フレックスタイム制のメリットと具体的な導入方法とは
法律改正がおこなわれ、フレックスタイム制は会社にとっても社員にとっても、より利用しやすい制度になりました。
そこで、改めてフレックスタイム制の導入を検討されている企業も少なくないのではないでしょうか?
また、感染症対策として3密の状況を避けるべきという状況の中、業務の特性上テレワークの導入が難しい企業においては、
出勤のピークタイムを避けられるフレックスタイム制を活用する方法もあります。
この記事では、フレックスタイム制の概要・メリット・導入方法について解説します
フレックスタイム制とは?
フレックスタイム制とは、変形労働時間勤務制度の一つで、労働者(社員)が日々の始業・終業時刻などの労働時間を自ら決められる勤務体系のことです。
フレックスタイム制を導入することで、社員は生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができます。
フレックスタイム制では、その時間帯の中であれば自由に出社・退社しても良い「フレキシブルタイム」と、その時間帯には必ず就業しなくてはならない「コアタイム」を設定するのが一般的です。
ただし、コアタイムは必ず設定しなければならないわけではなく、全ての時間帯をフレキシブルタイムに設定することも可能です。
コアタイムが設定されているか否かに関わらず、社員は自分自身の都合だけではなく業務との兼ね合いを踏まえて終業時間を考える必要があります。
フレックスタイム制を導入するためには、事前に労使間で36協定を締結する必要があります。
フレックスタイム制のメリット
この章では、フレックスタイム制のメリットを3点解説します。
社員にとっては、時間に縛られることなく働くことができる、まさに夢のような働き方だと思われる方も多いのではないでしょうか。
2-1. 通勤時間の混雑回避
フレックスタイム制を利用していると、社員は通勤ラッシュのピーク時を避けて通勤することができます。
混雑回避をすることで、以下のメリットが考えられます。
・通勤時のストレスが軽減され、フレッシュな状態で業務にあたることができる
・蜜を避けることができ、社員の感染症対策になる
2-2. 労働力の活用や社員の定着向上につながる
フレックスタイム制の導入により、多様な働き方を採用することも可能です。
例えば、育児や介護をするために、曜日によって早く帰宅したいスタッフを正社員として活用するなどの雇用が可能になります。
こうして生活と仕事の調和を会社がサポートすることで、社員の定着や幅広い人材の採用をおこなうことができます。
2-3. 生産性向上につながる
フレックスタイム制を導入すると、社員は業務に合わせて出勤時間を調整することができ、生産性向上につながります。
例えば、夕方に業務量が増える通常の勤務体系であれば、フレックスタイム制の社員の勤務時間を11時~20時に設定することで、残業をすることなく業務をおこなえる可能性が高くなります。
つまり、社員にとっては効率よく働くことができ、会社にとっては残業代の支払いを抑えられる効果が期待できます。
フレックスタイム制導入の注意点
フレックスタイム制には注意しておきたい点が3点あります。
自由な働き方を実現したものの、それによって会社の業績が落ちてしまっては元も子もありません。
特に、経営者や労務管理者の方は、要件が満たされていないと違法になってしまう可能性も考えられるため、注意が必要です。
3-1. 導入には労使間の取り決めが必要
フレックスタイム制を導入するためには、就業規則などへの規定と36協定の締結をしなくてはなりません。
(フレックスタイム制を導入する際の就業規則の例)
・フレックスタイム制が適用される社員の始業、終業時間については、従業員の自主的な決定にゆだねるものとする。
労使間の協定にて、フレックスタイムが適用される労働者の範囲・清算時間・清算期間における総労働時間・標準となる1日の労働時間・コアタイムなどを決定します。
3-2. 残業時間の取り扱いが通常の勤務体系とは異なる
フレックスタイム制は、残業時間の取り扱いにも注意が必要です。
フレックスタイム制であっても、清算期間における労働時間をオーバーした場合には、残業代が発生しますが、基本的な考え方は以下のように定められています。
・月ごとの総労働時間があらかじめ月の日数によって決まっている(事前に労使間の取り決めによって決定する)
・原則としては、月ごとに総労働時間をオーバーした労働時間分については「残業代」が支払われる
・労働時間の超過・不足に対して3か月間の清算期間を設定可能
※繁忙月に労働時間を集中させてはならないルールがある
※3か月間の清算期間が設定可能になったという点が、2019年の法改正によりフレックスタイム制がより活用しやすくなった部分です。
3-3. 導入の意図を明確にする必要がある
フレックスタイム制は、導入意図を明確にしないと、以下のデメリットが生じる可能性があります。
・勤務時間がバラバラになることで、コミュニケーションが不足しがちになる
・取引先や社内の関係部署に対して、関係者が不在になってしまうことによる業務効率の低下
・自己管理能力の低い社員の場合には、全体の労働力が低下してしまうことがある
融通が利く制度である反面、自社の社員が意図を理解し、生産性の向上や仕事とプライベートとの調和を図る必要があります。
フレックスタイム制の残業時間の計算方法
この章では、フレックスタイム制の残業時間の計算方法について解説します。
フレックスタイム制であっても、会社は社員の労働時間をきちんと把握しなければいけませんが、従業員側も総労働時間を意識しながら働くことが求められます。
4-1. 所定労働時間を超えた場合の賃金
所定労働時間を超えた場合の賃金は、以下の計算式で計算されます。
・1時間あたりの基礎賃金×時間数
※所定労働時間=就業規則などで定められている勤務時間
通常の残業代の考え方と基本的な考え方は同じですが、上述の通りフレックスタイム制には3か月間の清算期間を設定できる点が、通常の勤務体系と大きく異なる点です。
4-3. 22時~5時の時間帯の賃金
法定労働時間を超えた場合の賃金は、以下の計算式で表されます。
・1時間あたりの基礎賃金×時間数×1.25
法定労働時間=法律で定められている労働時間の限度。
(フレックスタイム制の法定労働時間の総枠)
1か月の日数 |
1か月の法定労働時間の総枠 |
31日 |
177.7時間 |
30日 |
171.4時間 |
29日 |
165.7時間 |
28日 |
160.0時間 |
4-3. 22時~5時の時間帯の賃金
深夜から早朝にかけては、残業代の割増が適用されます。
勤務時間を社員が自由に定められるフレックスタイム制の勤務体系であっても、22時~5時の勤務に対しては以下の割増賃金が適用されます。
・1時間あたりの基礎賃金×時間数×1.25
また、この勤務が法定時間外であった場合には、割増の残業代が重複して計算されます。
フレックスタイム制を導入するためのポイント
フレックスタイム制を導入する際には、以下の手順にてていねいに導入することが必要です。
①導入意図を社員に説明して、理解を得る
②労使協定を結ぶ
③コアタイムの設定など、必要に応じて制度の調整や制限をおこなう
④勤怠管理アプリなど、勤務時間を正確に導入できるツール・アプリの導入
フレックスタイム制は、便利で融通が利く制度である反面、社員の働き方を大きく変えます。
フレックスタイム制が適用される社員はもちろんですが、その他の社員の働き方にも影響が生じる可能性が高いため、導入の成果が最大限となるように適切な管理が求められます。
特に、勤務時間の適切な管理は必要不可欠です。
3か月間の清算期間を活用する場合にはなおさらのことですが、前月・前々月の勤務時間の管理まで必要であるため、勤怠管理をデータ化して、効率よく利用できる状態にしておくことは非常に重要です。
ここでぜひ活用していただきたいのが「VWS勤怠」です。
「VWS勤怠」は、1アカウントあたり200円から利用できる勤怠管理アプリです。
社員がスマホをタップするだけでタイムカードの打刻をすることができ、勤怠情報を自動的に記録することができるため、手間をかけずに勤務時間を手軽に管理することができます。
使い勝手にこだわって設計されているため、全ての企業にスムーズに導入していただけるツールです。
まとめ
フレックスタイム制は、プライベートや業務の状況に応じて社員が自分自身の判断で勤務時間を決定できる勤務体系です。
社員側の自律と他の社員の理解を得ることで、生産性向上とワークライフバランスの向上を実現することができます。
そして、フレックスタイム制を含む多様な働き方に対応するためには、正確な管理も必要です。
「VWS勤怠」では、社員がスマホをタップするだけで出退勤の管理をおこない、給与計算のツールなどとも連携ができるツールです。
3か月間の清算期間が設定できるようになるなど、よりフレキシブルな運用が可能になり、多様な働き方に対応しやすいフレックスタイム制を導入の際には、ぜひ「VWS勤怠」をご検討ください。