労務管理とは、従業員の賃金や福利厚生など、従業員の働く環境を整える業務です。
一方で、勤怠管理と労務管理の一部として従業員の勤怠(出退勤などの勤務状況)を管理します。
本記事では、両者の基本的な違いや勤怠管理が必要な理由などについて詳しく説明します。
労務管理と勤怠管理は似ていますが、異なる概念です。
労務管理はより包括的な概念であり、従業員の労働内容全般における管理を指します。
それに対して勤怠管理は、従業員の勤務時間などの管理を表します。
労務管理は、従業員の労働内容全般に関わる管理活動です。
従業員に関する、下記のような要素を管理します。
労務管理の目的は、労働法や労働規則の遵守をはじめとして、従業員の能力開発やキャリアアップ、業績に応じた報酬によるモチベーションの向上などを通じ、従業員が働きやすい労働環境の確立と労働関係の健全な維持をすることにあります。
勤怠管理は、従業員の勤務時間や勤務日数に焦点を当てた管理活動です。
具体的には、下記のような労働時間に関連する情報の管理を指します。
勤怠管理は労務管理の一部であり、労働基準法をはじめとする法令の遵守が必要です。
勤怠管理の目的として、労働時間が法令や労働規則に則って適正に管理されているかの確認や、従業員の健康維持、勤務時間の記録に基づく給与計算などが挙げられます。
労務管理の一環として、勤怠管理が必要な理由について詳しく説明します。
2019年4月に施行された働き方改革関連法では、労働時間や休暇制度、労働条件などに関する多くの労働条件の改正が行われました。
この改正には、時間外労働の制限や年次有休休暇の確実な取得、月60時間超の時間外労働における割増賃金率の引き上げなどが含まれています。
こうした法改正に対応するため、勤怠管理では従業員の勤務時間を正確に追跡し、法律で定められた労働時間を超えないように管理することが求められます。
また、従業員が年次有休休暇を確実に取得できるように、休暇の取得状況を把握することも重要です。
適切な勤怠管理は、法令の遵守はもちろん、法改正に迅速に対応し、従業員の福祉を保護するための重要なステップとなるのです。
従業員に給与を正しく支払うためには、勤務時間・日数に関する正確な記録が必要不可欠であり、これは勤怠管理によって得られます。
ただし、給与計算は単なる時間の計算以上のものであり、多くの要素を考慮する必要があります。
給与計算は労働基準法に基づいて行われるため、時間外労働や有休休暇の取得日数は法律や労働契約に基づいて適切に計算されなければなりません。
さらに、従業員の役職や昇給などの労働条件も考慮に入れる必要があり、これらは労務管理の範疇に含まれます。
つまり、給与計算は勤怠管理のデータに基づきつつも、労働条件や役職などの労務管理に関する情報を組み合わせる必要があるのです。
また、給与の支払い時には、給与明細の発行が法律によって義務付けられており、この給与明細は正確な勤怠情報と労働条件を反映したものでなければなりません。
このように、勤怠管理と労務管理の両方が連携することによって、正確かつ法律に準拠した給与計算と支払いが実現されるのです。
従業員が働きやすい環境を作るためには、彼らの努力に対する適切な報酬の支払いが欠かせません。
正確な給与支払いは、勤怠管理のデータを基に基づいて行われ、これは従業員が果たした労働に対する公正な評価を保証するものです。
さらに、従業員の健康管理とワークライフバランスの実現も勤怠管理・労務管理の重要な側面です。
適正な労働時間の管理は、過労や長時間労働の予防に役立ち、これには労働時間や休暇取得の適切な調整が欠かせません。
勤怠管理を通じて従業員の勤務時間を監視し、法的な基準に準拠していることを保証することで、健康と福祉を守ることができます。
従業員が働きやすい環境の構築には、物理的な職場環境だけでなく、労働条件や労働時間の管理が重要です。
勤怠管理と労務管理が適切に連携することで、従業員の労働条件を調整し、彼らが健康的で満足のいく職場環境で働けるようにすることが可能となります。
勤怠管理で管理する項目には、以下のようなものがあります。
これらについて解説します。
勤務時間・休憩時間の管理は、従業員の出勤、退勤、そして休憩の時間を正確に記録することを含みます。
そして、これらの記録は勤務時間や残業時間の計算に使用され、正確な給与計算のために不可欠です。
従業員の勤務時間を正確に把握することは、賃金算定の精度を高めるために重要です。
労働基準法により、始業と終業の時間は1分単位で管理される必要があります。
遅刻や早退があった場合の影響を正確に評価することで、適切な業務指導や配置換えなどの対応が行えます。
また、休憩時間の適切な管理は労働者の健康と福祉を保護するためにも重要です。
休憩時間を確実に提供し、労働時間内に適切な休息が取れるようにすることで、労働者の過労を防ぐことができます。
労働基準法はこれらの時間を客観的に管理することを義務付けており、タイムカードやコンピュータ機器の利用、管理者による記録の確認などの方法が求められます。
自己申告のみの記録は認められず、時間の記録が正確かつ公正に行われることが重要です。
出勤日数・欠勤日数・有給休暇の情報は、出勤状況や休暇利用の把握に欠かせません。
出勤日数の記録は、従業員が実際に働いた日数を反映し、この情報は給与計算に利用されます。
欠勤日数の記録は、従業員の勤務規律や出勤状況の把握に役立ち、必要に応じて個々の従業員に対する指導や配置換えの判断材料となるでしょう。
有給休暇に関しては、労働基準法により従業員に一定の勤務期間に基づく有給休暇取得の権利が保障されています。
年間10日以上の年次有給休暇を付与された従業員には、最低5日の有給休暇を取得させることが義務付けられています。
付与される有給休暇の日数は従業員の継続勤務年数によって異なり、正社員や派遣社員、アルバイトなどの雇用形態に関わらず、継続勤務年数に基づいて付与されます。
従業員の健康や労働基準法の遵守、そして企業のリスク管理の上で、時間外労働・深夜労働・休日労働の時間数は重要な情報です。
時間外労働、深夜労働、休日労働の時間数が正確に把握できていない場合、従業員の過労や健康問題、意欲低下のリスクが高まることが予想されます。
こうしたリスクは、従業員の福祉だけでなく、企業の生産性にも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、法的な観点からも労働基準法違反のリスクが高まり、労働基準監督署からの是正勧告や指導、さらには従業員との訴訟問題に発展する可能性も否定できません。
時間外労働、深夜労働、休日労働の時間数の管理には、システムによる自動化が非常に効果的です。
手作業による記録は時間がかかるだけでなく、ミスが起こりやすいという欠点があります。
一方、システムによる自動管理は、これらの課題を解決し、より客観的な記録が可能となります。
また、時間が経過してから問題が顕在化することが多い時間外労働においては、追跡可能性が特に重要です。
システムによる管理は、記録の正確性を保証し、労働時間の遵守状況をリアルタイムで把握することを可能にしてくれます。
勤怠管理システムを導入すれば、アナログだった管理を効率化し、無駄な作業を減らせます。
同時に、正確性も担保できるため、迅速でミスのない管理が実現できます。
勤怠管理システムがあれば、勤怠管理に関するさまざまな作業を効率化できます。
例えば、「VWS勤怠」のタイムシート作成では、従業員の打刻がリアルタイムで共有されます。打刻忘れにはアラートが出るため、即座に従業員に確認できるなど、正確で手間のかからない勤務時間管理ができるでしょう。
また、有給申請をシステム上で行うことができ、承認された有給はタイムシートに反映され、自動的にカウントされます。
タイムシートはそのままExcel・PDFとしてエクスポートすることもできるため、柔軟なデータ管理に役立てられます。
勤怠管理システムを使用することで、企業は法令遵守に効果的に対応することができます。
労働基準法では時間外労働の上限や有給休暇の取得義務などが定められており、これらの法令に違反しないためには、従業員の勤務状況を正確に把握し、管理する必要があります。
勤怠管理システムは、このようなプロセスを自動化し、管理者が従業員の勤務状況を効率的に把握する手段を提供します。
勤怠管理システムを用いることで、従業員の不正打刻を防止することもできます。
例えば、特定の時間や場所以外での打刻を制限することによって、勤務場所外や非勤務時間の不正打刻を防げます。
在宅勤務や現場での直行直帰においても、モバイル機器やオンラインでの打刻システムは、GPSによる位置情報を利用して不正を防止することができるため、リモートワークやフィールドワークでも正確な勤務記録を保持することが可能です。
VWS勤怠では、出勤・退勤時に専用アプリで打刻した場所の位置情報を取得することができるため、異常な打刻があれば速やかに気づくことができます。
労務管理を適切に行うためには、正確な勤怠管理が不可欠です。
労働時間や残上時間など従業員の勤務状況を効率的に管理するには、勤怠管理システムがあれば便利です。
「VWS勤怠」は、管理者も従業員も簡単に扱えるクラウド勤怠システムです。
まずは無料トライアルをお試しいただき、簡単に操作できるか、業務効率化に役立てられそうかをお確かめください。