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ストレスチェック義務化の罰則はある?企業が知るべきリスクと対策

作成者: vws_ad0523|Apr 7, 2025 12:00:00 AM

「従業員数80名の人事担当のあなた!ストレスチェック、ちゃんと対応できていますか?」 「ウチは中小企業だから…」と、つい後回しにしていませんか。

 

「未実施でも罰則はないと聞いたが、問題はないのか?」「形だけの実施になっていないか?」と、不安や疑問を抱えている方も多いかもしれません。

 

本記事では、ストレスチェック義務化の概要から、罰則の有無、適切な実施手順、注意点まで、分かりやすく解説します。制度を負担ではなく、職場改善のチャンスとして活かしましょう。

 

この記事の目次
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ストレスチェックの義務化とは

ストレスチェックの義務化とは、従業員のストレス状態を定期的に検査し、その結果をもとに職場環境の改善や個人のメンタルヘルスケアにつなげるための制度です。2015年12月から、従業員が50人以上いる事業場で、年に1回の実施が義務付けられました(労働安全衛生法66条の10)。

 

目的は、働く人のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、より健康的に働ける職場づくりを推進することです。

 

具体的には、従業員にストレスに関する質問票に回答してもらい、その結果から高ストレス者を把握し、必要に応じて医師による面接指導を行います。また、個人の結果を分析するだけでなく、部署や事業場全体のストレス状況を把握し、職場環境の改善にも役立てます。

 

ただし、ストレスチェックの結果は個人のプライバシーに関わる情報ですので、適切に管理され、本人の同意なく他の目的に使用されることはありません。

ストレスチェック義務化の背景

ストレスチェックが義務化された背景には、近年、仕事による強いストレスが原因で精神障害を発症し、労災認定される人が増加しているという社会問題があります。過労自殺などの痛ましい出来事も発生し、働く人のメンタルヘルスを守ることが、社会全体で大きな課題となっていたのです。

 

従来から企業には従業員の健康を守る安全配慮義務がありますが、従来の健康診断では、身体面の健康状態はチェックできても、心の健康状態までは十分に把握できませんでした。

 

そこで、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を定期的に実施することが重要だと考えられるようになりました。その結果をもとに、労働者本人のセルフケアを促すとともに、職場環境の改善に繋げ、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことが期待されています。

ストレスチェック義務化における罰則はある?

ストレスチェックの義務化において、未実施に対して直接的な罰則は設けられていません。ただし、実施後の結果を労働基準監督署に報告する義務があり、この報告を怠ったり虚偽の報告を行った場合には、労働安全衛生法第120条に基づき最大50万円の罰金が科される可能性があります。

 

また、ストレスチェック未実施が原因で従業員の健康被害が発生した場合、企業は労働契約法に基づく「安全配慮義務違反」に問われる可能性があり、損害賠償請求を受けるリスクもあります。

 

いづれにせよ、重要なのは、罰則を恐れて形式的にストレスチェックを行うのではなく、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、働きやすい職場づくりに繋げることです。罰則は、あくまでも制度の実効性を確保するための手段と考えるべきでしょう。

ストレスチェックを拒否されたときの対応

従業員がストレスチェックを拒否した場合、まずは丁寧に理由を確認しましょう。制度への理解不足や結果の取り扱いへの不安などが考えられるため、制度の趣旨や目的、結果は厳重に管理され、本人の同意なく事業者に提供されないことなどを改めて説明します。高ストレスでも医師の面接指導が必須ではないことも伝え、不安を和らげます。

 

説明により受検してくれる場合も多いですが、それでも拒否されたら無理強いはできません。受検は任意であり強制不可です。ただし、受検しないことで不調に気づくのが遅れるリスクは伝えましょう。

ストレスチェック実施の手順

ストレスチェックを効果的に実施するためには、計画的な準備が欠かせません。単にチェックを実施するだけでなく、従業員が安心して受検できる環境を整え、結果を職場環境の改善に活用することが求められます。

 

ここでは、ストレスチェックを適切に実施するための具体的な手順を見ていきましょう。

事前準備

ストレスチェックを円滑に実施するためには、事前の準備が重要です。実施時期、実施方法、プライバシーの保護方針などを明確にし、社内規程を整備します。

 

実施に必要な予算の確保や、外部機関への委託を検討する場合は業者選定なども行います。従業員に対しては、制度の目的や実施方法について十分な説明を行い、理解と協力を得ることが必要です。

実施者の選定

ストレスチェックの実施者は、法令で定められた資格要件を満たす必要があります。医師、保健師のほか、厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師や精神保健福祉士が実施者となれます。

 

実施者は複数人選任することも可能です。例えば実務を担当する者と、その統括や管理をする者を別に選任することができます。また、外部機関に委託することで、これらの実施者を手配することもできます。

ストレスチェックの実施

実施者の選定が完了したら、実際にストレスチェックを実施します。実施者は、あらかじめ決められた方法で、従業員にストレスに関する質問票を配布し、回答を記入してもらいます。この質問票は、仕事のストレス要因、心身のストレス反応、周囲のサポート状況などについて尋ねる内容で構成されていることが一般的です。

 

ストレスチェックは全ての労働者が受ける必要がありますが、受検は義務ではありません。従業員が安心して受検できる環境を整え、趣旨を十分に説明した上で、受検をすすめましょう。

結果の通知とフォローアップ

ストレスチェックの実施後は、実施者から直接、労働者本人に結果が通知されます。この際、個人の結果が事業者に無断で提供されることはありません。結果通知では、個人のストレスプロフィールや評価結果、高ストレスの有無や医師の面接指導が必要か否かなどが記載されています。

 

ストレスチェックの結果、高ストレスと判定され、医師による面接指導が必要と判断された従業員から申し出があった場合、事業者は医師による面接指導を実施する義務があります。

 

事業者は面接指導の結果に基づき、必要に応じて、就業上の措置を講じなければなりません。また、結果を一定規模の集団ごとに集計・分析し、職場環境の改善に役立てることも求められます。

労働基準監督署への報告

最後に、事業者はストレスチェックの実施結果を所轄の労働基準監督署に報告する義務があります。具体的には、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」という所定の様式の書類を提出します。

 

報告の頻度は原則として年1回です。この報告書には、ストレスチェックの実施人数、医師による面接指導の実施人数などを記入します。報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりすると、罰則の対象となる可能性がありますので注意が必要です。

ストレスチェックを行う際の注意点

ストレスチェックを効果的に実施するにあたっては、従業員の権利保護と適切な運用に関する重要な注意点があります。ここでは、特に留意すべき3つのポイントについて詳しく説明します。

プライバシーの厳守

ストレスチェックを実施する上で最も重要な注意点のひとつが、従業員のプライバシーの厳守です。個人のストレスチェック結果は、デリケートな個人情報であり、その取り扱いには細心の注意が求められます。

 

労働安全衛生法においても、ストレスチェックの結果は本人の同意なく事業者に提供してはならないと定められています。

 

また、結果の保管・管理に関しても、厳重なセキュリティ対策が必要です。結果を保管する場所へのアクセス制限、データの暗号化、担当者以外への情報漏洩の禁止などを徹底することが求められます。

不利益な扱いの禁止

ストレスチェックの結果や受検の有無を理由に、従業員に不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。労働安全衛生法では、ストレスチェックの受検の有無や、結果の内容、医師による面接指導の申し出の有無などを理由とした、解雇、雇い止め、配置転換、降格、減給といった不利益な取り扱いを明確に禁止しています。

 

また、面接指導の申し出を拒否したり、申し出たことを理由に嫌がらせをしたりすることも、不利益な取り扱いに該当します。不利益な取り扱いは、従業員の権利を侵害するだけでなく、ストレスチェック制度への信頼を損ない、制度自体の形骸化を招く恐れがあります。

高ストレス者への対応

ストレスチェックの結果や受検の有無を理由に、従業員に不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。労働安全衛生法では、ストレスチェックの受検の有無や、結果の内容、医師による面接指導の申し出の有無などを理由とした、解雇、雇い止め、配置転換、降格、減給といった不利益な取り扱いを明確に禁止しています。

 

また、面接指導の申し出を拒否したり、申し出たことを理由に嫌がらせをしたりすることも、不利益な取り扱いに該当します。不利益な取り扱いは、従業員の権利を侵害するだけでなく、ストレスチェック制度への信頼を損ない、制度自体の形骸化を招く恐れがあります。

まとめ:ストレスチェックは企業の未来への投資

ストレスチェック制度は、単なる法令遵守のための義務ではありません。従業員のメンタルヘルスを守り、働きやすい職場環境を作るための取り組みです。

 

確かに、制度には罰則規定もありますが、本質的な目的は従業員の心の健康を守り、企業の持続的な発展を支えることにあります。ストレスチェックへの投資は、すなわち企業の未来への投資といえます。

 

制度の趣旨を理解し、効果的に活用することで、企業と従業員双方にとってより良い職場環境を実現することができるでしょう。