パラレルワーカーという働き方をご存じでしょうか?
パラレルワーカーとは、一つの会社ではなく複数の会社にてタスクを担う労働者のことです。
2020年に新型コロナウィルスが流行したのをきっかけに、近年注目されている働き方になります。
この記事では、急増しているパラレルワーカーを詳しく理解するために、あえてパラレルワーカーという腹き方を選ぶ人が増加している理由やその働き方のメリット・デメリットについて深堀りします。
パラレルワーカーは、近年の働き方の動向を理解するためには、押さえておきたいポイントなので、ぜひチェックしてみてください。
近年、急増しているパラレルワーカーの概要を解説します。
さらに、パラレルワーカーが増加している点についても触れています。
パラレルワーカーとは、複数の仕事やキャリアをもつ労働者のことです。
しばしば副業と混同されますが、副業は主となる本業が存在するのに対して、パラレルワーカーはメインの本業が存在しません。
どちらかといえば「兼業」のイメージが、よりパラレルワーカーに近いといえます。
2018年に、クラウドソーシング大手のランサーズ株式会社が発表したデータによると、パラレルワーカーの人数は約290万人です。
割合としては、フリーランス全体の26%を占めています。
そして、同データによると、2018年時点でフリーランスの経済規模は20.1兆円にも上ります。
フリーランス市場は、その後も成長を続けており今後さらに拡大していく見通しです。
そして、パラレルワーカーも、フリーランスの市場規模に比例して増加する見込みです。
パラレルワーカーが急増している背景には、いくつかの要因があります。
この章では、そのなかでも有名なものを紹介します。
一点目に挙げられるのは、会社員としての働き方の多様化です。
従来は、企業に正社員としてフルコミットするか、またはパート・アルバイト・派遣社員として働くかのどちらかが主流でした。
しかし、今では正社員のなかにも、時短勤務・テレワーク(在宅勤務)・ジョブ型雇用などさまざまな働き方があります。
時間外の過ごし方に関しても、従来型の「飲みニケーション」や「接待」が重視されていた時代から、個人でのサークル活動や趣味の時間が尊重される風潮になりました。
オフの時間が重視され、時間の使い方については個人にゆだねられるようになった結果が、副業や兼業をスタートしやすい状況になっています。
経済のグローバル化や価値観の変化により、終身雇用制度が終焉を迎え、日本企業も欧米企業のようにジョブ型の雇用を推進するようになりました。
つまり、かつて社員は勤めている会社に対してフルコミットするのが当然という考え方でしたが、個人の時間・考え方を尊重する時代へと変化しています。
終身雇用が終焉し、フリーランスの活用が拡大していることの裏付けとなるデータを3点紹介します。
・2018年度において、調査対象のうち62.2%の会社員が、副業実績あり(フリーランス協会調査 )
・2018年度において、地方企業の41.5%が副業の実施経験あり(フリーランス協会調査 )
・アンケート対象企業のうち57.7%が、業務時間外の副業を許可(ダイバーシティと働き方に関するアンケート調査 )
人材の活用手法が多様化する中で、労働者が複数の企業での業務・実績を通じて、スキルアップをすることが重要視される傾向にあります。
社員が安定して収入を得ていくためには、社内で実力を発揮して高く評価されるだけでなく、勤めている会社が競争に勝ち抜き、反映し続けなくてはなりません。
しかし、近年はグローバル経済が活発化し、将来の見通しが極めて不透明です。
社員個人の働き方においても、従来は認められていた残業が、働き方改革関連法案の推進などにより、認められなくなっている状況があります。
上記のような収入減少の不安から、複数の収入源を求める人が増えています。
上述のような背景から、パラレルワーカーとしての働き方を選ぶ人は急増していますが、メリット・デメリットも存在します。
両方の面を理解し比較しながら、パラレルワーカーとしての働き方が自身にとって有効な手段なのか考えてみましょう。
主なメリットは、以下の4点です。
・スキルアップ
パラレルワークで全く異なる業種の仕事をしたり、異なるクライアントと仕事をしたりするため、スキルを高めたり幅を広げられたりする可能性があります。
・収入のアップ/収入源の確保
複数の仕事をもつことで、収入の増加が期待できます。
また、一つの企業の業績が下降しても、もう一方の企業で仕事を継続できるなど、リスクの分散も可能です。
・人脈の広がり
同僚・クライアント・協力業者など、一つの企業に勤めるよりも人脈を広げられる可能性が高まります。
・視野が広がる
企業風土や価値観・ビジョン・業務の進め方などは、企業によってそれぞれ異なるため、視野の拡大につながります。
デメリットとして考えられるのは、以下の3点です。
・ワークタイムバランスの確保が難しくなる
パラレルワークをしても、時間が増える訳ではありません。
うまくタイムマネージメントをしなければ、プライベートの時間の確保が出来なかったり、過労による健康リスクが生じたりすることがあります。
・パフォーマンス低下の危険性がある
パラレルワークによる疲れや寝不足が続くと、仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼすリスクがあります。
・福利厚生を受けられないことがある
複数の企業で、少しずつ業務をおこなう場合、どの企業からも社会保険や福利厚生制度の条件を満たせないことがあります。
結果的に、労働コストの割に、得られるメリットが少なくなってしまいます。
パラレルワーカーとして活躍するには、どのような能力・スキルが求められるのでしょうか?
この章では、特に重要視されるポイントを3点紹介します。
企業が、業務をアウトソーシングするのは、基本的に専門性のある業務です。
具体的には、Webデザイン・プログラミング・動画編集・営業など、社内にスキルを持った人材がいなかったり、あるいは人数が不足したりしている業務です。
パラレルワーカーとして案件を継続的に受注し、クライアントからの信頼を得るには、これらの専門的な仕事を、高いレベルで遂行しなくてはなりません。
逆にいえば、専門能力が高ければ高いほど、高単価の仕事を受注できる確率が高まります。
複数の企業で働く際には、自己管理能力が必須です。
会社での案件のスケジュール管理だけではなく、自分のプライベートの都合も含めたタイムマネージメント・健康状態の管理・モチベーション管理などが必要です。
パラレルワーカーとして仕事を受注するには、営業力も必須です。
そして、その営業力の土台となるのは、コミュニケーション能力です。
能力を最大限高く評価してもらえるようにクライアントや見込み顧客に売り込んで案件を受注し、そして継続的に良好な関係を構築できるよう、コミュニケーション能力を磨きましょう。
日本国内でも、複数の会社で仕事を担当するパラレルワーカーが増えています。
その背景には、2019年以降の働き方改革推進などによる働き方の多様化や、社員の働き方に対する価値観の変化があります。
また、現実的な問題として、収入に対して不安を感じている方が多いという面も否めません。
本記事を、社内の業務をアウトソーシングする際や、自社の社員から副業・兼業についての相談を受けた際の参考にしていただけたら幸いです。