経理代行をフリーランスに依頼するメリット・デメリット|費用相場と注意点を解説
経理業務を外注したいが、コストはできるだけ抑えたいというとき、フリーランスへの依頼という選択肢が浮かんできます。代行会社よりも費用を抑えやすく、細かな対応も期待できそうです。
しかしその一方で、スキルや品質は本当に信頼できるのか、会社の重要な情報を個人に預けて大丈夫だろうかといった不安も拭えません。
そこで、本記事では、経理代行をフリーランスに依頼するメリット・デメリットを比較し、費用相場や代行会社との違い、依頼する際の注意点まで詳しく解説します。
自社にとって最適な経理のパートナーを見つけるための参考にしてください。
経理代行の依頼先としてフリーランスはあり?

フリーランスへの経理代行は、メリットとデメリットをきちんと理解して使い分ければ「あり」な選択肢です。創業初期で取引件数が少ない時期や、月次処理だけスポット的に依頼したいときなどには、必要な範囲だけをスピーディに外注できます。クラウド会計の普及によりオンライン完結のやり取りもしやすく、コストを抑えつつ柔軟な運用がしやすいでしょう。
ただし、担当者のスキル差や対応範囲の限界、継続性への不安といった注意点もあります。契約内容や業務フローを明確にしておかないと品質がばらつきやすく、情報管理のリスクも生じます。また、税務代理や申告書の作成といった一部の業務は税理士資格がなければ行えません。
こうした点を踏まえると、「フリーランス=最適」とは言い切れないものの、特性を理解したうえで活用すれば有効な選択肢のひとつです。次のセクションで紹介するメリット・デメリットを整理して、自社の状況に合った依頼先かどうかを見極めていきましょう。
経理代行をフリーランスに依頼する3つのメリット

フリーランスへの経理代行依頼には、コスト面のメリットだけでなく、必要なときに必要な範囲で対応してもらえる柔軟さや、近い距離感でやり取りしやすい点など複数のメリットがあります。こうしたメリットについて、具体的に見ていきましょう。
コストを抑えられる
フリーランスに依頼する大きなメリットは、コストを抑えられることでしょう。代行会社の場合、オフィスの賃料や営業担当者の人件費、広告費といったコストが上乗せされるため、同じ業務内容でも料金が高くなる傾向があります。一方で、フリーランスなら中間コストがかからず、シンプルな料金体系で発注できる点が大きな違いです。
また、必要なときだけ依頼できる点も費用面の強みです。月次処理や仕訳入力といった一部の作業だけを切り出して依頼できるため、代行会社のパッケージプランよりも柔軟に予算をコントロールできます。創業期や取引件数が少ない時期など、費用対効果を重視したい局面でも導入しやすいでしょう。
ただし、安さだけを理由に選ぶと、品質や対応範囲で不満が生じることもあります。コスト面の優位性は大きな魅力ですが、自社の業務内容や求める精度とのバランスを考えたうえで検討することが求められます。
柔軟な対応が期待できる
個人で活動しているフリーランスは、組織的なルールやマニュアルに縛られず、柔軟な対応が期待できる点もメリットです。法人では対応が難しいような、ごく小規模な業務やイレギュラーな作業でも相談しやすいでしょう。
「今月だけ、この作業も追加でお願いしたい」「特定の領収書だけ先に処理してほしい」といった細かな要望にも、フットワーク軽く応じてもらえる可能性があります。使用する会計ソフトやチャットツールなども、依頼者側の環境に合わせてもらえるかもしれません。
マニュアル化された大規模な代行会社では難しい、かゆいところに手が届くようなパーソナライズされたサポートを期待できるのは、フリーランスならではの強みといえるでしょう。
コミュニケーションが取りやすい
コミュニケーションの取りやすさも、フリーランスに依頼するメリットのひとつです。規模の大きな代行会社では、窓口となる担当者と実際の作業者が異なっていることがあり、意図が正確に伝わらなかったり、返答に時間がかかったりするケースも少なくありません。
その点、フリーランスであれば、基本的にすべてのやり取りを業務担当者本人と直接行うことになります。業務内容を熟知している相手と直接話せるため、質問や相談に対するレスポンスが早く、意思疎通が非常にスムーズに進むことが期待できます。
「この仕訳の意図は?」「この経費の処理は?」といった具体的な確認も、たらい回しにされることなく即座に解決できる可能性が高いです。こうした密な連携は、業務の正確性やスピードの向上にもつながるでしょう。
【要注意】経理代行をフリーランスに依頼する5つのデメリット

経理代行をフリーランスに依頼するメリットを理解したところで、一緒にデメリットといえる点も押さえておきましょう。スキルのばらつきや情報管理の不安、業務範囲の限界など、事前に知っておくべき注意点があります。
スキルや品質にばらつきがある
フリーランスに依頼する際、最も注意したいのがスキルや品質のばらつきです。「経理経験者」といっても、そのレベルはさまざまです。単に会計ソフトへの入力経験があるだけの方から、上場企業で月次・年次決算まで担当していた方まで、個人の経歴によってスキルの幅は非常に大きいのが実情です。
問題は、そのスキルを外部から正確に見極めるのが非常に難しい点にあります。プロフィールや過去の実績だけでは、自社の業務に必要な専門知識を持っているかを判断しきれないケースも少なくありません。質の高いフリーランスを見極めるためには、依頼側にもある程度の知識と手間(採用コスト)が求められます。
もしスキルが不足している人に依頼してしまうと、仕訳ミスが多発したり、処理が遅延したりと、かえって手戻りが増える恐れがあります。結果的に、修正のために余計なコストや時間がかかり、「安物買いの銭失い」になりかねないリスクがあるのです。
情報漏洩のリスクがある
経理業務を外注する際、売上、仕入先、取引単価、従業員の給与といった会社の経営数字そのものを外部に渡すことになります。これは会社の最重要機密情報であり、その取り扱いには細心の注意が必要です。
経理代行会社のような法人の多くは、プライバシーマーク(Pマーク)の取得やISMS認証、従業員との秘密保持契約(NDA)の徹底、セキュリティ対策が施されたオフィスでの作業など、組織として情報漏洩対策を講じています。しかし、フリーランスの場合は個人のセキュリティ意識や環境に大きく依存してしまいます。
例えば、自宅の安全対策が不十分なWi-Fi環境で作業されたり、個人用のPCがウイルスに感染したりするリスクは、法人に比べて高くなりやすいでしょう。
もちろんNDAを結ぶことはできますですが、それが技術的・物理的な安全を担保するわけではありません。万が一情報が漏洩すれば、会社の信用問題に直結する深刻な事態を招く恐れがあります。
対応できる業務範囲が限られる
フリーランスは基本的に、ひとりで業務を行っているため、対応できる作業量(キャパシティ)には物理的な限界があります。創業期は問題なくても、事業が拡大して仕訳数や請求書の発行枚数が増えてきた際に、ひとりでは処理しきれなくなる可能性があります。
また、対応できる業務範囲がその人のスキルセットに限定される点もデメリットです。記帳代行はできても、給与計算や年末調整、社会保険の手続きといった労務関連の業務は専門外で対応できない、といったケースも多くあります。事業の成長に伴って発生する新たなバックオフィス業務に対応できない場合、結局また別の外注先を探す手間が発生してしまいます。
組織であれば、業務量が増えれば人員を増やしたり、専門部署が対応したりといったスケールアップが可能ですが、個人の場合はそれが難しいことを理解しておく必要があります。
急に連絡が取れなくなるリスク
個人であるフリーランスに依存するときの大きなリスクとして、業務の継続性が担保されない点が挙げられます。法人の場合、担当者の一人が病気や退職で欠けても、他のスタッフが業務を引き継ぎ、組織として滞りなくサービスを継続できます。
しかし、フリーランスの場合は代わりがいません。もしその担当者が病気や事故、あるいは家庭の事情で突然働けなくなってしまうと、経理業務が完全にストップしてしまいます。最悪の場合、連絡が取れなくなったり、一方的に廃業を通知されたりする「バックれ」のリスクもゼロではありません。
特に月次決算の締めや確定申告の直前といった重要な時期に業務が停止してしまうと、その影響は甚大です。入金管理や支払いが遅れれば、取引先からの信用失墜にもつながりかねません。
税務調査などへの対応が難しい
税務調査や当局からの問い合わせなど、より専門性が高い対応が必要な場面になると、フリーランスだけでは対処できないケースが多くなります。申告内容に関する説明や交渉は税理士の独占業務であり、資格を持たないフリーランスが対応することはできません。
代行会社では税理士と連携しているケースもあり、万が一調査が入ったときもスムーズに対応できます。しかし、フリーランスのみで依頼していると、別途専門家を探して依頼し直す必要があり、時間や費用の面で余分な負担が生じます。
経理代行を長期的な視点で考えるなら、税務まで見据えた体制をどう整えるかも重要です。リスク対応力という観点では、フリーランス単独よりも代行会社や税理士との連携体制がある方が安心といえます。
経理代行の料金比較|フリーランス vs 経理代行会社

ここでは、フリーランスと経理代行会社に依頼した場合の一般的な費用相場を違いを解説します。
フリーランスに依頼したときの料金目安
フリーランスに経理・記帳代行を依頼する場合、仕訳1件あたりの単価が目安になります。「1仕訳あたり60円(あるいは、3,000円/50仕訳)」など、かなり抑えた金額が紹介されています。また、個人事業主向け・取引件数が少ないケースでは月額5,000〜1万円程度という事例もあります。
ただし、これはあくまで 取引件数が少ない、あるいは処理内容がシンプルという場合の目安であり、作業量や専門性が増せば金額も上がる点に注意が必要です。
フリーランスに経理代行を依頼するなら、クラウドソーシングサイトやスキルマーケットを活用すると探しやすいでしょう。
経理代行会社に依頼したときの料金目安
一方、代行会社(複数スタッフ・チェック体制あり)に依頼する場合は、仕訳数や業務範囲によって月額数万円程度になると考えて良いでしょう。例えば「1仕訳あたり50〜100円」程度が相場のひとつとして挙げられ、仕訳数が100件〜200件なら月額約1〜2万円程度、300件以上なら2〜3万円、さらに多くなると3〜4万円以上になります。
合わせて読みたい:経理代行の費用相場はいくら?料金を抑えるには記帳代行からのスタートがおすすめ
また、記帳代行を含んだ幅広い経理代行サービスでは、月額5万円以上という見積もりもあります。
経理代行は結局フリーランスと代行会社のどっちが良い?

これまでのメリット・デメリットを踏まえ、自社にはどちらが合うか判断しましょう。コストや柔軟性を取るか、安心や事業の安定性を取るか。企業の状況や事業フェーズによって、最適な選択は異なります。
フリーランスが向いている
フリーランスへの依頼が向いているのは、依頼する業務が限定的で、かつボリュームが少ないケースです。例えば、創業したばかりで取引数が少なく、まずは記帳作業だけを単発でお願いしたい、といった状況が当てはまります。この段階であれば、コストメリットを最大限に活かしやすいと考えられます。
また、依頼したい相手が信頼できる知人や、過去に一緒に仕事をしたことがある人など、すでに関係性が構築できている場合も良い選択肢となるでしょう。人柄やスキルを事前に把握できているため、品質のばらつきやコミュニケーションに関するリスクを最小限に抑えることができます。
ただし、これらのケースは事業の初期段階や、一時的な業務量の増加に対応する場合に限られることが多いです。将来的に事業を拡大していく予定がある場合は、いずれ業務を巻き取ったり、別の依頼先を探したりする必要が出てくることも視野に入れておく必要があります。
経理代行会社が向いている
一方で、継続的な事業運営と将来的な成長を見据えるのであれば、経理代行会社への依頼が適しています。法人であれば、担当者個人のスキルや都合に依存することなく、組織として安定した品質のサービスを継続的に受けられます。急な業務停止のリスクを避けたいと考えるなら、代行会社を選ぶべきでしょう。
また、会社の重要情報を預ける上で、セキュリティ体制が整っていることは欠かせない条件です。プライバシーマークの取得や厳格な情報管理体制を敷いている代行会社は、フリーランスに比べて情報漏洩リスクが格段に低く、安心して業務を任せられます。
事業が拡大し、将来的に記帳だけでなく給与計算や請求書発行なども任せたい、と考える場合にも代行会社が適しています。業務量や範囲の拡大にも対応できるため、会社の成長に合わせて長く付き合えるパートナーとなってくれるはずです。
経理代行でフリーランスの安さ・代行会社の安心感を両立させる方法

低コストが魅力のフリーランス、品質・安心感のある経理代行業者、この両者のメリットを両立させる選択肢として「記帳代行サービス」があります。税務相談やコンサルティングといった幅広い業務を扱う総合的な経理代行会社とは異なり、業務を「記帳」という領域に絞り込むことで、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供しているのです。
記帳業務に特化することで、社内の業務フローは徹底的に効率化され、フリーランスに匹敵するほどのコストパフォーマンスが実現できます。
それでいて、運営はセキュリティ体制や教育制度の整った「法人」であるため、フリーランスに依頼する際に懸念されるスキルや品質のばらつき、情報漏洩や業務停止といったリスクをまとめて払拭できるのです。
その選択肢のひとつが、「記帳代行ドットコム」です。業界内でも最安値級のリーズナブルな価格で、税理士法人監修の高品質なサービスをお届けしています。法人として万全のセキュリティ体制を整えており、お客様の大切な情報を安全にお預かりします。

