ビジネスチャットのマナーを身につけ円滑なコミュニケーションをする
在宅ワークが普及するとともに、ビジネスチャットを導入する企業が増えています。ビジネスチャットを使えば、きめ細かなメッセージのやりとりができ、社内コミュニケーションの活発化に役立ちます。
そこで、押さえておきたいのがビジネスチャットにおける適切なマナーです。従来からあるメールのマナーは分かるものの、ビジネスチャットの扱いにまだ慣れていないという人も、少なくないのではないでしょうか。
そこで、本記事ではビジネスチャットの適切なマナー、NGマナー、また便利な例文について紹介します。
ビジネスチャットのマナー
ビジネスチャットで必ず押さえておきたいマナーを、8つ紹介します。
なるべく早く返信する
ビジネスチャットでは、リアルタイムなやりとりが重視されています。メールと比較すると分かりやすいですが、メールでは通常、素早いレスポンスは求められておらず、内容もより長いことが一般的です。
一方で、ビジネスチャットではチャット形式でスピーディーなやりとりが好まれます。「即レス(即レスポンス)」という言葉もあるように、なるべく迅速に返信するのが基本であると認識しておきましょう。
ただし、中にはすぐに回答できない内容もあります。そのような場合は「本日の夜までに返信します」など、回答に一定時間が必要なことを、一時返信として知らせておくのが無難です。
また、早く返信する前提として、メッセージにリアルタイムで気付ける必要があります。メッセージを受信したことを確実に知るためには、受信を知らせる通知の管理が欠かせません。特にプライベートで使用するデバイスと同じデバイスでビジネスのやりとりをする場合、ビジネスの通知がプライベートのそれに埋もれないようにする工夫が必要です。
絵文字を活用する
ビジネスチャットは、絵文字の使用が許容されている場合が多いです。絵文字を用いることで、オンラインでも感情の伝達やニュアンスの明確化が可能になります。
絵文字やスタンプを適切に使うことで、メッセージの雰囲気を和らげたり、親しみやすさを出したりできます。これは、テキストのみのやり取りでは伝わりにくい微妙な感情や、ポジティブな意図を伝える際に、非常に有効です。
しかし、絵文字の使用は状況や相手によって異なります。ビジネスの文脈では、相手が絵文字やスタンプを好むか、またはその使用が適切かどうかを考慮する必要があります。特にフォーマルな設定や初対面の相手、または絵文字の使用に慣れていない人とのコミュニケーションでは、その使用を控えるべき場合もあるでしょう。
絵文字を使用する際には、その文脈や相手の文化、そしてメッセージの内容を考慮し、適切な判断をすることが求められます。
リアクションをする
ビジネスチャットには、リアクションボタンが設けられていることが多いです。ここでいうリアクションとは、送信されてきたメッセージに対して、返信するまでもないような簡易な応答をすることを意味します。
簡易な応答の具体例として、以下のようなものが挙げられます。
- ・了解したことを示す
- ・感謝を示す
- ・既読であることを示す
リアクションすることで、これらの意思表示を即座に行えるため、メッセージの受信者側は簡易かつスピーディーな対応ができます。また、送信者側も、例えば、「承知しました」「ありがとうございます」など、内容が分かりきった回答をテキストとして読まなければならない負担が減ります。
このように、リアクションはコミュニケーションにおける少しの工夫ですが、頻繁にメッセージをやりとりする上ではビジネスチャットにおいて欠かすことのできない機能であるといえるでしょう。
簡潔な文章にする
ビジネスチャットでは、効率的なコミュニケーションを目指すため、メッセージは結論が分かりやすい、簡潔な形式であるべきです。これは、相手がメッセージのポイントを迅速に把握できるようにするためです。
具体的には、メッセージの冒頭に最も伝えたい結論を置き、その後で必要な背景情報や理由を述べます。これは、伝えたいことを先に明確にし、詳細は後からフォローするという構成を意味します。このようなアプローチは、相手にとってメッセージの理解を容易にし、迅速な意思決定や対応を促してくれるでしょう。
また、メッセージの冒頭に件名や主題を明確にすることで、後からの検索も容易になります。ビジネスチャットの多くにはメッセージの検索機能が備わっており、簡潔で要点を押さえたメッセージは、後から情報を探す際にも大きな利点となります。
したがって、ビジネスチャットを使用する際には、簡潔かつ明瞭に結論を伝え、必要な詳細情報はその後に続けるというマナーを守ることが、効率的なコミュニケーションを実現する鍵です。
スレッドを使い分ける
ビジネスチャットのスレッド機能は、関連するやり取りを一つの流れとしてまとめるためのもので、同じトピックに関するメッセージを紐付けして整理することができます。この機能を利用することで、会話が分散することなく、特定の話題についてのメッセージを一箇所で追いやすくなります。
同じ題材について詳細な情報共有や長期にわたる議論を行う場合、スレッド機能を用いることが推奨されます。これにより、チャットのメインフローが乱れることなく、関連するすべてのメッセージを一連の流れとして確認できるため、後から話題を追う際にも便利です。
スレッドを適切に使い分けることは、ビジネスチャットでのコミュニケーションをより効果的かつ整理されたものにするために重要です。これにより、情報の検索性が向上し、チーム内のコミュニケーションがスムーズになります。
送信先を指定する
ループチャットのような複数人が参加している環境では、このマナーがコミュニケーションの効率性を大きく左右します。
メッセージを送る際には、「To」や「@」機能を用いて、そのメッセージが誰宛てであるのかを明確にします。こうすれば、メッセージの受信者は自分が返信の対象者であることを直ちに理解し、適切に対応することができます。また、メッセージが特定の人々に向けられていることを他のチャット参加者にも明示し、関係ない人たちの注意を不要に奪うことを防ぎます。
このように送信先を明確にすることで、メッセージの内容が関係ない人々を混乱させたり、彼らの作業を妨げたりすることなく、必要な人だけが情報を受け取ることができます。
業務時間内に連絡をする
業務時間内に連絡することは、相手のプライベートの時間を尊重することに加え、仕事と私生活のバランスを保つのに役立ちます。
業務時間外にメッセージを送信すると、受信者は仕事から離れてリラックスする時間にも関わらず、仕事に関することを考えざるを得なくなります。これは、相手に「早く返信しなければならない」という圧迫感を与え、ストレスや疲労の原因となる可能性があります。そのため、メッセージを送る際は業務時間内に限定することが推奨されます。
また、送信相手が社内の人物であれ社外の人物であれ、送信時間に配慮することは、プロフェッショナルなコミュニケーションを維持する上でも重要といえるでしょう。自分の勤務時間だけでなく、相手の勤務時間も考慮することが必要です。さらに、社内ルールや文化を確認し、残業や休日出勤時のチャットの取り扱いについて理解しておくことも大切です。
プライバシー保護に注意する
情報の取り扱いには細心の注意を払い、個人間で交わされた内容を相手の了承なしに他のグループや人に共有することは避けるべきです。
これは、共有された情報が相手にとって不快や不適切である可能性があるためです。そのため、他の人と情報を共有する前には、常にその内容を相手に確認し、共有する範囲についても合意を取ることが求められます。
ビジネスチャットの使用が日常化すると、多くのチャットルームが存在することになります。この状況下で、誤ったチャットルームに情報を送信してしまうと、意図しない情報漏洩を引き起こすことになりかねません。このようなミスは、プライバシーの侵害だけでなく、生産性の低下にも繋がります。したがって、メッセージを送信する前には、送信先が正しいかを確認する習慣を身につけることが大切です。
ビジネスチャットのNGマナー
ビジネスチャットにおける、気をつけたいNGマナーがこちらです。
- ・返信・リアクションをしない
- ・会話をカジュアルにしすぎない
- ・即レスポンスを期待しすぎない
それぞれ、取り上げます。
返信・リアクションをしない
コミュニケーションの基本として、相手からのメッセージには適切に反応することが期待されます。返信やリアクションをしないことは、相手のメッセージが無視されたと感じさせ、コミュニケーションも途絶えてしまいかねません。
即時の返信を必ずしも期待すべきではありませんが、メッセージを受け取ったこと、読んだこと、理解したことを何らかの形で示すことは重要です。これにより、相手は自分のメッセージが適切に伝わったことを認識し、必要に応じて次の行動を取ることができます。また、適切なリアクションをすることは、相手に対する敬意を示し、良好な関係を維持するためにも必要です。
返信を完全に無視することは、相手に不安や疑問を残すことになり、それがチームの士気や生産性に悪影響を与える可能性があります。したがって、もし即座に詳細な返信が難しい場合でも、メッセージを受け取ったことを簡単にでも伝えることが、ビジネスチャットを使用する上での良いマナーとされます。
会話をカジュアルにしすぎない
ビジネスチャットは、かしこまったメールよりもカジュアルでラフなコミュニケーションに適したツールともいえます。
日本では日常的なやりとりにLINEを使用している人が多いですが、LINEと同じようなチャットでメッセージのやりとりができ、メールと比較するとよりコンパクトでリアルタイムなコミュニケーションが求められます。
しかし、そうはいってもビジネスにおいてカジュアルになりすぎてしまうのは禁物です。挨拶や敬語など、最低限のマナーを守るのは、ビジネスマンとして、大人として必須なのはいうまでもありません。
同じプロジェクトに長期間関わり、信頼関係ができ始めてきた人ほど、良くも悪くも気を抜いてカジュアルな言い方になってしまいがちです。いま一度、注意しましょう。
即レスポンスを期待しすぎない
迅速なやり取りは業務の効率を高める一方で、必要以上に即時の返信を求めることは避けるべきです。即時のレスポンスを強く期待することは、相手に不必要なプレッシャーを与え、業務の集中を妨げる原因にもなります。
相手が常に即座に返信できる状態にあるとは限らず、他の重要な業務に取り組んでいる可能性も考慮する必要があります。そのため、相手が通知に気を取られてしまい、本来の業務に集中できなくなることを防ぐためにも、すぐに返信を得られない状況を理解し、受け入れる姿勢が大切です。
もちろん、迅速なレスポンスは業務効率を向上させるために重要ですが、それを相手に強要することは避けるべきです。相手の状況を理解し、適切なタイミングでレスポンスを期待することが、互いの信頼関係を築き、効率的なコミュニケーションを維持する上で重要になります。
ビジネスチャットで使える便利な例文
ビジネスチャットで使用できる定型文を3パターン紹介します。
相手に依頼するとき
タスクを相手に依頼するシーンは多いでしょう。その際は、以下の例文が使用できます。
- ◯をしていただけますでしょうか?
- お忙しいところ恐縮ですが、◯をご依頼させてもらってよろしいでしょうか?
- ◯をお願いいたします。期日は△までにお願いできますと幸いです。
上記のように、丁寧な言葉遣いを心がけるのが基本です。また、忙しい中で対応してもらうことへの配慮を示せると、相手は気持ちよく対応してくれようという気になるでしょう。さらに、タスクの期日を指定すると、やりとりの工数が減り、後々のトラブル回避にも繋がるでしょう。
タスクの依頼は、ビジネスの中で日常的に行われるやりとりのひとつです。少しの気遣いが仕事を大幅にスムーズにするため、このような例文を知っておくことは重要です。
リマインドするとき
ビジネスチャットを利用する際、返信が来ない時には適切なリマインドが必要です。リマインドのメッセージは、対象となる内容を明確にし、返信を促す形で送られるべきです。
- 【リマインド】◯は確認いただけましたでしょうか?
- リマインドとなりますが、◯の件についてご確認お願いいたします
内容をリマインドすることで、相手に具体的なアクションを思い出させ、何に対して返信が必要なのかをはっきりとさせることができます。
返信不要のとき
返信が不要な連絡をする際には、その旨を明確に伝えることが重要です。これは、受信者が不必要に返信をする手間を省き、全員の業務効率化に寄与します。
- 【返信不要】◯についてお知らせします
- ◯の議事録がこちらです(返信不要)
また、参加確認が必要な場合などでは、「次回ミーティングに参加される方はこのメッセージにリアクションをお願いします」のように指示を出すことで、返信ではなくリアクション機能を用いた簡単な確認が可能になります。この方法は、重要なメッセージが埋もれることなく、確認が必要な人だけが簡潔に反応できるため、効率的です。
まとめ
ビジネスチャットのマナーについて紹介しました。ビジネスチャットには、メールとはまた異なる文化があるため、ビジネスチャットを使い始めた人は、本記事で説明した内容は押さえておくと良いでしょう。
社内のコミュニケーションを円滑にするビジネスチャットとして「JANDI」があります。導入をお考えの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。