休日には大きく分けて、「法定休日」と「法定外休日」(所定休日)の2種類があります。
この2種類の違いについて、詳しく理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
2種類の違いを簡単に説明すると、「法定休日」とは労働基準法で規定された必ず取らなくてはならない休日、「法定外休日」とは「法定休日」とは別に会社が設ける休日のことです。
「法定休日」は原則として休みを取らなくてはならない日程であり、もし「法定休日」に社員が勤務をした場合、会社は社員に対して割増賃金を支払わなくてはなりません。
この記事では、「法定休日」・「法定外休日」の定義や賃金の考え方について詳しく解説します。
「法定外休日」とは、「法定休日」の他に設定する休日です。
労働基準法では労働時間の基準が、週に40時間以内と規定されています。
従って、1日の勤務時間を8時間もしくは7時間とした場合、「法定休日」だけでは休日が不足してしまいます。
そこで、労働時間が40時間を超えないようにするために、「法定休日」とは別に「法定外休日」(所定外休日)を設けるケースが一般的です。
例えば、週休2日制で土日を休日に設定する場合、日曜日が「法定休日」、土曜日が「法定外休日」(所定休日)の扱いになります。
「法定休日」は、法律上与えなくてはならない休日であり、「法定休日」を与えなかった場合には罰則があります。
“第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。”
(法定休日)
労働休日119条
「法定休日」を与えなかった場合には、「半年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」が、経営者に対して科される可能性がある。
ただし、36協定を事前に締結しておけば、「法定休日」であっても労働させることができる。
対して、「法定外休日」を与えなかった時の罰則規定はありません。
ただし、労働基準法で定められた労働時間を超過してしまった場合には、「半年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」が科される可能性があります。
法定労働時間について詳しく知りたい方は、「時間外労働の上限と違反時の罰則|適正な労働時間管理に必要なこと」にて詳しくご案内しておりますので、ぜひ参照してください。
「法定外休日」に対する割増賃金は、週に40時間以上の労働時間を超過しているか否かがポイントです。
合計の労働時間が40時間以内の場合、割増賃金を支払う必要はありませんが、40時間を超えると割増率25%以上の賃金を支払わなくてはなりません。
「法定休日」の場合は、週に40時間を超過するかしないかに関わらず、超過率35%以上の割増賃金を支払わなくてはなりません。
「法定外休日」と「法定休日」の割増率を表にまとめると、以下のようになります。
|
週40時間未満 |
週40時間以上 |
「法定外休日」 |
- |
25%以上 |
「法定休日」 |
35%以上 |
35%以上 |
さらに、「法定休日」の割増率は、22時~5時までの時間帯の割増賃金(25%以上)や月60時間以上の労働(50%以上)に該当する場合には、重複して適用されます。
例えば、「法定休日」の22時~5時までの労働が生じた場合、35%+25%=60%となり、60%以上の割増率で支払われることになります。
「法定休日」に社員が出勤しなくてはならない状況が生じたときに、振替の休日を設定したり、代休を取得するケースはよくあることです。
振替と代休はとてもよく似ていますが、その意義は大きく異なります。
振替・・・事前に別の日程に休日を移動すること
「法定休日」を別の日程に振り替えた場合、賃金の割増は発生しません。
代休・・・休日出勤した後に、別日程で代わりの休日を取ること
代休の場合には、割増賃金が発生します。
両者の大きな違いは、休日出勤の前に休みの移動をおこなうか、後におこなうかの違いです。
ただし、振替をした場合であっても、1週間の労働時間が40時間を超過したときには、25%以上の割増率が適用されます。
「法定休日」は、1週間に1回もしくは4週間に4回以上の、労働基準法によって定められた休日のことです。
会社は具体的に曜日や日にちを指定する必要はありませんが、「法定休日」を社員に与えなかった場合(1週間に1度もしくは4週に4度以上の休日を労働者に対して付与しなかった場合)、罰則規定が適用されることがあります。
また、「法定休日」が与えられていても、就業規則で規定されている1週間の労働時間(40時間)をオーバーしてしまうこともあり、「法定休日」とは別に「法定外休日」が設けられます。
特に注意しなくてはならないのが、休日に社員が労働した場合の、残業代の考え方です。
「法定休日」であるか否か・週40時間を超えているか否か・深夜残業などその他の割増条件が当てはまるか否かによって、それぞれ適用される割増率が異なるためです。
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