業務委託のメリットとは?専門性の確保やコストカットができる
働き方改革の推進やリモートワークの普及により、業務委託を利用する企業が増えています。
本記事では業務委託を活用するために知っておきたいメリット・デメリットについて解説します。前提知識として、業務委託の契約形態についても言及しました。
業務委託は業務効率化やコスト削減に役立つ一方で、継続依頼には注意すべき点もあるため、事前に理解した上で利用するようにしましょう。
業務委託とは
業務委託とは、企業が自社の業務の一部を別の会社や個人に任せることを指します。
業務委託は委託者(仕事を依頼する企業)と受託者(仕事を引き受ける個人や企業)の関係で構成されており、個人事業主やフリーランスも受託者として増えています。
アウトソーシングや外注とも似た概念ですが、まったく同じではありません。
最近では法律に準拠した業務委託サイトや仕事のマッチングプラットフォームの登場により、業務委託はさらに手軽になり、多くの企業が利用するようになりました。
業務委託を理解し、適切に活用することは企業の成長に不可欠です。
業務委託という契約形態について
ここでは業務委託について、契約形態の種類と、類似する他の契約形態との違いについて解説します。
委任契約・準委任契約・請負契約の違い
業務委託は、大きく委任契約と請負契約に分けられます。これらは報酬の発生基準と業務内容によって異なります。
委任契約は、業務遂行にかかった時間に応じて報酬が発生する契約で、受託者がどれだけの時間働いたかが問題です。
これに対し、請負契約は成果物の提出により報酬が発生する契約で、仕事の完成度が報酬に直結します。
また準委任契約は、法律行為を伴わない業務に関する契約で、多くの業務委託はこの形態を取ります。
業務委託の例としてライティングの仕事を考えてみましょう。
「1記事5,000円」のような契約は、記事という成果物の提出をもって報酬が発生する請負契約になります。
請負契約では、成果物である記事の作成にどれだけ時間を要したかまでは問われないため、「1記事5,000円」という契約であれば、1時間かけても5時間かけても報酬は一律に「5,000円」です。
一方で、「記事作成で時給1,000円」のような契約は、業務遂行にかかった時間で報酬が発生する準委任契約です。
時給1,000円の記事作成の仕事で、完了までに1時間かかったら1,000円、5時間かかったら5,000円の報酬となります。
雇用契約・派遣契約との違い
業務委託契約は、会社員と派遣社員の雇用契約とは大きく異なる点があります。
会社員は雇用契約に基づき、決められた時間働くことで給与を受け取ります。ここでは雇い主と従業員の間に主従関係があり、勤務時間や業務内容に対する指揮命令が存在します。
一方、業務委託では成果物や業務の遂行に対して報酬を受け取る形態で、指揮命令は行われず、働き方にも制約がありません。
派遣契約の場合、派遣社員は派遣元企業と雇用契約を結び、派遣先企業で業務を行います。この際、業務に関する指揮命令は派遣先企業が行うものの、派遣社員は派遣元企業に雇用されている点で業務委託とは異なります。
このように、業務委託契約は雇用契約や派遣契約と比較して、より自由度の高い働き方を可能にする一方、雇用に関連する保障は限定的です。
業務委託に依頼するメリット
業務委託に依頼するメリットとして、主に以下のようなものがあります。
- 専門性が高い仕事を任せられる
- 人件費を抑えられる
- 社内人材がコア業務にあたれる
このようなメリットが大きなものとして享受できる場合、業務委託を活用するとよいでしょう。
専門性が高い仕事を任せられる
業務委託を利用する主なメリットのひとつは、専門性が高い仕事を適切な人材に依頼できる点です。
例えば、ITシステムの開発やWebサイト制作などは高度な専門性が必要とされますが、これらのような業務を社内の従業員が全てカバーするのは困難です。また、専門家を常時雇用するには大きなコストがかかり、現実的ではありません。
そこで、業務委託を活用することで、必要な期間や特定のプロジェクトに限定して、その分野の専門家に仕事を依頼できます。
必要に応じて専門的なスキルを持つ人材に対価を支払い、社内リソースでは難しい業務を効率的に処理することが可能になります。
人件費を抑えられる
人件費の削減ができることも、業務委託のメリットです。
プログラマーや弁護士など専門性の高い職種を企業が直接雇用する場合、毎月の人件費が大きな負担となります。しかし、これらの業務を業務委託によって外部の専門家に任せることで、そのコストを大幅に削減できます。
業務委託では、人材を社内で雇用する際に必要となる備品代、設備代、社会保険料などの副次的なコストも不要になります。
このように、業務委託は一見するとコストがかかるように思えますが、実際には必要な期間や業務に限定して専門性の高い人材を利用することで、全体的な人件費の節約に繋がるのです。
社内人材がコア業務にあたれる
業務委託の活用により社内人材がコア業務に専念できるようになるのは、見落とされがちかもしれませんが、大きなメリットです。
特に専門性の高い、あるいは手間のかかる業務を外部の専門家に委託することで、これまでその業務に割いていた社内人材の時間が解放されます。
このことにより、企業は社内人材をより重要な業務や、その人材のスキルに最も適した業務に再配置することができます。
この再配置は、企業の生産性を大きく向上させる可能性があり、社内リソースを本業に集中させることで競争力を高めることにも繋がります。
また、専門性の高い業務に加え、雑務や単純作業も外部に委託することで、従業員がコア業務に集中できる環境が整い、結果として企業全体の生産性向上に貢献することも期待できるでしょう。
業務委託に依頼するデメリット
業務委託のデメリットとして考えられることもあります。
- 情報漏えいリスクがある
- 社内にノウハウが蓄積しない
- 品質管理が難しい
業務委託への依頼の際は、これらについて十分に認識しておく必要があります。
情報漏えいリスクがある
業務委託においては、情報漏洩のリスクが主なデメリットのひとつです。
企業が外部の委託先に業務や顧客情報を提供する際、その委託先の情報セキュリティ対策や情報管理体制が十分でない場合、機密情報が漏洩する可能性があります。
情報漏えいリスクは、委託先がセキュリティ対策に対する意識が低い場合や、適切な管理体制が整っていない場合、顕著になります。
そのため、企業は業務を委託する際には、委託先のセキュリティ対策のレベルや、契約時に設定する秘密保持条項を慎重に検討することが必要です。
社内にノウハウが蓄積しない
業務委託に頼りすぎると、社内にノウハウが蓄積されなくなります。
専門性が高い業務を外部に任せることは便利ですが、社内の従業員がその分野における専門知識を身につけられず、企業内でのスキルや知識の蓄積が進まなくなる可能性があります。
このため、業務委託に頼りすぎると、組織としての知識基盤や優秀な人材育成に影響を及ぼしかねません。
業務委託を利用する際には、その影響を考慮し、社内での知識の蓄積や人材教育を同時に進めるための工夫が必要です。
品質管理が難しい
業務委託への依頼で直面しやすいのが、品質管理の難しさです。受託者が社外の人材であるため、業務の品質に一貫性を持たせることは容易ではありません。
外部の受託者には企業の内部基準や品質管理プロセスが十分に伝わっていない場合があり、業務の品質にばらつきが生じることがあります。また、業務委託では受託者に対する直接的な指導や教育が難しく、受託者のスキルアップも期待しにくい側面があります。
業務委託で品質に一貫性を持たせたり、また品質の向上を期待したりするには、通常の社内業務よりも綿密なコミュニケーションが大切です。
まとめ
業務委託の契約形態やメリット、デメリットについて解説しました。
業務委託は高い専門性をスポットで確保でき、人件費も抑えられるなどのメリットがある一方で、専門的なナレッジが社内に蓄積しない、情報漏えいのリスクを抱えることになるといったデメリットもあります。
業務委託を最大限に活用するには、このような事情を理解しながら、適切な採用や配置といった人材管理が重要です。
そのような人材管理や人事施策を効果的に行うには、人事管理システムがおすすめです。
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