「なぜ自社の営業成績が伸び悩むのか」
「どうしたら営業メンバーのモチベーションを高められるのか」
そんな疑問を持つ経営者やマネージャーの方に向けて、本記事では営業の「見える化」について解説します。
本記事では、「見える化」の概要をはじめ、なぜ営業現場の課題解決に繋がるのか、見える化を実現するための手段とは何かなどについて解説します。
営業の「見える化」がもたらすメリットを実感いただき、営業活動の最適化につなげる一助となれば幸いです。
この記事の目次
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営業の「見える化」とは
「営業の見える化」とは、営業活動を数値やデータで表し、客観的な分析を行える状態にすることです。具体的な営業活動として、電話の通話時間や訪問件数、商談数、契約率などがあります。
営業の見える化により、各営業担当者の強みや課題が明確になり、管理者は適切なサポートを行うことができるようになります。また、営業活動全体の効率化や成果向上につながる施策を立てることも可能です。成功した商談の共通点を見つけたり、時間帯ごとの効率を検討したりするなど、データに基づく戦略的な営業展開に役立てられます。
見える化は、目の前の営業成績だけでなく、未来の営業成功への道筋を描く重要なプロセスです。
営業が抱える問題
個々人のスキルや経験が問われやすい営業では、以下のような項目が問題となりやすいです。
- 進捗状況などの情報共有が難しい
- 営業によって営業成績に差がある
- 人材育成ができていない
営業成績の差はチームバランスを崩し、不公平感を生む危険性もはらんでいます。このような課題を解決するための具体的な方法について知る前に、まずは営業が抱える問題について解説します。
①進捗状況などの情報共有が難しい
営業はチームで行うことが多いですが、一人ひとりの進捗状況や情報を共有することは必ずしも簡単ではありません。営業活動は個々に行われるため、情報が分散しやすく、組織全体としての進捗把握や意思疎通が難しくなりがちだからです。
例えば、営業Aさんが顧客と会話をして重要な情報を得た場合、それが他のメンバーと共有されなければ、顧客との関係構築やビジネスチャンスの最大化につなげられません。また、共有された情報が断片的であったり、最新情報が伝わらなかったりすると、チーム全体での戦略立案や効率的な営業活動が行えなくなります。
こうした問題を解消するためには、進捗状況や情報を可視化し、リアルタイムで共有できる仕組みが必要となります。
②営業によって営業成績に差がある
営業は、個人によって成績に大きな差が出やすい特性があります。人間が行う活動であるため各営業担当のスキルや経験、性格、顧客との相性など、さまざまな要素が成績に影響を与えます。
例えば、ベテランの営業担当は経験による洞察力や人脈を活かして成果を上げやすいですが、新人にはそれらがないために成績に差が出やすくなります。また、営業戦略や商談スキルの違いも個々人によって差が出る大きな要素です。
このような問題に対するひとつの解決策が「見える化」といえます。営業の過程や成果を具体的な数値で示すことで、何が成績差の要因であるのかを明らかにし、それを改善するアプローチが可能になります。成功事例の共有や営業スキルのトレーニングも有効な方法となるでしょう。
③人材育成ができていない
営業の現場では、「人材育成ができていない」という問題がしばしば見受けられます。これは、新人営業スタッフの成長が遅い、優秀な人材が継続的に育たない、ベテランが定年になっても後継者がいない、といった状況を表します。
営業は経験とスキルが問われる職種であり、それらを育て上げるのに時間と労力が必要です。しかし、日々の業務に追われ、教育や研修の時間が取りづらいのも事実です。また、営業は個々の成果が評価されることが多く、他のメンバーを育てるよりも自分自身の成績を上げることに注力しがちです。
これらの問題を解消するためには、組織全体で人材育成を重視する文化を築くことが求められます。新人研修の充実やメンターシップの導入、スキルアップのための研修などの取り組みが必要です。
見える化したい営業情報
成功する営業には、具体的な「見える化」が必要不可欠です。組織全体の業績向上のためにも特に見える化したい項目が以下の通りです。
- 進捗状況
- 顧客情報
- 訪問回数
これらの見える化を行うことで、組織全体の営業力が底上げされ、結果的に売上も向上します。
①進捗状況
「進捗状況」の見える化は、営業活動を効率化する上で大いに役立ちます。見える化したい進捗状況には、顧客とのコミュニケーション履歴や営業案件のステージ(初回接触、提案、交渉、契約など)、契約日などがあります。
進捗状況の見える化により、営業担当者は自分の営業活動をより明確に管理でき、次の一手を立案しやすくなるでしょう。また、チーム全体の進捗状況が分かるため、チームとしての効率性や成果も向上します。
さらに、管理者は、各営業担当者の進捗状況を一覧で把握し、適切な指導や支援を行うことができます。チーム全体の営業力を高めることも可能です。
このように、全体の進捗状況を見える化することで、組織としての目標達成に向けた戦略的な判断も容易になります。
②顧客情報
「顧客情報」の見える化は、営業活動を効果的に進めるための重要なステップです。顧客情報には、会社名や担当者といった顧客の基本情報や過去の取引履歴、商談の内容などが含まれます。
これらの顧客情報を共有することで、営業チーム全体が同じ理解を持つことができます。また、顧客のニーズや課題をより深く理解し、最適な提案をすることも可能になるでしょう。
管理者としては、顧客情報の見える化により営業チームの顧客対応を評価し、改善点を見つけることにも役立てられます。営業チーム間では情報共有が容易になり、顧客とのコミュニケーションの質が向上します。
このように顧客情報の見える化は、顧客満足度の向上と長期的な関係構築に繋げることが可能です。
③訪問回数
「訪問回数」の見える化は、営業効果の測定に役立つ情報です。訪問回数とは、一定期間内に営業担当者が顧客を訪問した回数を指します。
訪問回数を測定することで、営業活動のコストと成果を比較し、営業効率を評価できます。訪問回数が多いのに成果が出ていない場合、訪問の質や顧客との関係構築方法に問題があるかもしれません。その反対に、訪問回数が少ないのに高い成果を上げている営業担当者の成功方法を学ぶこともできます。
訪問回数の見える化により、管理者は各営業担当者の活動量を把握できます。必要に応じたアドバイスを提供し、組織全体の営業力向上と成績UPを期待できるでしょう。訪問回数の見える化は、営業活動の透明性を高め、全員が共通の目標に向けて効率的に働くための基盤を提供するものであるといえます。
営業の見える化によるメリット
営業プロセスの見える化には多くのメリットがあります。ここではそのうち5つについて取り上げています。
- 外出先でも情報を共有できる
- 社員のモチベーションがアップ
- 業務量がわかりやすくなる
- 人材育成を効率的に行える
- 分析しやすくなる
情報共有は、企業や組織に欠かせない要素です。情報共有を活発に行い、社員のモチベーションを高めることが業務効率化に繋がり、企業の成長を実現します。
①外出先でも情報を共有できる
営業は外出が多く、オフィス外での作業時間が長いため、現場でリアルタイムで情報を確認し、共有できる体制は重要です。
適切な情報共有ができれば、顧客訪問前にその顧客の最新情報を確認したり、訪問後に直ちに報告を行ったりすることができます。これにより、営業担当者は常に最新の情報をもとに行動でき、スピーディーな対応が可能となります。
また、チーム内の他のメンバーや管理者も、リアルタイムで営業の状況を把握できるため、迅速なサポートや適切な意思決定が行えます。こうしたタイムリーな情報共有は、営業効率の向上や顧客サービスの質の向上、そして結果的には営業成果の向上に寄与します。
②社員のモチベーションがアップ
営業の見える化は、「社員のモチベーションアップ」にも大いに寄与します。ひとつ目の理由として、目標達成度が明確になることが挙げられます。営業担当者が自身の進捗状況や達成状況を一目で理解できると、次の行動計画立案や目標達成への意欲が高まるでしょう。
ふたつ目の理由には、公平性を保てることがあります。全員の活動状況や成果が透明になると、個々の成果が公正に評価され、不公平感を減らせます。それは個々の努力を正当に評価する社内文化の形成につながり、社員のモチベーションを向上させることに繋がるでしょう。
③業務量がわかりやすくなる
営業の見える化は「業務量がわかりやすくなる」というメリットをもたらします。営業担当者の行動(訪問回数、コール回数、契約状況など)を可視化することで、それぞれの営業担当者の業務量や活動状況を正確に把握できます。
個々の担当者がどれだけ活動を行っているのか、どの程度の成果が出ているのかが一目でわかり、業務量のバランス調整や必要な支援を的確に行えるようになるでしょう。
④人材育成を効率的に行える
営業情報の見える化により、新人や若手社員が経験豊富な先輩の営業活動を具体的に理解できます。これは、営業スキルの習得を加速し、実践的な学習の場を提供します。
営業の進捗を可視化することで得られる、管理者からの適切なフィードバックも人材育成に関わるものといえるでしょう。実際のデータを基にした指導は社員の理解を深め、実践的な改善行動に繋がります。
社員自身も自分の成績を把握し、自己評価や自己改善を行いやすくなります。
⑤分析しやすくなる
訪問回数や契約状況、営業成果などが数字や図表として明確に表示されることで、データを基にした営業分析が容易になります。
営業分析により、どの営業活動が成功に繋がり、どの部分に改善の余地があるかを把握できます。また、個々の営業担当者の強みや弱点、効果的な営業手法なども明らかになります。
さらに、これらの分析結果を元にした戦略立案や意思決定ができ、営業効率の最大化を図ることも可能です。定期的な営業分析を行えば、業務改善の方向性を持続的に見直し、常に最適な営業活動を追求できるようになるでしょう。
営業の見える化によるデメリット
メリットばかりに思える見える化ですが、注意するべきデメリットもあります。
- 営業の自由度が下がる
- システム変更への抵抗
- 見える化を意識しすぎて目的を見失う
営業の効率化という本来の目的を離れ、見える化することそのものが目的化して生産性を阻害する結果となってしまっては、本末転倒です。そのような事態に陥らないように、また陥った際には問題意識を持てるように、デメリットについても理解しておいてください。
①営業の自由度が下がる
具体的な数字や指標に基づいた営業活動の進捗管理が行われる場合、かえって営業担当者の裁量が制限される可能性があります。
営業という職種は、顧客との人間関係構築や信頼関係の構築、または直感に基づく判断が重要となる場面も少なくありません。しかし、全ての活動が詳細に追跡され、可視化される環境下では、数値化しきれない営業活動や独自のアプローチをとることが難しくなることがあります。
また、指標に基づく評価が強調されるあまり、数値達成のための形骸化した活動が増え、本来の顧客へのサービスや価値提供がおろそかになる恐れもあります。営業の見える化は有用な手段ですが、その運用方法には注意が必要です。
②システム変更への抵抗
見える化を実現するためには、多くの場合、新しいITシステムの導入や既存の業務フローの変更が必要となりますが、これに対して社員からの反発が生じることがあります。
これは新システム以降には学習コストがかかるからです。新しいシステムを使いこなすためには、一定の時間と労力が必要で、これが日々の業務に影響を及ぼすと感じる社員もいることが予想されるからです。
また社員の、変化への不安感を挙げることもできます。人間は自然と既存の習慣に固執し、新しい方法への移行はストレスとなることがしばしばです。
こうした抵抗感を払拭するためには、システム変更の意義を共有し、社員の理解を得ることが重要となります。それには適切な研修やサポートを提供し、社員が新システムに慣れるまでのサポート体制を整えることが欠かせません。
③見える化を意識しすぎて目的を見失う
「見える化を意識しすぎて目的を見失う」というのは、指標や数値に追われるあまり、本来重視すべき目的から目が離れてしまうことを指します。
例えば、訪問回数や契約数といった数値指標が見える化されると、その達成に追われ、結果として顧客への適切な提案や顧客満足度を犠牲にする恐れがあります。また、数値だけに追われることで、長期的な視点や戦略的な考え方が欠如してしまう可能性もあります。
このような問題を避けるためには、見える化の目的と意味を常に明確にし、数値指標が営業活動の手段であること、目的ではないことを理解することが重要です。
営業の見える化をする方法
営業の見える化を実現する方法はさまざまですが、今回は以下の3つのポイントについて解説します。
- データの集約と分析
- トップの営業に同行
- SFAなどツール導入の検討
SFAなど営業支援ツールは、導入しやすい手段の代表格です。各営業担当の進捗状況を一覧で確認できるため、効率的な組織のマネージメントをする上では必須のツールともいえます。
①データの集約と分析
営業活動に関連するデータを集約・分析することで、営業の進捗を把握し、見える化を実現できます。
まず、各営業担当からのレポートや顧客情報、契約状況など、営業活動に関連する情報を一元的に収集することが最初のステップです。この際、ITシステムの活用が有効であり、CRM(顧客関係管理)システムなどを用いると効果的なデータ集約ができます。
集約したデータは、次に分析のステップへと進みます。各種の数値指標や傾向、相関関係などを把握し、営業の成果や問題点を明らかにする過程です。この分析結果をもとに、業績改善のための施策を立案したり、営業の方向性を決定したりします。
このように、データの集約と分析を行うことで、営業の見える化を実現し、更なる営業力強化につなげることが可能です。
②トップの営業に同行
経営層やマネージャーが現場の営業担当者と一緒に顧客訪問を行い、直接その営業活動を観察することでも営業活動の見える化を推進できます
この方法のメリットは、現場の実態を直接把握できることです。数字だけではわからない、顧客の反応や営業担当の対応方法、営業トークなどをリアルタイムで見ることができるため、具体的な改善点を見つけ出しやすいです。また、営業担当への具体的なフィードバックやアドバイスも可能となります。
ただし、この方法を採用する場合、経営者やマネージャーが自身の役割を理解し、適切な立場で同行することが重要です。営業担当への過度なプレッシャーにならないよう配慮しながら、現場の声をしっかりと聞き、営業の見える化を進めていくことが求められます。
③SFAなどツール導入の検討
営業の見える化をする方法として「SFA(Sales Force Automation)などツール導入が挙げられます。SFAとは、営業支援ツールのことで、顧客情報の一元管理や営業活動の自動化、レポート作成などを支援するシステムです。
SFAを導入することで、営業担当が抱える顧客情報や活動履歴、商談状況などの情報を一元的に管理することができ、営業の現状を詳細に把握し、分析する手間が省けます。また、これらの情報は全営業担当で共有できるため、情報の見える化を図ることができます。
ツールの選定にあたっては、自社の営業フローに合ったものを選ぶことが重要です。臨機応変にカスタマイズすることも必要です。ツール導入後は、十分な研修とフォローを行い、社員がツールを有効活用できる体制を整えましょう。
まとめ
本記事では、営業の「見える化」について解説しました。見える化は、営業活動の進捗や成果を明確に把握し、共有することを意味します。営業が抱える問題を明らかにし、それを解決するための情報を見える化することで、問題の早期発見・改善に役立てることができます
見える化によるメリットとしては、迅速な情報共有やモチベーション向上、業務量の理解、人材育成の効率化、分析の容易さなどがあります。
これらのメリットを最大化するためデータの集約と分析、トップの営業同行、SFAなどのツール導入といった方法を用いて営業の見える化を進めていくことが重要です。営業支援ツール
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