生成AIにはどんな種類がある?外せない5種類について詳しく解説
OpenAIのChatGPTが登場してから急速に注目を集め、日々進化を遂げているのが生成AIです。
テキストや画像の生成をはじめ、さまざまな生成AIが群雄割拠し、その勢いはとどまるところを知りません。そこで、あらためて代表的な生成AIの種類を整理しておきましょう。
本記事では、知っておきたい5種類の生成AIやその活用方法、使用上の注意点について解説します。
実際のビジネスに応用し、生産性向上やコスト削減の活路を見出そうとしている人は、ぜひ参考にしてください。
生成AIとは
生成AI(ジェネレーティブAI)とは、機械学習やディープラーニングの技術を駆使し、さまざまなコンテンツを生成できるAIを指します。
大量のデータからパターンや関係性を学習することによって、文章や画像などのオリジナルなコンテンツを生み出せるのが特徴です。
従来のAIでも大量の学習データをもとに結果の予測や、決められた行為の自動化を行なうことはできました。しかし、生成AIはディープラーニングにより自ら学習を重ね、人間が与えていないデータから新しいコンテンツの創出ができ、これが従来のAIとの決定的な差異となります。
生成AIにはどんな種類がある?
代表的な生成AIの種類として、以下のタスクをこなすAIを挙げることができます。
- テキスト生成
- 画像生成
- 音声生成
- 音楽生成
- 動画生成
これらについて説明します。
テキスト生成AI
テキスト生成AIとは、テキストボックスに命令(プロンプト)を入力すると、命令の内容を解析して自動的にテキストを生成するAIです。
テキスト生成AIを使えば、長文の要約やアイディア出し、プログラミングコードの生成などが容易に行えます。
ただし、AIが返してくる回答は事実と異なっていることもあるため、最終的には人間のチェックが必須となります。AIの回答を手放しで採用するのではなく、ファクトチェックが欠かせません。
◆代表的なテキスト生成AI
ChatGPT
Gemini
Bing Copilot
画像生成AI
画像生成AIとは、テキストで命令するだけで、そのイメージに近い画像やイラストを生成するAIです。
自然言語で命令を与えると、膨大な画像やイラストのデータベースを参照し、指示された内容に合致するように画像を出力します。
例えば、画像生成AIであるDALL-Eを使って「海外旅行客で賑わう京都を描いて」と命令すると、実際に以下のような画像を出力してきました。
◆代表的な画像生成AI
DALL·E
Stable Diffusion XL
Midjourney
音声生成AI
音声生成AIとは、特定の音声データを入力すると、その音声の特徴を学習して新しい音声データを生成するAIです。
例えば、音声生成AIに特定の人物の声を大量に学習させると、その人の声質と似た音声でテキストの読み上げが行えるようになります。
音声生成AIを活用すれば、実際に収録することなく、任意の人物に近い声でナレーションを行なうことができるため、アバターへの音声付けなどに応用できるでしょう。
◆代表的な音声生成AI
VALL-E
音楽生成AI
音楽生成AIとは、プロンプトにより自動的に音楽を作成するAIを指します。音楽のジャンルや曲調などを指定することで、AIが新しい音楽を生成するのです。
歌詞を入力するだけで、さまざまな声質やメロディのボーカル付きでオリジナル楽曲を生成できるツールもあります。
◆代表的な音楽生成AI
Music LM
Amper Music
Suno
動画生成AI
動画生成AIとは、テキストや画像などのデータから、映像や音源を組み合わせた動画を自動的に生成するAIです。
動画の生成には静止画像よりもはるかに複雑なデータ処理が要求され、難易度の高い領域であるとされていますが、現在では高品質な動画の生成が可能になってきています。
動画生成では、新しい動画を作成する以外に、静止画像を動画化したり、既存動画を変換したりすることもできます。
◆代表的な動画生成AI
Runway Gen-2
Canva
Lumen5
生成AIの活用方法
生成AIを活用すれば、以下のようなことが叶います。
- 定型業務を効率化する
- アイディア出しができる
- コストを削減する
それぞれについて説明します。
定型業務を効率化する
生成AIを活用すれば、定型業務を大幅に効率化することができます。定型業務の一例として、議事録の作成が挙げられます。
議事録の作成には、これまで人間の手作業によりレコーダーで録音したり、文字起こしをしたり、また適宜内容を要約するといった作業が必要でした。
しかし、これらを一括で生成AIに任せることができます。そして、業務の速度と精度が向上し、作業の負担が軽減され、その結果、より人間は重要な業務に集中することが可能となるのです。
アイディア出しができる
生成AIは、コンテンツ作成の際にアイディア出しとしても機能します。生成AIを使えば、文章、デザイン、映像、音楽などあらゆるコンテンツを自動生成できるため、人がコンテンツを作る際の参考資料やたたき台とする活用が考えられます。
ゼロから創作物を生み出すというのは、どの分野においても簡単ではありません。しかし、生成AIを活用することで、自動生成されたコンテンツとの比較ができたり、自分だけでは分からなかった観点に気付けたりして、ゼロベースではないコンテンツ作成が可能になるのです。
このように生成AIは、創作の初期段階におけるアイデア出しをサポートしてくれる強力なパートナーとなります。
コストを削減する
生成AIの助けがあれば、それまで外注にかけていたコストを削減することも見込めます。
例えば、テキスト生成AIを駆使すれば、記事作成にあたって多くの外注ライターに依頼していた執筆業務を、社内で内製化することもできるでしょう。
外注をやめる際には、もちろん社員が生成AIに精通し、使いこなせる技術が要求されますが、これがクリアできれば、大幅なコスト削減が実現できます。
記事作成には画像を利用することも多いですが、画像も画像生成AIによって自動で生成できるため、必要に応じてデザイナーなどの外注を減らし、さらにコストダウンが図れます。
生成AIを使用する際の注意点
生成AIは多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点もあります。
適切なプロンプトを与える
適切なプロンプトを設定することで、AIはより精度の高い、目的に沿った出力ができます。
プロンプトは明確で具体的である必要があります。漠然とした指示では、AIは望んでいる結果を推測することが難しくなり、期待通りの出力を得ることができません。
例えば、「面白い話を書いて」というプロンプトでは、何が面白いのか、どのようなジャンルで話を展開させたいのかが不明確です。一方で、「中世の魔法使いが主人公の短編ファンタジー小説を書いて」という具体的なプロンプトの場合、AIはより目的に適った内容を生成しやすくなります。
ハルシネーションが起こる
ハルシネーション(Hallucination)とは、もともと「幻覚」を意味する言葉で、事実とは異なる誤情報のことです。まるでAIが幻覚=ハルシネーションでも見ているかのように、もっともらしい嘘を出力することから、このように呼ばれるようになりました。
このようなハルシネーション問題があるため、AIの出力をそのまま信頼し、使用することは危険です。生成AIを使用する者は、ハルシネーションが発生する可能性があることを認識し、ファクトチェックを徹底することが求められます。
著作権の問題が起こり得る
生成AIがデータを出力するには、その前提として大量のデータを用いて学習をする必要があります。しかし、AIに対して著作物を無断学習させることが著作権の侵害にあたるとして、問題となるおそれがあるのです。
生成AIと著作権をめぐる対応は各国さまざまであり、欧州連合(EU)では、学術研究目的などを除き、著作権者が拒んだ場合は生成AIでの利用ができないとしています。
日本でも、無断学習が認められない具体的な範囲を示す指針の策定が進められ、今後、規制が強まる可能性があります。
このように、生成AIの利用には著作権の侵害にあたらないか、十分に注意しなければなりません。
まとめ
本記事では、生成AIの種類や活用方法、注意点について解説しました。
既にビジネスに取り入れている人から、今後キャッチアップする必要性を感じつつもまだ具体的に何ができるか体験したことがない人まで、さまざまでしょう。
まずは、ここで紹介した代表的な生成AIに触れてみることから始めるのがおすすめです。気軽に楽しむつもりで操作するうちに自然と操作に慣れ、仕事へ応用する基盤が整っていくでしょう。