業務委託契約書は電子契約できる!メリットや導入手順を解説
時代のデジタル化に伴い、契約書も電子化が進んでいます。特に業務委託契約書を電子契約にすることで、スピーディーな契約締結が可能になり、コスト削減やセキュリティ強化の効果も期待できます。
この記事では、電子契約のメリットと具体的な導入手順について、分かりやすくお伝えします。ビジネスの効率化を図りたい担当者の方は、ぜひご一読ください。
業務委託契約の種類
業務委託契約には、請負契約、委任契約、そして準委任契約の3つの種類があります。それぞれの契約は異なる性質と目的を持っています。
請負契約
請負契約は、仕事の完成を約束する契約です。成果物の完成が最終目標となり、その成果物の完成が確認されたときに報酬が支払われます。例えば、建物の建築や、ウェブサイトの制作などが典型的な例です。
仕事の進め方は請負者の裁量に任されており、発注者からの指揮命令を受けることはありません。完成した成果物に瑕疵(かし)があった場合、請負者は補修や損害賠償の責任を負うことになります。
委任契約
委任契約は、法律行為を行うことを目的とした契約です。最も分かりやすい例は、弁護士への訴訟代理の依頼です。依頼者は弁護士に対して法律行為を行う権限を与え、弁護士は依頼者の利益のために最善を尽くす義務を負います。
この場合、結果の成功は約束されておらず、善管注意義務(善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務)を果たすことが求められます。
その他、確定申告を税理士に依頼する、土地の名義変更を司法書士に依頼するのも委任契約です。
準委任契約
準委任契約は、法律行為以外の事務処理を行うことを目的とした契約です。例えば、コンサルタントが企業の業務改善のためのアドバイスを提供する場合などがこれに該当します。
準委任契約では、委任契約と同様に、特定の成果物の完成ではなく、一定の事務処理やサービスの提供が求められます。受任者は、善良な善管注意義務を果たし、業務を遂行することが求められますが、成果そのものに対する責任は必ずしも負わないことが多いです。
業務委託契約は電子契約できる
業務委託契約は、電子契約で締結することが可能です。電子署名法により、電子署名は手書き署名と同等の法的効力を持つと認められており、業務委託契約の電子化は法的に有効です。
業務委託契約は、民法上の委任、準委任、または請負契約のいずれかに分類されますが、これらは全て電子契約で締結できます。契約の本質は当事者間の合意にあり、必ずしも書面の物理的な取り交わしを必要としないためです。
電子契約には、スピーディーな契約締結、セキュリティ強化、保管の容易さなど、多くのメリットがあります。後述するように、印紙税の節約にもなります。
文書の電子化に関わる法律
業務委託契約書の電子契約をはじめ、文書の電子化に深く関わる法律として、以下のものが挙げられます。
- 電子署名法
- IT書面一括法
- e-文書法
- 電子帳簿保存法
それぞれの概要を理解しておきましょう。
電子署名法
電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)は、2001年に施行され、電子署名が手書きの署名や押印と同等の法的効力を持つための要件を定めた法律です。
この法律により、電子文書に署名者の識別や認証を行うための電子署名が付与されていれば、その文書は真正性が確保され、改ざん防止や信頼性が担保されます。
電子署名法は、電子契約や取引において電子的な証明を行う際の基盤となる法律です。
IT書面一括法
IT書面一括法(書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律)は、2001年に施行された法律で、それまで書面での交付が義務付けられていた各種の文書を電子化することを認めました。
この法律は金融庁や財務省、厚生労働省など各省庁が所管する法令を一括して修正するものです。この法律により、書面作成が義務付けられている取引でも、相手方の承諾が得られていれば電子取引でも良いことになりました。
その結果、特定の業務での重要な通知や情報提供が電子書面で行えるようになり、手続きの効率化やペーパーレス化が促進されるようになりました。
e-文書法
e-文書法は、企業が保有する契約書や取引関連の書類を電子データとして保存することを可能にする法律です。
厳密には、書類の電子保存に関わる下記の法律の総称として「e-文書法」という言葉が使われています。
- 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律
- 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
e-文書法は2005年からに施行され、文書の電子化に関する共通のルールを定め、「見読性」「完全性」「機密性」「検索性」などの要件を設けています。
この法律により、企業は大量の紙書類を管理する負担を減らし、効率的なデータ管理や検索が行いやすくなりました。
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律です。1998年に施行され、その後何度も改正されてきました。2024年1月1日からは、電子取引でやりとりした書類のデータ保存が完全に義務化されています。
この法律は、国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存、スキャナ保存、電子取引のデータ保存という3つの保存区分を定めています。
業務委託契約書を電子契約にするメリット
業務委託契約書を電子契約にすると、手続きが簡易になること以外にもさまざまなメリットがあります。
スピーディーな契約ができる
従来の紙契約では、契約書を印刷し、郵送や直接手渡しで署名・押印をする必要があり、双方の物理的なやり取りに手間と時間がかかりました。
一方で、電子契約では契約書をデジタル上で作成し、オンラインで署名を行うため、地理的な距離や時間に制約されず、短時間で契約を締結できます。
スピーディーな契約の締結が可能になったことで、業務の迅速化が図られ、商機を逃さずに契約を結ぶことができます。
セキュリティの強化になる
電子契約サービスは、高度な暗号化技術と本人認証システムを採用しています。紙の契約書と異なり、電子契約では改ざん防止機能、アクセス制御、電子署名の追跡が可能です。
タイムスタンプ技術により、契約時点の正確な記録も残せるため、将来的なトラブルのリスクを大幅に減らせます。また、クラウド上で安全に保管されるため、物理的な文書の紛失や盗難のリスクも大幅に軽減されます。
保管スペースを必要としない
保管スペースが不要であることは、特に文書管理に苦慮する企業にとって大きな利点です。紙の契約書は、長期保管のために多くの物理的な保管スペースを必要とし、保管コストや管理工数が発生します。
しかし、電子契約では、クラウド上に契約書を保存できるため、物理的な保管場所が不要です。また、電子データは検索性に優れており、必要な契約書をすぐに見つけることができます。さらに、バックアップも容易なため、災害時のデータ保全も可能です。
印紙税がかからない
紙の契約書には、契約金額に応じた印紙税が課されますが、電子契約の場合、この印紙税が不要となります。高額な契約や多数の契約を締結する企業にとって、印紙税の削減は大きな経済効果をもたらす可能性があります。
電子契約システムを導入する手順
電子契約システムの導入を具体的にイメージしやすいように、一般的に想定される手順を説明します。
業務フローを確認する
最初のステップは、自社の業務フローを確認することです。現行の契約プロセスを分析し、どの段階で電子契約が適用可能かを検討します。
契約の種類、関係する部門、承認プロセス、現在の課題などを洗い出し、電子契約によって解決できる具体的な改善点を特定します。
自社に適した電子契約システムを契約する
自社のニーズに合った電子契約システムを選定します。セキュリティ機能や使いやすさ、費用、サポート体制などを総合的に評価します。
自社の業務内容や契約数、求められるセキュリティレベルに応じて最適なシステムを選ぶことが求められます。
また、電子契約システムが既存の業務システムやツールと統合できるかも確認し、デモ版も試用しながら、導入後の運用が円滑に進むよう準備を進めましょう。
研修を実施する
システムの契約後は、関係者を対象に研修を実施します。電子契約は紙の契約とは異なる点が多いため、従業員がシステムの使い方や基本的な操作を理解することが不可欠です。
研修を通じて、電子契約の基本操作やセキュリティ上の留意点、法的な要件について学ぶことで、全員が新しい業務フローに適応しやすくなります。
業務フローを改善する
最後に、業務フローの改善を行います。電子契約の導入初期には、従来の紙の契約と電子契約が混在する可能性があるため、両者の運用ルールを明確にします。
また、実際の運用を通じて発見された課題や改善点を収集し、必要に応じて業務フローやシステムの設定を見直します。
定期的な運用状況の確認と、実際に使用している関係者からのフィードバックの収集も重要です。
まとめ
業務委託契約の電子契約は、デジタル時代における企業の業務効率化を実現する上で、非常に有効な手段です。請負契約、委任契約、準委任契約のいずれも、電子契約によってスピーディーかつ安全に締結することが可能です。
電子契約システムの導入を検討されている方には、「リーガルサイン」をおすすめします。リーガルサインは、高度なセキュリティ機能と直感的な操作性を備え、多くの企業で導入実績があります。
追加オプション費用不要で全機能をご利用いただけます。電子契約への移行をスムーズに進め、ビジネスのデジタル化を推進するために、ぜひリーガルサインの導入をご検討ください。