する「処理業者」の3社が関わります。 そのため、排出業者は「収集運搬業者」「処理業者」それぞれと契約を交わさなければなりません。 必要になる契約書の種類は、それぞれ以下のとおりです。 <産業廃棄物処理の委託に必要な契約書> 収集運搬業者との契約書…「産業廃棄物の運搬に係る委託契約書(通称:収集運搬委託契約書)」 処分業者との契約書…「産業廃棄物の処分又は再生に係る委託契約書(通称:処分委託契約書)」 参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 上記の委託契約書にはそれぞれ、以下の情報をすべて記載する必要があります。 項目数が多いですが、ひととおり目を通しておきましょう。 <委託契約書に記載が必要な情報> 委託する産業廃棄物の種類・数量 委託契約の有効期間 委託者が受託者へ支払う料金 受託業者の事業の範囲 産業廃棄物の性質・状態・荷姿に関する情報 腐敗や揮発など、通常の保管状況下で変化が起きる可能性のある廃棄物の場合は、その情報 ほかの廃棄物と混合した際に発生する支障に関する情報 産業廃棄物が以下のもの(※)で、日本工業規格C〇九五〇号に規定する含有マークがあるものは、その表示に関する事項 産業廃棄物に石綿・水銀・水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その情報 そのほか取り扱い時の注意事項 契約の有効期間中に上記の情報に変更が生じた場合、その情報が受託者側に適切に提供されるための伝達方法 受託業務終了時の報告に関する事項 委託契約を解除した際、処理されていない産業廃棄物の取り扱いに関する情報 そのほか環境省令で定める事項 ※パーソナルコンピューター・ユニット形エアコンディショナー・テレビジョン受信機・電子レンジ・衣類乾燥機・電気冷蔵庫・電気洗濯機 参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 産業廃棄物処理委託契約書は、記載しなければならない情報量が多い書類です。 そのうえ、ほかにも複数の添付書類が必要になるため、1件の契約でもたくさんの書類を管理・保存しなければなりません。 産業廃棄物処理を委託する際は、徹底した書類管理が必要になるでしょう。 ここまでで、産業廃棄物処理委託契約書の種類と必ず記載すべき情報について、それぞれ確認できました。 次に、書類別に必要な記載と添付書類について確認しておきましょう。
収集運搬委託契約書とは、産業廃棄物を収集して処理場へ運搬する業務を委託するときに必要な契約書です。 この書類には、すでにご紹介した事項に加えて、以下の情報を記載する必要があります。 <収集運搬委託契約書で必要な情報> 運搬の最終目的地の所在地 積み替えまたは保管する場所の所在地 積み替えまたは保管する場所で保管できる、産業廃棄物の種類・保管上限 安定型産業廃棄物の場合、ほかの廃棄物との混合許否など 参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 また添付すべき書類として、契約書のほかに以下のものが必要になります。 委託の際は、欠けている書類がないか慎重なチェックが必要です。 <収集運搬委託契約書に添付する書類> 許可証・各種認定証の写し 受託した業者が、他人の産業廃棄物の運搬を業としておこなえる者で、かつ受託する産業廃棄物の運搬がその範囲に含まれるものと証明できる書類 参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 これらの書類は、委託先の事業者が正しく許可を得て収集運搬していることを示すものです。 契約の際は、有効期限内の書類の写しか・欠けている書類はないかをきちんと確認しましょう。
処分委託契約書は、産業廃棄物を処理する業者へ業務を委託するときに必要な書類をいいます。 契約書にプラスで必要になるのは、以下の情報です。 <処分委託契約書で必要になる情報> 処分または再生を委託する場合…処分または再生する場所の所在地・処理能力の情報と、処分または再生の方法 環境大臣の許可のもと輸入されたものの廃棄物の場合…環境大臣の許可のもと輸入されたものという情報 処分する場合…最終処分する施設の所在地・処理能力の情報と、最終処分方法 参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令、廃棄物の処理及び清掃に関する法律 くわえて、添付書類として以下のものが必要です。 <処分委託契約書に添付すべき書類> 許可証・各種認定証の写し 受託者が、他人の産業廃棄物の処分または再生を業としておこなえる者で、かつ受託する産業廃棄物の処分または再生が事業の範囲に含まれるものと証明する書類 参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令
ここまで確認して、契約書に記載すべき情報や添付すべき書類があまりに多く、大変だと思った方も多いのではないでしょうか。 しかし記載漏れや添付書類の漏れなどのミスがあった場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、または併科が課せられる場合も。(※) そのため慎重なチェックをおこなうのはもちろん、「ひな型をダウンロード・購入して使う」「電子契約サービスで産業廃棄物処理委託契約書のテンプレートを活用する」などの工夫をし、情報の抜けのない書類を作成する必要があります。 ※参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律