2019年以降に施行されている働き方関連法案への注目が高まるとともに、ワークライフバランスの重要性に関してもよく耳にするようになりました。
特に経営者や人事・総務のご担当者であれば、大半の方がワークライフバランスについて見聞きされていることでしょう。
しかしながら、ワークライフバランスとはどのようなものか具体的に聞かれると、正確に意味を把握している方は意外と多くないかもしれません。
この記事では、ワークライフバランスの概要・実践のメリットなどをご紹介したうえで、具体的に取り組むためにはどのような策があるのかを解説します。
会社で働く従業員の事情は、一人ひとりの事情・状況によりそれぞれ異なります。 世帯主が「大黒柱」として家庭を支えていた社会構造は、時代の変化に伴い以下のように変化しています。 ・核家族世帯の増加や共働き世帯の増加 ・女性の社会進出 ・シニア層の就労率増加 そして、正社員として会社にフルコミットする以外に、個々の事情に合った働き方のニーズが高まっています。 典型的なケースは、介護・育児と仕事との両立です。 逆に言えば、会社側はこれら従業員のニーズに応えることにより、従業員や就労希望者から高く評価され、雇用が容易になります。
ジョブ型雇用が広まるなど、一つの会社でのキャリアの蓄積以上に普遍的なスキルが重視される傾向が高まっています。 具体例は、プログラミングのスキル・エンジニアとしての技術・語学力などです。 これらのスキル習得は業務時間外にて、いかに一人ひとりがスキルアップを目指して取り組めるかによって左右されます。 社員が技術を身につければ、会社と社員の双方にメリットがあります。 会社側:自社の技術の向上 社員側:自身の市場価値の増加 会社は、資格取得に対してインセンティブを設定するなどにより、個々の社員の自己学習を促進できます。
ライフワークバランスを向上し、社員一人ひとりが余裕をもったオフを過ごすことで業務中のストレスをリセットでき、心身の状態を良好に保てます。 結果的に、仕事に対するモチベーションや集中力が高まり、会社全体としても生産性向上が期待できます。
最も基本的なポイントとして押さえておきたいのは、ワークライフバランス向上のためには生産性向上が不可欠であるという点です。 生産性をアップさせずに、一人あたりの労働時間を減らしたり多様な働き方を導入したりすると、会社の収益が従来よりも下がってしまい、結果的に社員の「経済的な独立」の要件を満たせなくなります。 また、非効率的な業務が増えると現場にも混乱が生じるでしょう。 ITツールの導入や不要な業務の撤廃など、いかに生産性を高められるかを追究しましょう。
生産性の向上にもつながる要素ですが、仕事を見える化・標準化することは非常に重要です。 仕事の見える化・標準化とは、現状の業務の進捗状況やフローがチーム内で共有できている状態を指します。 これらができていない場合は、仕事が属人化してしまい、担当業務があるスタッフは仕事を休めない状態になってしまいます。
多様な制度の導入についても検討する価値があります。 代表的な例としては、テレワーク・時短勤務・サテライトオフィス・フリーアドレス制などがあります。 あるいは、自社の業務を外部の企業やフリーランスにアウトソーシングして業務をスリム化することも可能です。
本来の意味で働き方を改善するためには、評価制度の変更・ブラッシュアップも必要です。 業務時間や業務量が社員評価の軸になっていると、会社側が生産性向上を宣言しても社員にとっての実利が少なくなります。 決まった時間の中でいかに優れた成果をあげるか、を評価の軸とすることで生産性向上へシフトします。
福利厚生制度のいくつかは、社員のワークライフバランスの向上に直結します。 具体例としては、産休・育休制度や資格取得のためのフォロー制度などがあります。 会社としての独自施策を手厚くしたり、福利厚生の利用率を高めたりする努力をすることにより、目に見えて効果が期待できるようになるでしょう。