残業には割増賃金が発生する?費用の考え方とは
従業員が残業をする際に、状況によって企業は割増賃金を支払わなくてはなりません。
理解の不足により割増賃金を支払っていない場合には、後日従業員から請求されたり賃金未払いの労働訴訟に発展したりすることがあります。
これらの問題発生によるイメージ低下の影響は計り知れないほど大きいため、経営者や人事・総務担当者の方は割増賃金について正しく理解する必要があります。
また、いずれにせよ割増賃金が発生する事態は望ましい状況ではありません
この記事では、割増賃金が発生する状況をご紹介したうえで、割増賃金を支払わなくてもよい状況についてご紹介します。
残業には割増賃金が必要?
最初に理解しておきたい点は、残業代には割増賃金が発生するものと、発生しないものとの2種類が存在する点です。
1-1. 法定内残業
法定内残業とは、労働基準法で決められた労働時間内での残業のことを指します。
1-2. 法定外残業
法定外残業とは、法定労働時間を超過した残業のことを指します。
法定外残業時間割り増し率
月間60時間以下の法定外残業 | 25%以上 |
月間60時間以上の法定外残業 | 50%以上 |
1-3. 残業以外の割増賃金
割増賃金は法定外残業以外にも定められているため、注意が必要です。
条件割り増し率
深夜労働(22時~5時の間の労働) | 25%以上 |
法定休日労働 | 35%以上 |
法定時間外労働とこれらの条件の両方に該当する場合は、割り増し率は重複して適用されます。
残業の割増賃金支払いのデメリット
割増賃金が発生する状況は、企業側・社員側の双方にとって望ましくない状態です。
2-1. 企業側のデメリット
企業側のデメリットは、以下の点です。
- ・コスト要因になる
- ・社員の離職率増加・定着率低下の要因になるリスクがある
- ・周囲から「ブラック企業」だと認識されるリスクがある
2-2. 従業員側のデメリット
従業員側にとって、長時間労働には以下のデメリットがあります。
- ・ワーク・ライフ・バランスを保てず、プライベートの趣味などを楽しめない
- ・心身の健康リスクを害する恐れがある
- ・負荷が強くかかることで、ミスの増加や仕事の質の低下につながる
割増賃金の発生する残業を防ぐための方法
社員が長時間労働を強いられ、割増賃金が発生してしまう状況を改善するためには、会社が組織的に対策を取ることが重要です。
3-1. 生産性向上をおこなう
割増賃金を発生させないための大前提として意識しなくてはならないのは、生産性の向上です。
3-2. 情報共有の徹底
生産性の向上や業務の質向上のために最も重要とされる点の1つが、情報共有です。
3-3. チームワークの改善
生産性向上への意識改革やITツールの導入を行ったとしても、社員同士が協力し合える環境が整っていなければ意味がありません。
3-4. ルールの作成
必要に応じてルールを作成・改訂することも重要です。
まとめ
法定外残業・休日労働・深夜労働を社員がおこなった場合には、割増賃金が発生します。
- ・生産性向上
- ・コミュニケーション活性化
- ・チームワーク
- ・ルールの改訂
残業時間の短縮(長時間労働の是正)は、働き方改革や生産性向上の観点からも非常に重要視されているトピックです。