マインドフルネスと瞑想の違いとは?Googleも実践!仕事の生産性を高める脳の休息術

働き方改革

あなたの集中力、まだ最大値を発揮できていないかもしれません。SaaSツールがもたらすマルチタスクと情報過多が、知らず知らずのうちに脳の疲れを蓄積させています。

 

そのパフォーマンスの「蓋」を外す鍵として、Googleなど最先端の企業が注目するのが 、マインドフルネスや瞑想です。

 

とはいえ、「言葉は知ってるけど、違いは?」  というのが本音ではないでしょうか。 本記事では、多忙なビジネスパーソン向けに両者の違いを解説します。

 

ビジネスのパフォーマンスを高め、心に余裕を生むための脳を整えるトレーニングを、一緒に始めてみませんか。

 

この記事の目次
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脳の疲れ、放置していませんか?

目を押さえて疲労を感じるビジネスマン

マルチタスクに追われ、鳴り止まないSlackの通知、立て続くZoom会議……。SaaSツールを駆使して効率化を図る一方で、「目の前の仕事に集中できない」「しっかり休んだはずなのに、頭がぼーっとする」といった脳の疲れを感じていませんか?

 

その疲労は、あなたのパフォーマンスを低下させる危険なサインかもしれません。

 

実は、GoogleやSalesforceといった最先端のテック企業は、こうした集中力の枯渇に対処し生産性を高めるために、マインドフルネスや瞑想を導入しています。

 

とはいえ、「両者の違いがよくわからない」「どっちが今の自分に必要なの?」と疑問に思いますよね。

 

結論からお伝えします。マインドフルネスや瞑想には多様な解釈やアプローチが存在しますが、本記事では、多忙なビジネスパーソンが理解しやすく、仕事に応用しやすい定義として、マインドフルネスは「今ここに集中している、脳の状態」を指し、瞑想は「その状態を意図的に作り出すための、脳のトレーニング」を指す、という前提で解説を進めます。

 

この記事では、上記「状態」と「トレーニング」という2つの違いを軸に、あなたの課題に合わせてどう使い分ければ良いかを解説していきます。

【早見表】マインドフルネスと瞑想の違い

忙しいビジネスパーソンのために、まずは2つの違いを一覧できる早見表で比較します。特に「仕事上でどんなメリットがあるか」に着目してご覧ください。



比較項目

マインドフルネス

瞑想

分類

心の状態 (State)

心のトレーニング (Practice)

概要

「今、ここ」の瞬間に評価せず意識が向いている心のあり方。

その「状態」を作り出すため、特定の時間に行う実践的な練習。

タイミング

日常のいつでも(会議中、歩行中、食事中など)。

特定の時間を確保して行う(始業前、終業後など)。

主な目的

今この瞬間の体験に「気づく」こと。感情の客観視。

心を特定の対象(呼吸など)に集中させ、思考のノイズを鎮めること。

主なビジネスメリット

・感情コントロール(イライラへの対処)

・傾聴力、共感力(EQ)の向上

・状況認識力のアップ(今起きていることの把握)

・集中力の基盤強化(シングルタスク能力)

・脳疲労の回復(深いリラックス)

・冷静な意思決定力の向上

 

では、より具体的にマインドフルネスとはどのようなもので、どう仕事のパフォーマンス向上に役立てられるのでしょうか? 次のセクションで詳しく解説します。

マインドフルネスとは? 仕事のパフォーマンスを左右する心の状態

考え込む男性

では、心の状態として定義したマインドフルネスについて、より掘り下げて解説します。

マインドフルネスの起源

マインドフルネスや瞑想と聞くと、宗教的なイメージを持つ方も多いかもしれません。

 

確かに、マインドフルネスのルーツは仏教の実践にあります。しかし、現代のビジネスや医療現場で活用されているマインドフルネスは、そこから宗教的な要素を取り除き、心の状態を科学するアプローチとして再構築されたものです。

 

この流れを作ったのが、マサチューセッツ大学医学大学院の教授であるジョン・カバット・ジン博士です。彼は1970年代に「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」というプログラムを開発。これが医療現場でのストレスや痛みの緩和に効果を示したことから、脳科学や心理学の研究対象となりました。

 

現在では、Google(SIYプログラム)をはじめとする多くの企業が、科学的根拠に基づいた脳のパフォーマンスを高めるスキルとして導入しています。

「今、ここ」に100%集中している状態

科学的なスキルであるとわかったところで、マインドフルネスの定義を解説します。 マインドフルネスとは、評価や判断をせず、「今、この瞬間」の体験に意識を集中させている心の状態を指します。

 

私たちの脳は非常に優秀な反面、放っておくと過去の失敗(=あの時こうすれば…)や未来への不安(=あのタスクは間に合うか…)に意識を奪われてしまいがちです。これが集中力を散漫にさせ、脳疲労の大きな原因となります。

 

マインドフルネスは、この無意識な心のさまよいから抜け出し、今、目の前のタスクに100%意識を向けるためのスキル。この「今ここ」に集中する力こそが、業務の質や意思決定の精度を高める鍵となります。

ビジネスシーンで役立つマインドフルネス実践例

では、この「今ここに集中する状態」は、どのようなビジネスシーンで役立つのでしょうか。マインドフルネスは、日常のあらゆるビジネスシーンで実践できます。その例を3つ紹介します。

 

  • 会議や1on1での傾聴
  • メールやチャットでの感情的な返信の防止
  • マルチタスク間の思考のスイッチ切り替え

 

まず「会議や1on1での傾聴」です。 マインドフルネスを実践し、次の自分の発言や別のタスクを考えず、「相手が今、何を話しているか」だけに意識を集中します。評価や反論を挟まずに「聴く」ことで、議論の本質を掴み、信頼関係の構築にもつながります。

 

次に「メールやチャットでの感情的な返信の防止」です。 カッとなって感情的な返信(リアクティブ)をしそうになったとき、一呼吸置いて「今、自分は怒りを感じているな」と自分の状態を客観視します。これにより、冷静で建設的な対応(プロアクティブ)が可能になります。

 

最後に「マルチタスク間の思考のスイッチ切り替え」です。 例えばZoom会議が終わって次の作業に移るとき、1分だけPCから目を離し、呼吸に意識を向けます。思考がリセットされ、脳のスイッチが切り替わり、次の業務へスムーズに集中できます。

 

これらは一見すると些細な心がけのように思えるかもしれません。しかし、まずは一度試してその効果を実感することが何より大切です。

 

あるシーンで「今ここに集中する」感覚を掴めると、他の業務や日常生活にも応用でき、マインドフルネスへの理解が深まるとともに、パフォーマンスにもより大きな良い影響が期待できるでしょう。

瞑想とは? マインドフルネス(状態)を作り出す脳のトレーニング

ガッツポーズをとるスーツ姿の男性

マインドフルネスという、ここに集中した状態について理解したところで、次にそれを意図的に作り出し、育てるための瞑想について解説します。

 

これは、日常の中で意識するマインドフルネスとは異なり、特定の時間と場所を確保して行う、実践的な脳のトレーニングと捉えられます。

思考のノイズに気づいて集中に戻る実践

瞑想と聞くと、「頭を無にする」「何も考えない」といった状態をイメージするかもしれませんが、それはよくある誤解です。瞑想の本質は、思考のノイズ(雑念)に気づき、それを手放して、再び集中に戻る」というプロセスそのものにあります。

 

人間の脳は、何もしなければ雑念を生み出しがちです。瞑想の目的は、この雑念を無理やり消すことではありません。「あ、今、別のことを考えていたな」と客観的に気づき、評価や自己嫌悪をせず、ただ静かに意識を元の対象(呼吸など)に戻す。

 

この「気づいて、戻す」という作業こそが、集中力や客観視の力を鍛える脳の筋トレそのものなのです。

代表的な瞑想「呼吸瞑想」

初心者でも始めやすいのが呼吸瞑想です。ここでは、ビジネスパーソンでも始業前や休憩中に試せる3分間の基本的なステップを紹介します。

 

  1. 姿勢を整えて座る
  2. 呼吸に意識を集中する
  3. (最重要)雑念に気づき、呼吸に戻る
  4. タイマーが鳴るまで繰り返す

 

まず「ステップ1:姿勢を整えて座る」です。 椅子に浅すぎず深すぎず座り、背筋を軽く伸ばします。足の裏は床にしっかりつけましょう。手は太ももの上に置き、軽く目を閉じます。

 

次に「ステップ2:呼吸に意識を集中する」です。 自分の自然な呼吸に意識を向けます。「鼻を通る空気の感覚」や「お腹や胸の膨らみ・縮み」など、呼吸に伴う体の感覚をただ感じ取ります。深く吸おうとしたり、コントロールする必要はありません。

 

そして最も重要なのが「ステップ3:雑念に気づき、呼吸に戻る」です。 必ず雑念(「あのメール返信したか?」「今日のランチ何にしよう?」など)が浮かびます。それが普通です。雑念が浮かんだら、「あ、考えていたな」と気づき、その思考を追いかけず、優しく意識を「呼吸」に戻します。

 

最後に「ステップ4:タイマーが鳴るまで繰り返す」です。 これをタイマーが鳴るまで繰り返します。1分間に10回雑念に気づいたら、それは「10回も集中に戻るトレーニングができた」ということです。決して失敗したと思わないでください。

なぜ今マインドフルネスが注目されるのか

書類とグラフを前に悩む男性のデスクワーク風景

マインドフルネスが、単なるリラックス法ではなく、ある種のビジネススキルとして注目される背景には、現代の働き方特有の理由があります。

マルチタスクと情報過多による集中力の枯渇

現代のビジネスパーソンは、SlackやTeams、メール、複数のツールからもたらされる情報(ノイズ)に、常に晒されています。

 

こうした常時接続(Always-On)の環境は、私たちの脳を強制的にマルチタスク状態にし、脳のリソースを著しく消費させます。その結果、ひとつの作業に深く集中するシングルタスクの能力が低下し、慢性的な脳の疲れや生産性の低下を引き起こします。

 

マインドフルネスの実践は、「今、ここ」の作業に意識を戻す訓練です。これにより、情報過多な環境下でも集中力の舵を取り戻し、枯渇した脳のリソースを守るスキルが養われます。

感情的知性(EQ)の向上がリーダーシップに不可欠

VUCA(不確実性)と呼ばれる現代において、リーダーやプロジェクトマネージャーには、論理的な思考力(IQ)だけでなく、自分と他者の感情を理解し管理する感情的知性(EQ)が不可欠とされています。

 

EQは、自己認識(自分の感情に気づく)・自己管理(感情をコントロールする)・共感(他者の感情を察する)といった要素で構成されます。マインドフルネスは、まさに自分の感情や思考に気づくトレーニングそのもの。

 

実践を重ねることで、プレッシャー下でも冷静な判断ができたり、リモートワークで希薄になりがちなチームメンバーの状況を察知したりする能力が向上するため、リーダーシップ開発の核として注目されています。

Googleの事例:SIY(Search Inside Yourself)

マインドフルネスがビジネス界で市民権を得た最大の功労者のひとつが、Googleです。

 

Googleは2007年、自社のエンジニアやリーダーのために「SIY(Search Inside Yourself)」というマインドフルネスに基づくリーダーシップ開発プログラムを開発しました。これは、瞑想の伝統的な手法を、脳科学や心理学の最新知見と組み合わせて体系化したものです。

 

SIYは宗教色を排し、あくまで生産性向上・感情コントロール・幸福度の向上といったビジネス上の成果を目的として設計されました。

 

このようなトップテック企業による先進的な取り組みが呼び水となり、マインドフルネスは生産性や集中力を高めるための科学的なスキルであるという認識がビジネス界全体に広がりました。

 

今やマインドフルネスは、一部の先進企業だけのものではなく、業種を問わず多くのビジネスパーソンが実践する、標準的なメンタル・トレーニングとして受け入れられています。

まとめ

この記事では、マインドフルネス(=今ここに集中している状態)と、瞑想(=その状態を作るトレーニング)という2つの違いを解説しました。

 

重要なのは、これらが精神論ではなく、Googleなどのトップ企業も実践するビジネススキルであるということです。マルチタスクによる脳の疲れや、リーダーシップに必要なEQは、現代のビジネスパーソン共通の課題です。

 

まずは、会議の合間の1分間の呼吸法からで構いません。パフォーマンスを最大化するための「脳の休息術」として、日々の業務に取り入れてみましょう。

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